SNSのエンゲージメント率を改善する方法|データ分析から施策立案まで

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「いいねは増えているのに、フォロワーが増えない」「エンゲージメント率が下がってきた」。SNS運用でよくある悩みです。ただ、率は分子(反応)と分母(見られた数やフォロワー数)の両方で動く数字です。何を分母にした率なのかを決めないまま対策を打つと、的外れな改善になりがちです。

この記事では、公式ヘルプで確認できた指標の定義を整理し、計算式の決め方、投稿を比べる分析の手順、媒体別の施策までを説明します。公式に定義がない「エンゲージメント率」の計算式は「当社の例(公式指標ではない)」と明記し、施策の効果は断定しません。

この記事の3行まとめ

① 「エンゲージメント率」の公式な定義があるのはX(エンゲージメント数÷インプレッション数)。Instagramなどは公式の指標名にないため、自社で式を決めて固定する
② 分析は「上位と下位の投稿を比べ、仮説を1つ立てて試す」の繰り返し。業界平均ではなく自社の過去と比べる
③ 施策は媒体ごとの公式指標(閲覧者、継続率、維持率、クリック率など)に合わせて選ぶ。反応の購入などの近道は避ける

エンゲージメント率とは?媒体ごとに公式の指標は違う

エンゲージメントは一般に、投稿への反応(いいね、コメント、シェアなど)を指します。公式ヘルプで確認できた範囲では、指標も「率」の定義も媒体で異なります。

媒体公式ヘルプで確認できた主な指標「率」の公式な定義
Instagram閲覧数、閲覧者(1回以上表示したユニークアカウント数。推定値)、インタラクション(いいね・コメント・保存・シェアなどの回数)、アクションを実行したアカウント数(Instagramヘルプ(インサイトについて))「エンゲージメント率」の項目は見当たらなかった
Xインプレッション、エンゲージメント(投稿上のクリックや返信、リポスト、いいね等の合計)、リンククリック、プロフィールクリック(Xヘルプ(Post Activity Dashboard))エンゲージメント率=エンゲージメント数÷インプレッション数
TikTok閲覧数、いいね・コメント・シェア数、継続率、平均視聴時間、動画を最後まで視聴(TikTok Creator Academy(TikTokインサイトのご紹介))読んだ記事に定義は見当たらなかった
YouTube平均視聴時間、視聴者維持率、高評価(低評価に対する比率)、終了画面要素のクリック率(YouTubeヘルプ(エンゲージメント))読んだページに定義は見当たらなかった
LINE公式アカウント配信、開封、クリックユーザー、吹き出しごとのインプレッション・クリック(LINE公式アカウント マニュアル(分析:メッセージ配信))クリック率=クリック数÷インプレッション数(吹き出し単位)

Xの「エンゲージメント」は、いいねや返信に加え、リンク・プロフィール・メディアのクリックなど投稿上のあらゆる操作の合計です。他のSNSの反応とは中身が違うため、媒体をまたいで率を比べても意味がありません。

自社の計算式を決める(当社の例・公式指標ではない)

公式に式がない媒体では、自社で1つ決めて固定します。例を2つ示します。

計算式の例向く場面注意点
反応の数 ÷ 閲覧者(リーチ)× 1001本ごとの内容の良し悪しを比べるInstagramの閲覧者は推定値。反応は「回数」、閲覧者は「人数」なので、1人が複数回反応すると数字が大きくなる
反応の数 ÷ フォロワー数 × 100アカウントの熱量を月次で見るフォロワー以外に広く届いた投稿は、率が低く出る場合がある

数字の例(架空)です。投稿Aは閲覧者2,000人・反応150回で7.5%、投稿Bは閲覧者8,000人・反応300回で3.75%とします。Bは反応の数が2倍ですが、率は半分です。「Bが悪い」とは限らず、広い層に届いて分母が増えた可能性もあります。率だけでなく分子と分母を並べて見るのが基本です。

分析する:上位・下位の投稿を比べる5ステップ

  1. データを集める:数字を見られる期間には限りがあります(Instagramのアカウント全体は過去90日以内。出典:Instagramヘルプ(インサイトを見る))。月ごとに書き出して残しましょう
  2. 上位と下位を抜き出す:決めた式で、上位5件・下位5件(目安)を並べます
  3. 共通点を分類する:テーマ、形式(静止画・動画など)、冒頭の一文、長さ、リンクの有無、投稿日時を表にします
  4. 仮説を1つだけ立てる:たとえば「冒頭に結論を置くと、最後まで見られやすい」。複数を一度に変えると、原因が分かりません
  5. 次の2〜4週間で試し、記録する:同じ形式・テーマで数本投稿し、数字の変化を見ます(期間は目安)

媒体別:見る指標と施策の例

「施策の例」は当社の運用上の例で、効果を保証しません。公式の記載には出典を付けています。

Instagram:閲覧者・インタラクションに加え、公式の説明を手がかりにする

Instagramは2023年5月31日の記事で、ランキングは場所ごとに別のしくみだと説明しています。フィードでは「投稿を数秒見る」「コメントする」「いいね!」する「シェアする」「プロフィール写真をタップする」の5つのアクションを特に重視し、発見タブでは「いいね!」、保存、シェアなど、リールでは再シェア、最後まで見る可能性などを特に重要な予測としています。また、低解像度・透かし入り・ミュート・枠線あり・文字がメイン・すでに投稿された動画は、リールの露出を抑える例として挙げています。(出典:Instagram「ランキングを解説」(2023年5月31日))3分を超えるリールは、新しいオーディエンスにはおすすめされません。(出典:Instagramヘルプ(リール動画を撮影する))

