SNSの4C分析活用法

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「投稿は続けているのに、問い合わせにつながらない」。原因を探すとき、投稿のネタや頻度ばかりを見直していないでしょうか。うまくいかない理由が、商品の見え方や、費用への不安、申し込みにくさにあることもあります。そうした点を整理する枠組みの一つが、マーケティングの「4C」です。

この記事では、4Cを「自社の言い分」と「お客様から見た景色」を比べる視点として使う方法を整理します。4Pと4Cの定義は、中小機構J-Net21(原著作物は中小企業庁ミラサポplus)の解説で原文を確認できた範囲で書きます。SNSへの当てはめ方と診断シートは「当社の一例」で、効果を保証するものではありません。

この記事の3行まとめ

① 4Cは、売り手の視点になりがちな4Pを、買い手の視点でとらえ直すための考え方(J-Net21の解説による)
② SNSでは、4つのCを「診断質問」に置き換えると、投稿以外の課題(費用の見せ方、申し込みやすさ)にも気づける
③ 比べる相手は競合だけではない。4Pとの比較、お客様の声との比較、前回との比較も使える(当社の一例)

4Cとは:4Pを顧客の視点でとらえ直す

中小機構J-Net21「マンガでわかる「マーケティングの4P」」では、マーケティングの4Pは主に製造業をイメージした考え方で、売り手・企業の視点が強くなりすぎる傾向があるとしています。その欠点を補うため、買い手・顧客の視点からとらえ直したのが4C(Customer Value、Cost、Convenience、Communication)で、4Pについて検討するときに顧客の視点を意識するために使われると説明されています。(出典:中小機構J-Net21「マンガでわかる「マーケティングの4P」」)

4P(売り手の視点)4C(買い手の視点)J-Net21が示す「顧客の視点」の確認ポイント
Product(商品)Customer Value(顧客価値)顧客が求めているものか、顧客にとって価値があるか
Price(価格)Cost(コスト)顧客にとってのコスト(価格)と、商品・サービスの価値が釣り合っているか
Place(流通)Convenience(利便性)販売方法や購入場所が顧客にとって便利で、買いやすいか
Promotion(販促)Communication(コミュニケーション)一方的な情報発信になっていないか、顧客と双方向でやり取りする方法はないか

なお、日本マーケティング協会は2024年に、マーケティングを、顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広めることで関係者との関係性を育てていく構想でありプロセスと定義しました。(出典:日本マーケティング協会「34年振りにマーケティングの定義を刷新」)これは4Cそのものの定義ではありませんが、顧客と共に価値をつくるという方向は、4Cの「やり取り」の視点と通じる部分があると当社は考えています(当社の解釈)。

SNSに当てはめる:4つの診断質問(当社の一例)

次の表は、4Cの各項目をSNS運用向けの質問に置き換えた当社の一例です。右の列は、公式ヘルプの原文で確認できた「数字で見られる材料」です。見られるのは材料の一部にすぎないため、答えはお客様の声や自社の記録も合わせて考えてください。

CSNSでの診断質問公式ヘルプで確認できた材料
顧客価値投稿を見た人は、何を得られると感じているか。自社が伝えたい価値と、お客様が求める価値は一致しているかInstagramの「インタラクション」(いいね・コメント・保存・シェアなど)と「反応したアカウント」(投稿・ストーリーズ・ライブではフォロワーと非フォロワーの内訳)。(出典:Instagramヘルプ(About Instagram insights・英語))
コスト料金や、申し込みまでの手間、不安(しつこい営業など)は、投稿やプロフィールで分かるか数値指標としては確認できず、問い合わせの内容や質問の傾向で把握する
利便性投稿を見てから、予約・購入・問い合わせまで、何ステップかかるかLINE公式アカウントの友だち追加経路(どの経路で友だち追加・ブロックされたか)。(出典:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 分析 – 友だち」)
コミュニケーションコメントやDMに返信しているか。質問や意見を募る投稿はあるかLINE公式アカウントのブロック数と友だち追加数。ブロック数は選択期間中の数で、その期間に追加した人に限らない。(出典:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 分析 – 友だち」)

診断シートの記入例:架空のハンドメイド雑貨店

記入のイメージとして、架空のネットショップ「雑貨店B」の4C診断シートを示します。内容はすべて説明用の架空の例で、実在の店舗や実績ではありません。

C現状(事実)お客様から見た課題(仮説)打つ手の例確認する材料
顧客価値商品写真が中心。作り手の考えは書いていないなぜこの商品かが伝わっていない制作の背景を伝える投稿を足す保存・シェアなどの反応の変化
コスト価格は商品ページにだけ記載価格が分からず、問い合わせるのをためらうプロフィールに価格帯を書く料金に関する問い合わせの内容
利便性購入ページまで3回タップが必要途中でやめてしまうかもしれない入口を1か所に整理する購入ページへの到達の自社計測
コミュニケーションコメントへの返信は気づいたときだけ話しかけにくいかもしれない返信する曜日と時間を決めるコメント数と返信までの時間(自社で記録)

