SNSレポートの作り方|経営者に伝わる月次レポートの構成とテンプレート

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SNS運用の成果を経営者や上司に報告するとき、「何をどの順番で見せれば伝わるのか」で手が止まる担当者は少なくありません。フォロワー数や「いいね」を並べても「事業にどう効いているの?」と聞かれて詰まる、というのはよくある場面です。

この記事では、月次レポートの構成、各SNSの数字の集め方、SNSからの流入を事業の成果とつなぐ方法(UTMとGA4)、雛形をまとめます。構成や雛形は当社の一例であり、唯一の正解ではありません。指標の定義は各SNSの公式ヘルプで確認できた範囲だけを書き、「この数字なら合格」といった相場は書きません(会社や段階で大きく違うため、自社の過去の数字を基準にします)。

この記事の3行まとめ

① レポートは「読む人が何を決めるか」から逆算し、1枚目に結論・課題・来月やることを置く
② 指標は各SNSで定義が違う。名前が同じでも足し算や比較をせず、数字の出所と取得日を残す
③ 事業との結びつきは、リンクにUTMを付けてGA4で見る。取れない数字は「不明」と書き、推測で埋めない

最初に決めること:誰が、何を決めるためのレポートか

レポートの目的は数字を見せることではなく、読む人が判断することです。先に「誰が読み、何を決めるのか」を書き出すと、載せる内容が絞れます。たとえば経営者なら「続けるか、予算や人を増減するか」、現場リーダーなら「どの投稿が良かったか」、営業や店舗スタッフなら「問い合わせや来店につながっているか」が知りたいことの例です。

全員分を1つに詰め込むと長くなり、読まれません。1枚目は経営者向けのサマリー、2枚目以降は現場向けの詳細と分けるのが当社の勧め方です。何をKPIにするかはSNS運用のKPI設定完全ガイドで整理しています。

月次レポートの構成(当社の一例)

次の5項目で組み立てると読む側が迷いにくくなります。分量の基準は「1枚目だけ読めば判断できるか」です。

項目書くこと
1. サマリー今月の結論を1文。良かった点、課題、来月の重点を短い箇条書きで
2. 目標と実績KPIごとに、目標・実績・前月との差と、差の理由(事前に決めた目標を使う)
3. 施策の振り返りやったこと→結果→理由の仮説→次にどうするか。1施策ごとに短く
4. 事業への結びつきサイト流入、問い合わせ・予約・購入のうち、SNS経由と分かる範囲。取れていない場合はその旨
5. 来月の計画施策名・目的・見るKPI・担当・期限、経営者に判断してほしいこと(予算・人員など)

数字の集め方:指標は名前が同じでも定義が違う

よくある間違いは、別のSNSの数字を同じ意味だと思って足したり比べたりすることです。公式ヘルプで確認できた主な指標と注意点は次のとおりです(仕様は変わるため、最新は各ヘルプで確認してください)。

SNS公式ヘルプで確認できた主な指標レポートで気をつけたい点
Instagram閲覧数(再生または表示された回数)、閲覧者(画面上で1回以上表示したユニークアカウント数)、インタラクション(いいね・コメント・保存・シェアなどの回数)、合計フォロワー閲覧者などは推定値と説明されている。表示期間は過去90日以内から選ぶため、月に1度は数字を控える
Xインプレッション、エンゲージメント(投稿へのクリック、リポスト、返信、いいね等の合計)、エンゲージメント率(エンゲージメント数÷インプレッション数)初期表示は直近28日。CSVは1回最大30日分で、時刻はUTC
TikTokTikTok Studioのインサイト(コンテンツのパフォーマンス、視聴者の属性、エンゲージメントの傾向)。ウェブのビジネススイートは、概要(リーチ・エンゲージメント・コンバージョン・フォロワー)、オーディエンス、動画反映に時間差が出る投稿があり、違和感があれば数日待って再確認するよう案内されている
YouTubeインプレッションのクリック率(インプレッションのカウント後に視聴者が動画を視聴した頻度)、視聴者維持率クリック率は十分なインプレッションが集まってから見るよう案内されている。維持率の処理には通常1〜2日
LINE公式アカウント友だち追加数、ターゲットリーチ、ブロック数、友だち追加経路初期表示は直近7日分、最大397日まで選べる。経路は最大90日で、日ごとの友だち追加が20未満だと表示されない

出典:Instagramヘルプ、Xヘルプ、TikTokヘルプ(インサイト)、TikTok for Business ヘルプ、YouTubeヘルプ(クリック率)、YouTubeヘルプ(維持率)、LINE公式アカウントのマニュアル

この表から言えることは2つです。第一に、Instagramの「閲覧数」とXの「インプレッション」のように似た名前の指標は、数え方が同じとは限らないため、合算して「総リーチ」のようにしないことです。第二に、エンゲージメント率はXのヘルプでは「エンゲージメント数÷インプレッション数」と定義されていますが、Instagramのインサイトのヘルプで読んだ範囲には同名の指標が見当たりませんでした。自分で比率を計算する場合は、式を脚注に書き、公式の指標ではないと明記してください。考え方はSNSのエンゲージメント率を改善する方法、各SNSの画面の見方はSNS効果測定の方法で解説しています。

SNSと事業成果をつなぐ:UTMとGA4

SNSの管理画面で分かるのは、SNSの中での反応までです。サイトに来たあとの行動は、Googleアナリティクス(GA4)で見ます。そのために、リンクにUTMパラメータを付けて、どの投稿・施策から来たのかを区別します。