施策の例:冒頭の数秒で内容が分かるようにする、最後まで見られる長さに整える、透かし入りの動画を使わない。インサイトの読み方とリーチ率の改善も参照してください。

X:反応の種類を分けて見る

Xでは、投稿ごとにインプレッション、エンゲージメント、エンゲージメント率を確認できます。ダッシュボードは無料で、初期表示は直近28日。CSVの書き出しは一度に30日分まで、3,000件が上限です。(出典:Xヘルプ(Post Activity Dashboard))

施策の例:サイトへの誘導ならリンククリック、知ってもらうならプロフィールクリックなど、目的に合う反応の数字を見ます。合計の率だけでは何が起きたか分かりません。

TikTok・YouTube:視聴の「続き方」を見る

TikTokのインサイトでは、継続率、平均視聴時間、動画を最後まで視聴した割合を確認できます。公式は、最後まで視聴した割合は動画の合計時間によっても変動すると説明しています。(出典:TikTok Creator Academy(TikTokインサイトのご紹介))YouTubeの視聴者維持率では、グラフの谷は視聴を止めた、またはスキップした部分、山は何度も視聴された、または共有された部分を示すとされ、イントロは最初の30秒が経過した後も視聴した視聴者の割合です。公式は、イントロの割合を高める方法として、サムネイルやタイトルを動画の内容に合うものにすること、最初の30秒を変えて試すことを挙げています。(出典:YouTubeヘルプ(視聴者維持率))

施策の例:谷の直前の内容を短くする、山の部分を別の動画で深掘りする。長さの違う動画を同じ基準で比べないようにします。

LINE公式アカウント:開封とクリックを分けて見る

LINE公式アカウントでは、開封は「いずれかの吹き出しが100%表示された時点」でカウントされ、既読になっていても吹き出しが表示されていなければカウントされません。クリック率は、吹き出し単位でクリック数をインプレッション数で割った値です。各指標は配信から14日間集計されます。(出典:LINE公式アカウント マニュアル(分析:メッセージ配信))また、料金プランごとに無料メッセージ通数が決まっており、通数は「メッセージを送った回数」×「送った友だちの数」で数えられます。(出典:LINEヤフー for Business(料金プラン))

施策の例:1通に1つの目的に絞り、最初の吹き出しで内容が分かるようにする。配信回数を増やす前に通数への影響も確認する。

やってはいけないこと

  • 反応を購入する:Instagramは「いいね!」やフォロワーを提供するアプリを使わないよう案内しており、生成されたエンゲージメントの削除、機能の制限、アカウントの停止・終了もあり得るとしています(Instagramヘルプ(「いいね!」やフォロワーを提供するアプリ))
  • 広告なのに表示しない:広告であることを隠すステルスマーケティングは景品表示法違反です(消費者庁(ステルスマーケティング))
  • 他社の投稿や画像を無断で使う:他人の作品をネットに載せるには、原則として権利者の許可が必要です(文化庁)。個別の判断は専門家に確認してください

目標値の置き方

業界ごとの「平均エンゲージメント率」は、公式資料で確認できませんでした。目標は自社の過去3か月の数字(中央値など)を基準に、「次の1〜2か月で少し上げる」程度が現実的です(当社の例)。指標の選び方はSNS運用のKPI設定、数字の見方全体はSNS効果測定の方法へ。

よくある失敗

失敗例対処
率だけを見る反応の数と閲覧者・インプレッションも記録する
媒体の違う率を比べる媒体ごとに定義が違うため、自社の過去と比べる
数字を残さず比べられなくなる月ごとに書き出して保存する
平均値の噂に合わせる公式の説明と自社データで判断する

よくある質問(Q&A)

Q. ストーリーズの投票や、コメントを誘う問いかけは有効ですか?
A. 参加型の工夫として一般的に使われますが、公式ヘルプでその効果は確認できませんでした。1回に1つだけ取り入れ、自社の数字で効果を確かめてください(当社の例)。

Q. 保存を増やせばエンゲージメント率は上がりますか?
A. 上がるとは断定できません。Instagramは発見タブで「いいね!」、保存、シェアなどを特に重視する予測があると説明していますが、これは表示の予測の話で、率が上がる保証ではありません。(出典:Instagram「ランキングを解説」(2023年5月31日))

Q. フォロワーが少なく、数字がぶれます。
A. 1本ごとの率より、月次の合計や複数投稿の平均で見るほうが安定します(当社の例)。コメントの中身を読むことも有効です。

まとめ

エンゲージメント率は、媒体ごとに公式の定義が異なり、今回確認できた公式の「率」はXだけでした。自社の式を決めて固定し、上位・下位の投稿を比べて仮説を1つずつ試すことが改善の近道です。

最初の一歩として、今日、自社の式を1つ決め、直近の上位5件と下位5件を表に並べてみてください。

参考情報・出典