「SNSを始めたいが、InstagramかTikTokかLINEか決められない」。迷ったときに最初に確認したいのは、届けたい相手が、どの媒体を、どれくらい使っているかです。感覚や「流行っているから」ではなく、公的統計の数字で確認すると、媒体選びで大きく外すことが減ります。
この記事では、総務省 情報通信政策研究所の令和7年度調査と、総務省の通信利用動向調査の原文・集計表をもとに、年代・性別・就業形態ごとのSNS利用率と、その読み方を整理します。調査の名称・年・対象を明記し、当社の集計は集計と書き分けます。情報は2026年10月時点です。
この記事の3行まとめ
① 年代で見ると、10代はYouTube・LINE・Instagram・TikTok、30〜40代はLINE・YouTube・Instagram・Xの利用率が高い。70代はLINE(77.8%)以外は5割以下
② 性別では、Instagram・TikTokは全年代で女性が高く、Xは全体では男女が同じ。ただし年代別の男女差は回答者が少なく、目安として扱う
③ 自社の実データ(インサイト・LINEの友だち属性)で、統計の傾向と合っているかを必ず確認する
使う統計と、読むときの注意
使うのは、総務省 情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(令和8年6月公表)です。対象は13歳から79歳の男女1,800人(性別・年代は住民基本台帳の実勢比例)、調査期間は令和7年12月1日~7日です。表の「利用率」は、アンケートで「自分が利用している」と答えた人の割合で、その週に実際に使った人の割合とは異なります。(出典:総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」報告書)
注意点が2つあります。1つ目は回答者数で、10代は140人、20代は218人です。年代×性別に分けると1区分あたり約70〜170人になり、数ポイントの差は誤差の可能性があります。2つ目は、調査対象のサービスが7つ(LINE・X・Facebook・Instagram・YouTube・ニコニコ動画・TikTok)に限られることです。
年代別のSNS利用率
| 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| LINE | 96.4% | 97.7% | 97.9% | 96.6% | 95.6% | 92.0% | 77.8% |
| YouTube | 95.0% | 96.3% | 94.0% | 91.6% | 84.9% | 72.6% | 48.5% |
| 69.3% | 82.6% | 76.6% | 67.1% | 54.4% | 36.1% | 15.8% | |
| X(旧Twitter) | 56.4% | 73.4% | 67.7% | 57.0% | 40.2% | 24.8% | 10.8% |
| TikTok | 67.9% | 61.5% | 44.7% | 42.6% | 32.2% | 21.2% | 11.1% |
| 14.3% | 23.4% | 37.4% | 38.9% | 33.1% | 22.6% | 12.5% |
(出典:総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」報告書の表5-1-1。回答者数は10代140人、20代218人、30代235人、40代298人、50代338人、60代274人、70代297人)
- 10代:Instagram(69.3%)とTikTok(67.9%)がほぼ並び、YouTubeは95.0%。Facebookは14.3%と低い
- 20代:Instagramが82.6%で最も高く、Xも73.4%。調査は、Xの利用率が20代で最も高く、Instagramも20代が最も高いとまとめている
- 30〜40代:Facebookは30代37.4%、40代38.9%で全年代のピーク。LINEとYouTubeは9割を超える
- 50代以上:LINEとYouTubeが中心。70代のLINEは77.8%まで上昇しているが、Instagram・X・TikTokは1〜2割
年代を選ぶときの基本は、「LINEとYouTubeは10代から60代で高い共通基盤、Instagram・X・TikTokは若い世代ほど高い」という見方です。TikTokは10代の67.9%から年代が上がるごとに下がり、Facebookだけは30〜40代が高い、という違いがあります(調査も、TikTokは年代が若いほど利用率が高いと記載)。
性別・年代×性別で見ると
全年代の男女差は、Instagramが女性63.4%・男性46.2%、TikTokが女性41.7%・男性31.8%、YouTubeが男性84.4%・女性78.6%、LINEが女性94.1%・男性91.7%でした。Xは男女とも44.7%、Facebookは男性26.7%・女性27.3%でほぼ同じです。(出典:総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」報告書)「Xは男性が多い」というイメージは、この調査の全体の利用率では当てはまりません。
さらに、同調査の集計表から年代×性別の利用率を当社で計算しました(「いずれからも利用していない」を除いた割合)。(出典:同調査のアンケート調査集計表)
| 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Instagram 男性 | 59.7% | 75.0% | 65.0% | 56.6% | 39.2% | 31.9% |
| Instagram 女性 | 79.4% | 90.6% | 88.7% | 78.1% | 70.1% | 40.3% |
