SNSの動向は毎年のように変わります。「2026年はAI・ショート動画・ソーシャルコマースが3大トレンド」といった言い方は分かりやすい反面、出典の分からない数字や断定が混ざりやすい分野でもあります。
この記事は確認日を2026年10月4日として、総務省の調査と、各社が公式に発表した内容のうち、原文を読んで確認できたものだけを整理しました。調査名・時期・対象を書き、読めなかった数字や出典のない「◯倍」「◯%向上」は載せていません。「傾向」は筆者の整理で、効果を保証するものではありません。YouTube・Instagram・Threadsの記事は英語の発表(米国本社)のため、日本での提供は各社の案内で確認してください。
この記事の3行まとめ
① 総務省の令和7年度調査(2025年12月実施、13〜79歳1,800人)では、全年代の利用率はLINE 92.9%、YouTube 81.5%、Instagram 54.8%、X 44.7%、TikTok 36.7%。年代で大きく異なる
② 2026年の各社の公式発表には、「見るものを利用者が調整する機能」「制作・分析のAI支援」「購入やメッセージ配信まわりの変更」が並ぶ
③ 提供国・言語は機能ごとに異なる。自社の顧客の年代と目的に合うものを1つ選んで小さく試すのが現実的
公的統計で見る2026年の利用実態
SNSの利用率(総務省・令和7年度調査)
総務省情報通信政策研究所「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(令和8年6月26日公表)です。対象は13〜79歳の男女1,800人、訪問留置調査、調査期間は令和7年12月1日〜7日。「利用率」は「普段の生活で自分が利用することがある」と回答した割合で、実際に使った人の割合(行為者率)とは別です。(出典:総務省 報道資料、報告書)
| サービス | 全年代 | 前回 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| LINE | 92.9% | 91.1% | 96.4% | 97.7% | 97.9% | 96.6% | 95.6% | 92.0% |
| YouTube | 81.5% | 80.8% | 95.0% | 96.3% | 94.0% | 91.6% | 84.9% | 72.6% |
| 54.8% | 52.6% | 69.3% | 82.6% | 76.6% | 67.1% | 54.4% | 36.1% | |
| X | 44.7% | 43.3% | 56.4% | 73.4% | 67.7% | 57.0% | 40.2% | 24.8% |
| TikTok | 36.7% | 33.2% | 67.9% | 61.5% | 44.7% | 42.6% | 32.2% | 21.2% |
「前回」は令和6年度の全年代です。報告書は、LINE・X・Instagram・TikTokが全年代で前回より増加したと記しています。70代はInstagram 15.8%、TikTok 11.1%、Instagramは男性46.2%・女性63.4%でした。全年代の数字だけでなく、自社の顧客の年代・性別で見る必要があります。
利用時間と「投稿する」人の割合
平日の全年代の平均利用時間は、インターネット183.9分、テレビ(リアルタイム)156.1分でした。項目別では「動画投稿・共有サービスを見る」が54.5分、「ソーシャルメディアを見る・書く」が36.2分(10代67.1分、20代79.1分)で、利用しない人も含む平均です。回答者全体のうち「書き込む・投稿する」と答えた割合は、LINE 51.2%、Instagram 18.0%、X 9.6%、YouTube 4.2%、TikTok 2.7%でした。見る人の方が多いため、「見られたときに何のアカウントか伝わる」設計が大切、というのは筆者の解釈です。
生成AIの利用経験(令和8年版情報通信白書)
2025年度の個人向け調査で、生成AIサービスを「使っている(過去使ったことがある)」と答えた割合は日本で58.8%でした。2024年度は26.7%ですが、対象が20歳以上から、15〜19歳を加えた範囲に広がっています。20歳以上だけでは52.2%です。(出典:総務省 令和8年版情報通信白書)
各社の公式発表(原文で確認できた範囲)
リールのおすすめに影響するトピックを利用者が確認・調整できる「Your Algorithm」は、2025年12月10日に発表され、2026年4月15日に発見へ、6月10日にフィード・リール・発見の全体へ広がりました。おすすめされた投稿には「From Running」のようなラベルが付くと説明されています。提供は英語と記載されています。(出典:Instagram公式ブログ(英語))また2026年5月13日には、親しい友達や相互フォロワーに写真を共有できる「Instants」が発表されました。友達向けの機能で、企業の発信向けとは書かれていません。(出典:Instagram公式ブログ)
TikTok
2026年9月3日発表のコメント新機能のうち、「コメント投票」は選択肢を最大5つ示して意見を募れ、日本を含むグローバルで利用可能とされています。公式は、次に制作する動画のアイデアの投票などを例に挙げています。ボイスコメントなどは順次提供です。(出典:TikTok Newsroom)TikTok Shopは2025年6月30日に日本で始まり、2026年2月3日の発表では、2025年6月30日〜12月末の流通総額の約70%がコンテンツ起点の購入、登録セラーは約5万店とされています。TikTok自身の発表で、個々の企業の売上を示す数字ではありません。(出典:TikTok Newsroom)
X
Xのヘルプによると、クリエイター収益分配は2026年8月7日に新規受付を停止し、9月8日から既存メンバー向けに新プログラム「Original Content Rewards」の申請受付を順次始めると案内されています。他者のコピーや自動手段による投稿は対象外とされ、Premium加入などの条件があります。収益化の話で、企業の集客に直結するとは書かれていません。(出典:X Help Center(英語))
