年間SNSマーケ計画の立て方

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「毎週、今週は何を投稿しよう、から考え始めてしまう」「繁忙期の直前になって慌てて準備する」。SNS運用を続けている中小企業から、よく聞く悩みです。投稿を場当たりで決めると、忙しい時期ほど更新が止まり、反応を振り返る材料も残りません。

そこで役立つのが年間のSNSマーケ計画です。ただし、ここでいう計画は分厚い資料ではなく、「いつ・何を・どれくらいの力を入れるか」を1枚の表にしたものです。この記事では、カレンダーの作り方、月次テーマと週次への落とし込み、予算配分の考え方、キャンペーンを入れるときの法的な確認点、月次の振り返りまでを整理します。数値や規制は公式の原文で確認できたものだけを書き、運用のコツは「例」と明記しています。

この記事の3行まとめ

① 年間計画は「年間カレンダー→月次テーマ→週次の枠」の3層で作り、細かい中身は直前に決める
② 日付は先に写さず、祝日などは公的な公表で確認する。予算は「山の月」に寄せる配分も選択肢
③ 懸賞などのキャンペーンは景品表示法の確認を計画段階で行い、月次で数字を振り返って計画を更新する

年間計画は3層で考える:カレンダー・月次テーマ・週次の枠

年間計画を「全部の投稿を1年分決めること」と考えると、必ず挫折します。当社がおすすめするのは、見直す頻度が違う3つの層に分ける方法です(以下は一例です)。

層決める内容見直しの頻度(例)
年間カレンダー繁忙期・閑散期、キャンペーン、自社の行事、世の中の行事年1回つくり、四半期ごとに修正
月次テーマその月に伝えたいこと1〜2個と、使う投稿の型月末に翌月分を決める
週次の枠曜日ごとの投稿カテゴリ(お役立ち、事例、お知らせなど)と担当者毎週、または2週間ごと

年間カレンダーは「大きな山と谷」だけで十分です。月次テーマは、季節の話題と自社のお客様の悩みを掛け合わせると考えやすくなります。たとえば寒くなる時期なら「乾燥」「冷え」の悩みに自社の商品・サービスがどう役立つか、という具合です。週次の枠を曜日ごとに固定すると、毎回ゼロから考えずに済みます。

年間カレンダーに書き込む4つのもの

カレンダーは1枚の表(12か月×項目)で作れます。書き込む項目は次の4種類に分けると整理しやすくなります。表内の行事名はあくまで例で、自社のお客様に関係するものだけを選んでください。

項目書き込む内容例
自社の繁閑売上や来店・問い合わせが増える時期、落ち込む時期繁忙期の前は仕込み、閑散期は関係づくりに回す
自社の販促・行事新商品、セール、周年、イベント新メニューの発表、創業記念
世の中の行事お客様の行動が動きやすい行事・連休正月、バレンタイン、春の行楽期、夏休み、ハロウィン、年末
社内の都合決算、繁忙で投稿に手が回らない時期、担当者の休暇前もって投稿をためておく月を決める

日付は、先に表へ写し込まないのがコツです。国民の祝日は法律で年間の日数と趣旨が定められていますが、春分の日と秋分の日は、法律に具体的な月日がなく、国立天文台が毎年2月に翌年分を官報で公表する仕組みです。内閣府のページにも、まだ掲載されていない年の祝日は前年の2月に掲載すると書かれています。(出典:内閣府「国民の祝日について」)カレンダーを作るときは、最新の公表を確認してから日付を入れましょう。

月次テーマと週次の枠への落とし込み方

月次テーマは1〜2個に絞り、「誰の何の悩みに答える月か」を一文で書きます。そのうえで、次の手順で週次の枠まで落とします。

  1. 月のゴールを1つ決める:例「資料請求を増やす」「保存されるお役立ち投稿を増やす」。測り方はSNS効果測定の方法を参考に
  2. 投稿の型を2〜3種類に絞る:お役立ち、事例、お知らせなど。型が決まると制作が速くなる
  3. 週ごとに枠を置く:曜日ごとにカテゴリを割り当て、タイトルは仮でよい
  4. 空き枠を作る:突発の話題やお客様の声に使う枠として、たとえば4週に1枠を空けておく(当社の運用例)
  5. 月末に翌月を詳しくする:仮タイトルを本タイトルにし、素材(写真や動画)の手配を始める

計画は骨格であって、守ることが目的ではありません。反応が悪ければ翌週から差し替えて構いません。また、誤情報の指摘などが起きたときに投稿を止める判断は、計画とは別に決めておくと安心です。

予算配分の考え方:毎月同じか、山の月に寄せるか

SNS広告を使う場合、年間の予算を12等分にするか、繁忙期の前に寄せるかを先に決めます。どちらが正解ということはなく、自社の繁閑に合わせて選びます。

  • 平らに配る:毎月同じ額。効果の比較がしやすく、運用が簡単
  • 山の月に寄せる:繁忙期の前の月に多めに配り、閑散期は最小限にする。学習の積み上げが途切れない最小限の額は残す

