TikTok広告は、TikTok上に動画広告を配信する仕組みです。TikTok for Businessの発表では、日本国内の月間利用者数はTikTokとTikTok Liteの合計で4,200万超(自社調べ)とされています。(出典:TikTok for Business ブログ)
この記事では、広告アカウントの作り方から、目的・予算・ターゲティング・動画の仕様・計測・審査・法令、小さく始める手順までを、公式ヘルプと消費者庁の資料で確認できた範囲でまとめます。
この記事の3行まとめ
① 広告アカウントは「TikTok広告マネージャー」で作る。審査は通常24時間以内で、承認まで配信できない。公式サイトが必要
② 公式ヘルプの最低予算は、日予算でキャンペーン50米ドル・広告セット20米ドル。目的を1つに絞って小さく試す
③ 反応のよかった自社投稿を広告にする「Spark Ads」は始めやすい。誇大表現や広告と分かりにくい投稿は避ける
TikTok広告を始める前に:アカウントの関係
TikTok広告は、広告マネージャーでキャンペーンを作り、審査を経て配信します。(出典:広告マネージャーについて)TikTokに掲載できるのは動画広告のみで、長さは5秒〜10分です。(出典:広告審査のFAQ)
アカウントの種類は混同しやすいため整理します。(出典:アカウントの種類、ビジネスセンターの設定方法)
| アカウント | 役割 |
|---|---|
| TikTokビジネスアカウント | 分析機能などを備えた、ブランド向けの公開プロフィール |
| TikTok for Businessアカウント | 広告マネージャーなどに共通でログインするアカウント。広告やSpark Adsの作成に使う |
| 広告マネージャーアカウント | 広告を作成・管理する。利用にはTikTokビジネスアカウントが必要と記載 |
| ビジネスセンター | 複数のアカウントやメンバーの権限を一元管理する場所(代理店は開設が必須、広告主は必要に応じて選択。2023年のブログ記事(出典:アカウント開設ガイド)) |
ビジネスアカウントの作り方はTikTok企業アカウントの始め方をご覧ください。
TikTok広告アカウントの作り方
セルフサービス型の開設の流れは次のとおりです。(出典:広告マネージャーアカウントの設定方法)
- 登録:登録ページでメールアドレスまたは電話番号とパスワードを設定し、認証コードを入力
- 広告主アカウントの作成:国または地域、業種、法人名、タイムゾーン、電話番号、通貨を入力
- 請求・支払い情報の入力:請求先住所や税務情報を求められる場合がある
- 承認を待つ:広告アカウントは自動で審査に進み、通常24時間以内に完了。キャンペーンは作れるが、承認まで配信はできない
- 法人名は実在の社名と一致させる:一致しないと承認されないことがあります
- 公式サイトが必要:公式サイトを運営している場合に限り承認され、SNSのプロフィールを公式ページとしている場合も公式サイトが必要とされています(出典:アカウントの承認FAQ)
キャンペーンの構造と目的の選び方
広告は「キャンペーン」「広告グループ」「広告」の3階層です。キャンペーンで目的と予算、広告グループでターゲット・予算・入札、広告で動画と文言を設定します。(出典:広告構造について)目的は3カテゴリーから選びます。(出典:適切な目的の選択)
| カテゴリー | 目的 | 公式ヘルプの説明 |
|---|---|---|
| ブランド認知 | リーチ | できる限り多くの人に広告を表示する |
| 購買検討 | トラフィック | サイトやアプリの指定ページに誘導する |
| 購買検討 | 動画視聴数 | 動画の視聴やエンゲージメントを増やす |
| 購買検討 | コミュニティインタラクション | フォロワーやプロフィール訪問の獲得など |
| コンバージョン | リードジェネレーション | 見込み客の情報を集める |
| コンバージョン | 販売 | 商品を販売する |
キャンペーンは、手動、検索連動型、Smart+(AIによる自動化)のいずれかで作成します。(出典:キャンペーンの設定方法)目的は「広告を見た人にしてほしい行動」から選びます。サイトへの誘導なら「トラフィック」、問い合わせの収集なら「リードジェネレーション」が候補です(運用上の例)。最初は1つに絞ると結果を読み取りやすくなります。