Googleの公式ヘルプでは、リンク先URLにutm_source(参照元)、utm_medium(メディア)、utm_campaign(キャンペーン)を付けるとされ、この3つはどのケースでも使う必要があると書かれています。値は大文字と小文字が区別され(googleとGoogleは別扱い)、1つだけ付けて他を省くと「(not set)」と表示されることがあるため、関連するものはまとめて設定するよう案内されています。(出典:Googleアナリティクスヘルプ(UTM))

パラメータ公式での意味当社の命名例
utm_source参照元を識別(google、newsletter4など)instagram、x、tiktok、line
utm_mediumマーケティングメディアを識別(cpc、banner、emailなど)social(広告は paid_social のように分ける)
utm_campaign商品、スローガン、プロモーションコードを識別autumn-campaign

URLの例(当社作成):https://www.example.com/?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=autumn-campaign

命名ルールを1枚の表にして、全員が同じ綴りを使うことが大切です。公式ヘルプも小文字での統一を標準としています。(出典:Googleアナリティクスヘルプ(UTM))

GA4のデフォルト チャネル グループでは、メディアが「social」「social-network」「social-media」「sm」などのいずれかであればオーガニック ソーシャルに分類される、と説明されています。一方で、YouTubeやTikTokなど動画サイトからの広告以外のリンクは、オーガニック動画というチャネルの説明に入っています。(出典:Googleアナリティクスヘルプ(チャネル))自社のSNS流入がどのチャネルに入るか、一度確認しておくと読み違いを防げます。

サイト側の数字は、セッション(ユーザーがサイトを操作する時間のまとまり。初期設定では30分操作がないと終了)で見ます。(出典:Googleアナリティクスヘルプ(セッション))問い合わせ完了や予約完了のような「事業にとって特に重要なアクション」は、GA4でキーイベントとして設定できます。(出典:Googleアナリティクスヘルプ(キーイベント))SNS側のリンククリック数とGA4のセッション数は数え方が違うため、一致しない前提で傾向を見てください。

経営者に伝わる書き方の4つのコツ

  • 結論を先に、理由を後に:「今月は〇〇が増えた。理由は〜」の順にする
  • 原因と次の一手をセットにする:仮説と次の行動までを書く
  • 事実と推測を分ける:画面の数字は事実、理由は仮説と明記し、取れない数字は「不明」と書く
  • 数字の出所と取得日を添える:どの画面を、いつ取ったか

成果が出なかった月も、事実をそのまま書き、仮説と改善策を添えるほうが信頼につながります。競合との比較を入れたい場合はSNS競合分析のやり方も参考にしてください。

月次レポートの雛形(当社の一例)

1枚目に入れる文章の型です。〇〇には自社の内容を入れてください。

見出し書き方の例
今月の結論〇〇(SNS名)の〇〇が、目標〇〇に対して〇〇だった。主な理由は〇〇(仮説)
良かった点〇〇の投稿は、前月比で〇〇が増えた。〇〇の型を来月も続ける
課題〇〇が目標に届かなかった。理由の仮説は〇〇。確認方法は〇〇
事業への結びつきSNS経由(UTMで確認できた範囲)の問い合わせは〇件。取得できていない項目は〇〇
来月の重点施策〇〇(目的〇〇、見るKPIは〇〇、担当〇〇、期限〇〇)
お願いしたい判断〇〇について、予算・人員の可否をご判断ください

レポート作成のよくある失敗

失敗例対処
数字を並べて終わる各数字に「だから何か」を1行添え、最後に来月の行動を書く
SNSごとの指標を合算する定義が違う指標は並べて示し、合算しない
SNSの反応だけで事業貢献を語るUTMとGA4で流入や問い合わせまでつなぐ。取れない部分は不明と書く
毎月指標や集計方法が変わる指標と式を固定し、変えるなら変更点を明記する

よくある質問(Q&A)

Q. 成果が出ていない月のレポートはどう書けばよいですか?
A. 数字はそのまま報告し、理由の仮説と次に試すことを添えます。仮説は断定せず、確認方法まで書くと次の判断がしやすくなります。

Q. SNS経由の問い合わせ数が取れない場合は?
A. 取れない項目は「不明」と書き、取れる範囲(リンクのクリック数、UTM付きリンクからの流入など)を示します。キーイベントの設定を来月の施策にするのも一案です。(出典:Googleアナリティクスヘルプ(キーイベント))

Q. レポートは毎月どのタイミングで作るのがよいですか?
A. 各SNSの数字には反映の時間差があり(TikTokやYouTubeのヘルプに記載があります)、画面の期間にも上限があります。月初の決まった日に数字を記録し、数日後にレポートにまとめる運用が目安です。(出典:TikTokヘルプ(インサイト)、YouTubeヘルプ(維持率))

まとめ

SNSの月次レポートは、読む人が何を決めるのかから逆算し、サマリー・目標と実績・施策の振り返り・事業への結びつき・来月の計画の順で組み立てます。指標はSNSごとに定義が違うため合算せず、UTMとGA4で流入や問い合わせとつなぎ、取れない数字は不明と書きましょう。

最初の一歩として、UTMのルールを決め、1枚目の雛形に今月の数字を入れてみてください。

参考情報・出典