広告プラットフォームの予算の仕組みも、配分を決める材料になります。

  • TikTok広告では、予算に日予算と通算予算があり、通算予算は新商品の発売やホリデーシーズンのプロモーションなど、固定期間のあるキャンペーンに適しているとされています。通算予算を決める前に、まず日予算で様子を見ることが案内されています。(出典:TikTok広告ヘルプ(予算))
  • Metaの1日の予算は、1週間の中で1日あたりに消化する概算金額の目標で、日によって上下します。条件が良い日は1日の予算を最大75%上回る額を消化することがあり、1週間では1日の予算の7倍を超えないとされています。(出典:Metaビジネスヘルプセンター(1日の予算について))

つまり、「日予算×日数」がその月の請求額とぴったり一致するとは限りません。月の上限を決めたいときは、通算予算を使う、あるいは月の途中で消化状況を確認するなどの運用を計画に組み込みます。金額の決め方や少額での始め方は低予算から始めるSNS広告ガイド、費用全体の考え方はSNS運用費用の内訳もご覧ください。

キャンペーンを計画に入れるときの確認点

フォロー&いいねのプレゼント企画やハッシュタグ投稿キャンペーンは、年間計画に入れやすい施策です。ただし、景品の出し方によっては景品表示法の規制の対象になります。計画段階で、次の点を確認してください。

景品規制の対象になるかどうか

消費者庁のQ&Aでは、SNSのアカウントをフォローして「いいね」を押すと応募できる懸賞は、通常、商品の購入に直ちにつながらず、景品の受取に来店も不要であれば、他に取引につながる蓋然性が高い事情がない限り、景品規制の対象にならないと説明されています。一方、商品の画像や使用感も投稿すると当選確率が2倍になる企画は、商品を購入する蓋然性が高いため、取引に付随するとされ、一般懸賞の規制の対象になります。当選者が景品を受け取るために店舗に来店する必要がある企画も、取引に付随するとされています。(出典:消費者庁「一般懸賞について」)

一般懸賞の限度額は、取引価額が5,000円未満なら取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円までで、総額は懸賞に係る売上予定総額の2%までです。(出典:消費者庁「景品規制の概要」)自社の企画がどちらに当たるかは、企画を固める前に消費者庁などの窓口や専門家に確認してください。

インフルエンサーを使う企画の表示

インフルエンサーへ商品を無償提供して投稿してもらう場合、消費者庁のQ&Aでは、依頼の内容や関係性によっては、投稿内容を指示していなくても「事業者の表示」に当たると判断される場合があり、その場合は事業者の表示であることを明瞭にしなければ告示に違反するとされています。(出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」)計画にインフルエンサー施策を入れるなら、表示の方法も同時に決めておきます。

月次の振り返りで年間計画を更新する

年間計画は、作った後の更新で価値が決まります。月末に30分ほど(目安)確保し、次の3点だけを見直す形がおすすめです。

  • 計画どおり投稿できたか(できなかった理由は、時間・素材・承認のどれか)
  • 反応のよかった投稿の型とテーマ(数値は自社の表に記録する)
  • 翌月以降のカレンダーと予算を変える必要があるか

Instagramのインサイトは、公式ヘルプで過去90日以内の任意の期間を選べると案内されています。(出典:Instagramヘルプ(インサイト))長い期間をさかのぼる前提にせず、月末に自社の表へ数字を写して残しておくと、1年分の比較ができます。経営者への報告の形はSNSレポートの作り方が参考になります。

年間計画のよくある失敗

失敗例対処
1年分の投稿を最初に全部作るカレンダーと月次テーマまでにとどめ、中身は月末に詳しくする
日付を前年の表から写して外す祝日などは最新の公的な公表で確認してから入れる
繁忙期の準備が間に合わない繁忙期の1〜2か月前に素材づくりの作業を置く
キャンペーンの規制確認を後回しにする企画の段階で景品規制と表示の確認を計画に入れる
作りっぱなしで見直さない月末の振り返りを予定表に固定する

よくある質問(Q&A)

Q. 年間計画を立てても、急な話題に対応できませんか?
A. 空き枠を残しておけば対応できます。たとえば4週に1枠を「突発用」として空けておく方法があります。計画は骨格で、状況に応じて変えて構いません。

Q. 年間計画はどんなツールで管理するのがよいですか?
A. 最初は表計算ソフトで十分です。12か月のシートを作り、月ごとにイベント、テーマ、週次の枠を書きます。関係者が増えて管理が難しくなったら、共有できるタスク管理ツールなどを検討してください。

Q. 広告予算は年の初めに全額決めるべきですか?
A. 必須ではありません。年間の上限の目安だけ決め、四半期ごとに実績を見て配分を見直す方法もあります。最低予算などの条件は各広告の公式ヘルプで最新を確認してください。

まとめ

年間SNSマーケ計画は、年間カレンダー、月次テーマ、週次の枠の3層で作り、細かい中身は直前に決めるのが続けるコツです。日付は公的な公表を確認してから入れ、予算は自社の繁閑に合わせて配分を選びます。キャンペーンは景品表示法や表示の確認を計画に組み込み、月末の振り返りで更新していきましょう。

最初の一歩として、今週中に12か月の表を作り、自社の繁忙期と閑散期だけを書き込んでみてください。

参考情報・出典