広告の種類と費用感
| 形式 | 公式ヘルプで確認できた内容 | 費用・条件 |
|---|---|---|
| インフィード広告(Spark Ads以外) | 広告用の動画をアップロードして配信する(出典:In-Feed Adsの仕様) | 通常の予算設定 |
| Spark Ads | オーガニック投稿を広告にする。クリエイターの許可を得た投稿も使え、広告で得た視聴・コメントなどは元の投稿に帰属する(出典:Spark Adsについて) | 通常の予算設定。1アカウント最大10,000件 |
| TopView | TikTokを開いた直後のフルスクリーン動画広告(出典:TopViewについて) | CPM購入。現在は条件を満たす場合のみ。最低支出額は市場で異なり、営業担当者に確認 |
TopViewは予約が前提のため、小さな予算で試す入口には、インフィード広告かSpark Adsが現実的です(運用上の考え方)。他の形式や具体的な費用は、原文で確認できなかったため記載しません。
予算と入札の考え方
日予算・通算予算と最低予算
予算には、1日あたりの平均金額を決める「日予算」と、期間中の合計を決める「通算予算」があります。公式ヘルプでは、最低予算が米ドルで次のように示されています。(出典:予算について)
| 種類 | キャンペーン | 広告セット |
|---|---|---|
| 日予算 | 50米ドル以上 | 20米ドル以上 |
| 通算予算 | 50米ドル以上 | 20米ドル×配信日数(31日なら620米ドル以上) |
「月2〜3万円から」といった目安は公式で確認できないため使いません。円建てでの下限は広告マネージャーで確認してください。同じページには、まず日予算で様子を見ること、予算の増額は学習期間中は1回40%まで、終了後は30%までにすること、配信開始後は予算の種類を切り替えられないことも書かれています。
学習期間と推奨予算
配信の初期は、システムが合うユーザーを探す「学習期間」です。約25件の成果または7日が経つと変動が落ち着き始めるとされ、その間の一時停止や学習をやり直す編集は避けるよう案内されています。(出典:学習期間)目標別の推奨最低予算も示されています。(出典:予算のベストプラクティス)
| 最適化の種類 | 予算下限の目安 | CPAが不明な場合 |
|---|---|---|
| 浅層コンバージョン(ページ閲覧など) | 現在のCPA/CPRの50倍 | 100米ドル相当 |
| ディープコンバージョン(カート追加・購入など) | 現在のCPAの10倍 | 200米ドル相当 |
入札タイプ
- 最大配信:予算内で成果を最大化する。成果単価の目標がなければ推奨され、1日の予算は過去7日の平均CPAの10倍が目安
- 目標成果単価上限:CPA目標に近づけるよう最適化する。予算はCPA入札額の10倍以上が目安(出典:入札タイプのベストプラクティス)
ターゲティングの設定
ターゲティングは広告グループで設定します。条件は、デモグラフィック、オーディエンス、高度なターゲティング、デバイス、スマートターゲティングに分かれ、同じ条件内はOR、異なる条件の組み合わせはANDです。(出典:ターゲティングのディメンション)
興味関心ターゲティングは、ユーザーの長期的な興味やTikTok上での関わりをもとに配信する方法です。ペルソナに合うカテゴリーを複数選ぶこと、情報が少なければ関連カテゴリーを選んで探索をシステムに任せることが案内されています。(出典:興味関心ターゲティング)
「TikTokは若年層向け」と言われますが、年齢別の利用者数は公式資料で確認できなかったため、数字は記載しません。年齢などは自社の顧客像に合わせ、配信後のデータで見直しましょう。
広告クリエイティブの要件
インフィード広告(Spark Ads以外)の主な仕様です。(出典:In-Feed Adsの仕様)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 比率・サイズ | 縦型9:16を推奨(540×960ピクセル以上)。横型16:9は960×540以上、正方形1:1は640×640以上 |
| 形式・サイズ | .mp4、.mov、.mpeg、.3gp、.avi/最長10分/500MB以下 |
