SNS運用のKPI設定完全ガイド|目的別の指標と測定方法を解説

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「SNSを運用しているけれど、何をKPIにすればよいか分からない」「数字は見ているのに、改善に活かせていない」。こうした相談は、運用を始めて少し経った担当者から多く寄せられます。KPIが決まっていないと、投稿の良し悪しを判断する基準がなく、会議のたびに感覚で話すことになりがちです。

この記事では、目的から逆算してKPIを決める手順、目的別の指標の整理、各SNSの公式ヘルプで確認できた指標の定義と注意点、見直しの頻度をまとめます。表や手順は当社の一例で、自社に合わせて調整してください。「フォロワー数は〇人が相場」といった数値目標の相場は書きません(業種や運用の段階で大きく違うため、目標値は自社の過去の数字から決めます)。

この記事の3行まとめ

① 先に「SNSで何を達成したいか(KGI)」を事業の言葉で決め、そこから見る指標(KPI)を逆算する
② 同じ名前の指標でも、SNSごとに定義が違う。KPIにする前に公式の定義を読み、数え方をそろえる
③ 目標値は他社の相場ではなく自社の過去の数字から決め、見る頻度と担当までセットで決める

KGIとKPIの違い:最終目標と中間指標

一般的な整理では、KGI(重要目標達成指標)は「最終的に何を達成したいか」、KPI(重要業績評価指標)はそこへ向かう途中の進み具合を測る指標です。SNS運用なら、KGIは「SNS経由の問い合わせ」「予約」「採用応募」のように事業の言葉で書き、KPIは「リンクのクリック」「サイトへの流入」「友だち追加」のように、SNSの中や入口で測れるものにします。

ポイントは、SNSの中の反応から事業の成果までを順番に分解して考えることです。たとえば「投稿が見られる→リンクが押される→サイトで読まれる→問い合わせが入る」と並べると、どこで途切れているかが見え、見るべき指標が決まります。

目的別KPIの整理表(当社の一例)

運用の目的ごとに、KGIの書き方とKPI候補を整理した例です。数値は自社で決める部分なので「〇」としています。

目的KGIの書き方(例)KPI候補(例)
認知を広げる「〇〇の認知されている人数を増やす」閲覧者数やインプレッション、フォロワーの増え方
サイトへ呼ぶ「SNS経由のサイト訪問を月〇件」リンクのクリック数、UTM付きリンクのセッション数
問い合わせ・予約を増やす「SNS経由の問い合わせを月〇件」サイトのキーイベント(問い合わせ完了など)、LINEの友だち追加数
商品を売る「SNS経由の注文を月〇件」商品ページへの流入、キーイベント(購入など)
採用を強化する「SNS経由の応募を月〇件」採用ページへの流入、応募完了のキーイベント

「セッション」や「キーイベント」はGoogleアナリティクス(GA4)の指標です。リンクにUTMパラメータを付ければ、SNSごと・施策ごとの流入を区別でき、問い合わせ完了などの「事業にとって特に重要なアクション」をキーイベントとして設定できます。(出典:Googleアナリティクスヘルプ(UTM)、Googleアナリティクスヘルプ(キーイベント))つなぎ方はSNSレポートの作り方で解説しています。

KPIを決める5つの手順

  1. 目的を1文で書く:「〇〇を増やすために運用する」と書き、複数あれば優先順位を付ける
  2. KGIを事業の言葉で決める:問い合わせ、予約、応募など、社内で意味が通じる成果にする
  3. 経路を分解する:SNS内の反応→サイトでの行動→成果の順に並べる
  4. KPIを絞る:目的ごとに2〜3個を目安にし、数字が取れる場所(SNSの画面かGA4か)を決める
  5. 目標値・頻度・担当を決める:目標値は自社の過去の数字から。見る頻度と担当者も書いておく

目標値の決め方で迷ったら、他社の平均ではなく自社の直近の記録を基準にします。記録が少ないうちは、無理に目標を置かず、まず一定期間は同じ方法で記録して傾向をつかむ期間にするのも一案です(期間は更新頻度に応じて自社で決めます)。

指標を決めるときは、次の3つの条件も確認しましょう(当社のチェックポイントです)。測れること(どの画面・どのツールで取るか決まっている)、具体的なこと(定義が1つに決まっている)、いつまでかが決まっていること(月次・四半期など)。

KPIにする前に読みたい、各SNSの指標の定義と注意点

同じ「反応」でも、数え方は各SNSで違います。公式ヘルプで確認できた範囲で、KPIにするときの注意点をまとめます。仕様は変わるため、最新は各ヘルプで確認してください。