| TikTok 男性 | 56.9% | 48.2% | 39.2% | 37.5% | 26.3% | 20.7% |
| TikTok 女性 | 79.4% | 75.5% | 50.4% | 47.9% | 38.3% | 21.6% |
InstagramとTikTokは、どの年代でも女性のほうが高い結果です。一方、Xは年代によって男女が入れ替わり(20代は女性77.4%・男性69.6%、40代は男性61.8%・女性52.1%)、一定の傾向とは言いにくいため、性別でXを選ぶ根拠にはしないほうが安全です。各区分は男性・女性とも約70〜170人の回答に基づく数字です。
職業・ライフスタイルで見ると
同じ集計表の就業形態別では、学生(174人)の利用率が、Instagram71.8%、TikTok67.8%、X62.1%と高く、専業主婦(夫)(159人)はLINE93.1%、YouTube67.9%、Instagram46.5%、TikTok28.9%でした。パート・アルバイト(366人)はLINE94.3%、YouTube80.1%、Instagram57.7%です。(出典:同調査のアンケート調査集計表を当社で集計)ライフスタイルは「忙しい会社員にはInstagram」のように決めつけず、自社のペルソナの職業から表を引いて候補を絞りましょう。ペルソナの作り方はSNSターゲット設計(ペルソナ)で解説しています。
SNSで人は何をしているのか(利用目的)
利用率だけでなく、利用の目的も重要です。総務省「令和7年 通信利用動向調査(世帯編)」(調査時点は令和7年8月末)では、SNSを利用している27,723人にその目的を尋ねており、「従来からの知人とのコミュニケーションのため」が86.1%、「知りたいことについて情報を探すため」が65.6%、「ひまつぶしのため」が36.6%、「新たな交流関係を広げるため」が11.4%でした。「情報を探すため」は30代で76.9%、20代で72.4%と高くなっています。(出典:総務省「令和7年 通信利用動向調査(世帯編)」報告書)この調査のSNSには、LINEやXなどの連絡手段も含まれています。企業の投稿は、「情報を探している人に見つけてもらう」役割を担える一方、主な目的が知人とのやり取りである以上、売り込みが強い投稿は届きにくいと考えられます(この解釈は当社の見立て)。
ペルソナから媒体を選ぶ3ステップ(当社が勧める一例)
- ペルソナの年代・性別・職業を決め、上の表で利用率の高い媒体を2〜3つ挙げる。例:30代女性なら、LINE・YouTube・Instagram
- 自社の実データで確かめる。Instagramのインサイトでは、フォロワーが100人以上いれば上位の地域・年齢層・活動の多い時間帯が見られ、閲覧したアカウントの上位の年齢層・性別の内訳も、100アカウント以上に届けば見られる(出典:Instagramヘルプ「About Instagram insights」)。LINE公式アカウントでは、ターゲットリーチの性別・年齢・地域が確認できる(出典:LINE公式マニュアル「友だちの分析」)
- 運用の余力で絞る。候補が3つあっても、運用できるのは1〜2つまで。迷ったら、年代を問わず届きやすいLINEと、ペルソナに最も合う1媒体の2本から始める
比較表はInstagram/X/TikTok/LINE/Facebook徹底比較表も参考にしてください。店舗の場合は、地域差も含めたBtoC小規模店舗向けSNS選定をご覧ください。
よくある失敗と対処
| 失敗例 | 対処 |
|---|---|
| 「若者はTikTok」と決めつけ、10代のInstagram(69.3%)を見落とす | 統計の表で複数媒体を比べる |
| 数ポイントの男女差で媒体を決める | 年代×性別は回答が約70〜170人のため、差が小さいときは根拠にしない |
| 全国の統計だけで決め、自社の客層を確認しない | インサイトやLINEの友だち属性で、自社の実データを見る |
| 公式発表のMAUと統計の利用率を同じ尺度で比べる | 定義が異なる数字は並べない |
よくある質問(Q&A)
Q. ターゲットが幅広い場合は?
A. 最も購入額や頻度が高い顧客層を主ターゲットにして、その層の利用率が高い媒体から選びます。LINEは全年代で利用率が高く、10代から60代で9割を超えます(出典:総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」報告書)。ただし、個別の連絡手段としての性格が強いため、新規に見つけてもらう媒体と組み合わせる形が一例です。
Q. この統計にないSNS(Threadsなど)はどう判断しますか?
A. この調査の対象は7サービスで、Threads・Bluesky・BeRealは含まれていません。各社の公式発表やヘルプで判断することになります。考え方は新興SNS活用判断で解説しています。
Q. 統計の「10代」は何歳からですか?
A. この調査の対象は13歳から79歳で、10代は13歳~19歳の回答者140人です。13歳未満は対象外のため、小学生などをターゲットにする場合は、各SNSの年齢条件も公式で確認してください。
まとめ
SNS選びは、ターゲットの年代・性別・職業と、各媒体の利用率を照らし合わせるところから始まります。LINEとYouTubeは広い世代で高く、Instagram・X・TikTokは若い世代ほど高く、Facebookは30〜40代が中心です。ただし統計は全国の傾向で、区分を細かくするほど誤差が大きくなります。自社のインサイトで確かめながら、1〜2媒体に絞りましょう。
最初の一歩として、ペルソナの年代・性別・職業を1行で書き、この記事の表で利用率を引いてみてください。