| キャプション | リンク・@・ハッシュタグは使えない |
| 表示名 | 日本語は最大10文字 |
Spark Adsは、広告として承認された後はキャプションを編集できません。非公開の動画は、キャンペーンで使うと公開されます。(出典:Spark Adsの作成方法)動画は、冒頭で何の話かを示し、音声と字幕を入れ、伝える内容を1つに絞るのが基本です(運用上の例)。詳しくはSNS広告クリエイティブ制作をご覧ください。
計測の準備:TikTok Pixelとイベント
成果を測るには、サイトにTikTok PixelまたはイベントAPIを設定します。設定方法はイベントビルダー、カスタムコード、イベントAPIの3つで、TikTokはPixelとイベントAPIの両方を推奨しています。(出典:TikTok Pixelの設定と検証)広告マネージャーの「ツール」の「イベント」から「データソースを連携」を選びます。(出典:広告マネージャーについて)イベントが届くことを確認してから配信を始めましょう。
審査・広告ポリシーと法令
広告は設定後に自動で審査され、通常24時間以内に完了します。配信地域やクリエイティブを編集するたびに再審査されます。却下された場合は、広告主サポートチケットで再審査を依頼する方法もあります。(出典:広告審査のFAQ)公式の却下例には次のものがあります。(出典:広告審査却下のよくある原因)
- 「世界でNo.1」「すべての病気を治す」といった誇張・誤解を招く表現
- 広告の価格や割引がリンク先と一致しない(例:広告は「最大50%オフ」、サイトは「最大30%オフ」)
- リンク先が表示されない、モバイル未対応、連絡先なし
- 音声やBGMが全くない動画、低解像度の映像
- 許可のない第三者のロゴの使用
法令では、景品表示法が品質を実際より著しく優良と示す「優良誤認表示」と、価格や取引条件を著しく有利と示す「有利誤認表示」を禁じています。効果や性能の表示は、根拠資料の提出を求められ、示せないと不当表示とみなされる場合があります。(出典:消費者庁「表示規制の概要」)また、令和5年(2023年)10月1日から、広告であることを隠すステルスマーケティングは景品表示法違反です。企業がインフルエンサーに依頼・指示した投稿も広告に含まれ、SNS投稿も対象です。(出典:消費者庁「ステルスマーケティング」)クリエイターの投稿をSpark Adsで使う場合などは、広告と分かる表示にしておきましょう。TikTokも、宣伝目的の投稿では商用コンテンツ公開設定を求めています。(出典:商用コンテンツ公開設定)個別の判断は専門家や所管の窓口に確認してください。
少額から始める手順(例)
以下は運用上の例で、成果を保証しません。
- 準備:公式サイトを整え、法人名を正しく入力して広告アカウントを作る
- 目的を1つに絞る:サイトへの誘導か、問い合わせか
- 素材を決める:反応のよい自社投稿があればSpark Ads。なければ動画を2パターン用意
- 日予算で設定する:最低予算を満たす範囲で、広告セットは1つ、ターゲットは広めにする
- 計測を確認する:イベントが届くか確認してから配信
- 学習期間中は触りすぎない:約25件の成果または7日が目安
- 見直す:1週間ほどで、動画かターゲットのどちらか1つを変えて次を試す
他媒体との比較は、低予算から始めるSNS広告完全ガイドやFacebook広告の始め方も参考にしてください。
オーガニック投稿と広告の組み合わせ
Spark Adsでは広告で得た反応が元の投稿に帰属するため、広告をやめても投稿に残ります。(出典:Spark Adsについて)まず通常の投稿で反応を見て、よかった投稿をSpark Adsで広げるのが例です。クリエイターの投稿は、クリエイターが生成した認証コードを広告マネージャーで承認して使います(一度に最大20件)。(出典:Spark Adsの作成方法)報酬や権利の取り決めは事前に確認しましょう。
TikTok広告のよくある失敗
| 失敗例 | 対処 |
|---|---|
| 目的を決めずに設定を始める | 最初は目的を1つに絞り、見る指標も1つ決める |
| 学習期間中に設定を何度も変える | 約25件の成果または7日を目安に、一時停止や大きな編集を避ける |
| 広告の価格とリンク先が違う | 広告とリンク先の表記を一致させる |
よくある質問(Q&A)