  • Instagram:閲覧数は「コンテンツが再生または表示された回数」、閲覧者は「画面上で1回以上表示したユニークアカウント数」と説明されています。回数と人数は別の指標なので、「何人に届けたいのか」「何回見られたいのか」でKPIを選びます。閲覧者は推定値とも書かれています。(出典:Instagramヘルプ)
  • X:エンゲージメントは、リポストや返信、いいねに加えて、投稿のリンク、画像・動画、ユーザー名、プロフィール写真、投稿の展開などへのあらゆるクリックを含む合計で、エンゲージメント率はエンゲージメント数÷インプレッション数と定義されています。リンクのクリックは別の指標として確認できるため、サイトへ呼びたい場合はそちらをKPIにします。(出典:Xヘルプ)
  • TikTok:ビジネスアカウントのウェブビジネススイートのアナリティクスでは、概要(リーチ・エンゲージメント・コンバージョン・フォロワー)、オーディエンス、動画を確認できます。(出典:TikTok for Business ヘルプ)
  • YouTube:インプレッションのクリック率は、インプレッションがカウントされた後に視聴者が動画を視聴した頻度です。公式は、十分なインプレッションが集まる前やアップロード直後の確認、小さな変動への即時対応を避けるよう案内しています。(出典:YouTubeヘルプ(クリック率))
  • LINE公式アカウント:友だち追加経路のブロック数は「選択期間中のブロック数」で、その期間に友だち追加したユーザーのブロック数ではないと説明されています。友だち追加数と並べて見るときは、この違いを踏まえます。(出典:LINE公式アカウントのマニュアル)

こうした定義の違いがあるため、複数のSNSの数字を足して1つのKPIにするのは避け、SNSごとに並べて管理するのが安全です。エンゲージメント率を自分で計算する場合は、式を明記し、公式の指標ではないと断っておきましょう。考え方はSNSのエンゲージメント率を改善する方法にまとめています。

「数が大きく見える指標」と事業成果の距離

フォロワー数や「いいね」は、運用の手応えを知るうえで便利な指標です。ただ、それだけでは「事業の成果に近づいたか」は分かりません。フォロワーが増えても問い合わせが増えているとは限らないため、主なKPIは事業成果に近いもの(サイトへの流入、問い合わせ、友だち追加など)にして、フォロワー数や反応数は補助指標として並べると、会議での判断がぶれにくくなります。

逆に、事業成果に近い指標は数が少なく、増減が大きく見えがちです。数が少ないうちは、1か月ごとの上下に一喜一憂せず、数か月単位の傾向を見ることを勧めます。

見る頻度と役割分担(当社の一例)

頻度見るもの決めること
週次直近の投稿の反応、施策の進み具合来週の投稿の型やテーマを調整するか
月次KPIの目標と実績、事業への結びつき施策を続ける・変える・やめるか、予算や人員
四半期KGIの達成状況、KPIの見直しKPIそのものが目的に合っているか

一部のSNSでは数字の反映に時間差があり、画面で選べる期間にも上限があるため、記録する日を決めておくと安全です。月次の報告の組み立てはSNSレポートの作り方、各SNSの画面の見方はSNS効果測定の方法をご覧ください。

KPI設定のよくある失敗

失敗例対処
KPIが多すぎて見きれない目的ごとに2〜3個に絞り、残りは参考として扱う
フォロワー数だけを追う事業成果に近い指標を主KPIにし、フォロワー数は補助にする
他社の相場を目標にする自社の過去の記録から決め、定義が違う数字は比べない
定義が人によって違う指標ごとに定義と取得画面を1枚にまとめて共有する
決めたきり見直さない四半期に1回、KPIが目的に合っているか確認する

よくある質問(Q&A)

Q. KPIはいくつ設定すればよいですか?
A. 公式に決まった数はありません。当社の目安は、目的ごとに2〜3個です。多いと見る時間が増え、改善に回せなくなります。

Q. フォロワー数はKPIにしてよいですか?
A. 補助指標として記録するのは有用です。ただ、フォロワー数だけでは事業の成果が分かりにくいため、問い合わせやサイト流入など成果に近い指標を主KPIにすることを勧めます。

Q. KPIの成果はどのくらいで見えてきますか?
A. 期間は業種・投稿頻度・予算で大きく変わり、一律の目安は示せません。まず同じ方法で記録して自社の傾向をつかみ、その上で施策の前後を比べてください。なお、SNSによっては数字の反映に時間差が出ることがあります。

まとめ

SNS運用のKPIは、事業の言葉のKGIから逆算し、SNSの反応からサイトでの行動、成果までを順に分解して決めます。指標の定義はSNSごとに違うため、公式ヘルプで確認してからKPIにし、目標値は他社の相場ではなく自社の過去の数字から決めましょう。

最初の一歩として、運用の目的を1文で書き、KGIと主なKPIを2〜3個、取得する画面と見る頻度とあわせて1枚にまとめてみてください。

参考情報・出典