YouTube
2026年9月23日の「Made on YouTube」では、会話形式で作る「カスタムフィード」(近日)、Shortsをシーズンとエピソードに整理する「Shorts series」、会話形式の動画編集ツール、Studioの分析・下書きフィードバック機能などが発表されました。タイトル・サムネイルのA/Bテストは、2024年の開始以来4,000万回以上の実験が行われたと記載されています。日本での提供状況は原文から分かりません。(出典:YouTube公式ブログ、同(制作ツール))
LINE
LINEヤフーは2026年1月29日、LINEの国内月間利用者数が1億ユーザー(2025年12月末時点)を超えたと発表しました。定義は「1か月の間に一度でもLINEを起動したユーザーアカウントの数」で、総務省の利用率とは別物です。(出典:LINEヤフー)3月5日から(一部ユーザーから順次)ホームタブのリニューアルが始まり、LINE公式アカウントの最新投稿などが表示されます。(出典:LINEヤフー)追加メッセージ料金は2026年10月1日に改定され、月20万通までは1通3円、超過分は1通2.5円(税別)です。(出典:LINEヤフー for Business)運用はLINE公式アカウントの友だち増やし方も参考になります。
Threads
Metaは2026年6月16日、Threadsの月間アクティブユーザーが5億人に達したと発表しました。コミュニティ機能のベータ終了、日本・韓国・台湾でのローカルコミュニティ、トピックを1・3・7日で増減する「Your Algo」(提供国は米国・カナダ・英国・豪州・ニュージーランドと記載)が挙げられています。(出典:Metaニュースルーム)
公式発表を並べて見える傾向(筆者の整理)
- 見るものを利用者が調整できる:Instagram、Threads、YouTube(近日)、TikTok(2025年6月の「トピックを管理」、TikTok Newsroom)。テーマが伝わる投稿の意味が増すと考えられます。
- 制作にAIを使える:一方、YouTubeはAI等でほぼ同じ内容を大量に作る行為を禁じています。(出典:YouTubeヘルプ)
- オリジナル重視:Instagramは大きな加工のない再利用が多いアカウントはおすすめに出にくいことがあるとし(Instagram for Creators)、Xの新プログラムもコピーを対象外としています。
中小企業が確認したいこと(運用上の例)
- 顧客の年代を確認する:上の表で届くSNSを絞る
- 目的に合う機能を1つ選ぶ:認知、予約、問い合わせなど
- 提供国・言語・対象アカウントを原文で確認する:日本で使えない機能もある
- 決めた指標で見る:SNS効果測定の方法を参考に、例えば2〜3か月は同じ指標で追う
動向情報でよくある失敗
| 失敗例 | 対処 |
|---|---|
| 出典のない「◯倍」を信じる | 調査名・時期・対象がある数字だけ使う |
| 全年代の利用率だけで媒体を決める | 年代別・性別で自社の顧客を見る |
| 英語の発表を日本でも使えると思う | 提供国・言語を原文で確認する |
| 新機能すべてに手を出して疲弊する | 目的に合う1つを、運用できる範囲で試す |
よくある質問(Q&A)
Q. 新しいSNSや機能が出るたびに対応すべきですか?
A. その必要はありません。提供国・言語・開始時期は機能ごとに異なります。自社の顧客がそのSNSを使っているかを年代別の利用率で確認し、工数の範囲で選びましょう。考え方は新興SNSの活用判断にまとめています。
Q. ショート動画や生成AIは必ず取り入れるべきですか?
A. 必ずとは言えません。総務省の調査は利用実態の数字で、自社の成果を保証するものではありません。AIを使う場合は、内容を自分の言葉で確認・編集し、他社の著作物を無断で使わないことが前提です。進め方はAI時代のSNSコンテンツ戦略を参考にしてください。
Q. この記事の数字を社内資料に使ってよいですか?
A. 調査名・時期・対象と確認日を併記してください。利用率と行為者率、LINEの利用者数と総務省の利用率など、定義が違う数字は並べて比べないでください。
まとめ
2026年10月時点で原文を確認できた範囲では、SNSの利用は年代で大きく異なり、各社の公式発表には、見るものを調整する機能、AIによる制作支援、購入やメッセージ配信まわりの変更が並んでいます。どれも自社の顧客と国・言語に合うかの確認が先です。最初の一歩として、今週中に顧客の年代を決め、上の表で優先するSNSを1つ選んでみてください。
参考情報・出典
- 総務省 報道資料(令和8年6月26日)
- 総務省 令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書
- 総務省 令和8年版情報通信白書(生成AIの利用経験)
- Instagram公式ブログ「Control Your Instagram Reels Algorithm」(英語、2026年6月10日更新)
- Instagram公式ブログ「Instants」(2026年5月13日)
- Instagram for Creators「オリジナルコンテンツに関するガイドライン」
- TikTok Newsroom(2026年9月3日)
- TikTok Newsroom(2026年2月3日)
- TikTok Newsroom(2025年6月3日)
- X Help Center「Original Content Rewards」(英語)
- YouTube公式ブログ「Innovation for the YouTube Era」(2026年9月23日、英語)
- YouTube公式ブログ「New tools to power your creation journey」(英語)
- YouTubeヘルプ「スパムに関するポリシー」
- LINEヤフー(2026年1月29日)
- LINEヤフー(2026年3月5日)
- LINEヤフー for Business(2026年10月1日)
- Meta Newsroom(2026年6月16日、英語)