Q. TikTok広告は、いくらから始められますか?
A. 公式ヘルプの最低予算は、日予算でキャンペーン50米ドル以上、広告セット20米ドル以上です。円建てアカウントでの金額は広告マネージャーで確認してください。
Q. 動画を作る余裕がありません。
A. 静止画しかない場合は、動画テンプレートなどのツールで動画にできると案内されています(出典:広告審査のFAQ)。自社の投稿を使うSpark Adsもあります。
Q. 広告が却下されたらどうすればよいですか?
A. 却下理由を確認し、動画・文言・リンク先を修正して再審査に出します。誤りと考えられる場合は広告主サポートチケットで再審査を依頼できます。誇大表現は審査を通っても景品表示法上の問題になりうるため、根拠を示せる表現にしましょう。
まとめ
TikTok広告は、広告アカウントの開設と承認、目的の決定、予算・ターゲティング・動画・計測の設定という流れで始められます。日予算で小さく試し、学習期間中は設定を触りすぎないことが基本で、反応のよかった自社投稿をSpark Adsで広げる方法は始めやすい入口です。
承認には公式サイトが必要で、誇張表現や価格とリンク先の不一致は却下の原因になります。景品表示法やステルスマーケティング規制にも注意し、まずは目的を1つ決めて、広告アカウントの開設から進めましょう。
参考情報・出典
- TikTok公式ヘルプ「TikTok広告マネージャーアカウントの設定方法」
- TikTok公式ヘルプ「TikTokアカウントの種類」
- TikTok公式ヘルプ「TikTokビジネスセンターの設定方法」
- TikTok for Business ブログ「TikTok広告を始めるためのアカウント開設ガイド」
- TikTok公式ヘルプ「TikTok広告マネージャーについて」
- TikTok公式ヘルプ「アカウントの承認に関するよくある質問」
- TikTok公式ヘルプ「TikTok広告構造について」
- TikTok公式ヘルプ「適切な目的の選択」
- TikTok公式ヘルプ「How to set up an ad campaign」
- TikTok公式ヘルプ「予算について」
- TikTok公式ヘルプ「予算のベストプラクティス」
- TikTok公式ヘルプ「入札タイプのベストプラクティス」
- TikTok公式ヘルプ「学習期間」
- TikTok公式ヘルプ「Spark Adsについて」
- TikTok公式ヘルプ「Spark Adsを作成する方法」
- TikTok公式ヘルプ「TopViewについて」
- TikTok公式ヘルプ「TikTok Auction In-Feed Ads」
- TikTok公式ヘルプ「広告ターゲティングのディメンション」
- TikTok公式ヘルプ「興味関心ターゲティングについて」
- TikTok公式ヘルプ「TikTok Pixelの設定と検証方法」
- TikTok公式ヘルプ「広告審査に関するよくある質問」
- TikTok広告ポリシー「広告審査却下のよくある原因」
- TikTok公式ヘルプ「商用コンテンツ公開設定について(広告主向け)」
- TikTok for Business ブログ「国内MAU4,200万超のTikTok」
- 消費者庁「表示規制の概要」
- 消費者庁「ステルスマーケティングは景品表示法違反となります」
- 上記は2026年10月時点で確認した内容です。仕様・最低予算・審査基準は更新されるため、広告を出す前に公式ヘルプで最新の内容をご確認ください。