「仮説」と書いた列は、確認できていない想像です。数字や声で確かめてから、打つ手を決めましょう。リンクの置き場所の工夫はリンク in bio の最適化で解説しています。

4Cを使った4つの比較の視点(当社の一例)

4Cは、診断して終わりではなく「何かと比べる」ことで気づきが増えます。比べる軸を変えると、見える課題も変わります。

比べる軸何と何を比べるか分かること注意点
4Pと4C自社が考えたこと(4P)と、お客様の見え方(4C)売り手の言い分とお客様の見え方のズレズレは仮説。お客様の声で確認する
自社と競合同じ4つの質問を、競合の公開情報で答えてみる自社が弱いC、競合が手薄なC見えない数字は推測しない。詳しくはSNS競合分析のやり方
自社の見立てとお客様の声診断シートと、問い合わせやDMの内容自分たちでは気づいていない不安や不便個人情報を含む記録の扱いはペルソナ設計の記事を確認
前回と今回3か月前と同じ質問で採点し直す手を打ったCが変わったか採点基準を変えない(例:◎○△で記録)

「コスト」を伝えるときの注意:価格や取引条件の表示

料金の見せ方を変えるときは、表示の正確さにも注意が必要です。消費者庁の表示規制の概要では、価格その他の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示が「有利誤認表示」として不当表示に挙げられています。例として、当選者の100人だけが割安料金で契約できると表示していたのに、実際は応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていたケースが紹介されています。(出典:消費者庁(表示規制の概要))「先着」「期間限定」「今だけ」など取引条件に触れる投稿は、実際の運用と合っているかを必ず確認してください(当社の注意喚起です)。個別の判断は所管窓口や専門家にご相談ください。

弱いCを1つ選び、小さく直す

中小機構J-Net21「マンガでわかる「マーケティングの4P」」は、売上が伸び悩んだときに4Pで整理すると原因を見つけやすいとし、「商品」に課題があるのに「販促」に力を入れても売上は伸びない、と説明しています。(出典:中小機構J-Net21「マンガでわかる「マーケティングの4P」」)SNSでも同じ発想が使えます(当社の応用です)。価値が伝わっていないのに投稿数だけを増やしても、問い合わせは増えにくいかもしれません。手順は次のとおりです。

  1. 4つの質問に◎○△で答える:ひとりで決めず、担当者と責任者の2人以上で採点します。
  2. 一番弱いCを1つ選ぶ:複数選ぶと、どの施策が効いたか分からなくなります。
  3. 1か月で試せる施策を1〜2個決める:「プロフィールに価格帯を書く」程度の小さな改善から始めます(目安)。
  4. 確認する材料を先に決める:問い合わせの内容、保存数、友だち追加経路など、判断に使う材料を前もって決めます。
  5. 3か月後に同じ質問で採点し直す:全体の見直しはSNSマーケ戦略書の見直し欄に記録します。

4C分析のよくある失敗

失敗例対処
4つを均等に頑張ろうとして手が回らない一番弱いCを1つ選んで集中する
自社の担当者だけで採点し、全部「◎」になるお客様の声と、競合の公開情報も並べて採点する
診断だけで終わり、施策が決まらない各Cに「1か月で試す1つ」を必ず書く
数字が取れないCを無視するコストや利便性は、問い合わせの内容や自社の計測で補う
料金表示で誇張してしまう「先着」「限定」などの条件が実際と合っているか確認する

よくある質問(Q&A)

Q. 4Cと4Pは、どちらを使えばよいですか?
A. 対立する考え方ではなく、J-Net21の解説では、4Pを検討するときに顧客の視点を意識するために4Cを使うとされています。まず4Pで自社の取り組みを整理し、4Cでお客様から見て問題がないかを確かめる、という使い方がおすすめです。(出典:中小機構J-Net21「マンガでわかる「マーケティングの4P」」)

Q. 4C分析は中小企業でも使えますか?
A. 道具としては、特別なデータがなくても使えます。まず質問に答えて仮説を作り、問い合わせの内容などで確かめる進め方なら、小さな会社でも取り組めます。効果は会社や状況によって異なり、結果は保証できません。

Q. 4Cは何か月ごとに見直せばよいですか?
A. 決まった周期はありません。当社の一例では、3か月ごとに同じ質問で採点し直す方法をご提案しています。事業の状況が大きく変わったときにも見直してください。

まとめ

4Cは、4Pを買い手の視点でとらえ直すための考え方です。SNSでは、顧客価値・コスト・利便性・コミュニケーションを診断質問に置き換え、4Pとの比較、競合との比較、お客様の声との比較、前回との比較で課題を見つけます。弱いCを1つ選び、小さく直し、数か月後に採点し直しましょう。

最初の一歩として、今週中に4つの質問に◎○△で答え、一番弱いCを1つ決めてみてください。全体の位置づけはSNSマーケ戦略書の作り方で整理しています。

参考情報・出典