LINE公式アカウント運用の成功事例|業種別に学ぶ活用パターン

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「LINE公式アカウントを始めても、本当に成果が出るのか」。導入前に誰もが気になる点です。しかし、成功事例の記事には、根拠の分からない数字や、自社と条件の違う大企業の話が混ざりがちです。そのまま真似しても、同じ結果になるとは限りません。

この記事では、LINEヤフー for Businessの公式サイトに掲載されている導入事例のうち、原文を読めた5件だけを取り上げます。飲食・精肉店・美容室・語学教室・士業の事務所です。数字は、すべて公式事例ページに書かれているものに限り、公開時期も添えます。架空の事例や、出典のない数字は載せていません。事例の数字は取材先の実績であり、同じ結果を保証するものではありません。

この記事の3行まとめ

① 取り上げるのは公式事例ページで原文を確認できた5件。数字は取材先調べで、掲載時点のもの
② 5件に共通するのは、「何のために使うか」を決め、友だち集めの導線・リッチメニューやチャットなどの機能・配信のリズムをその目的に合わせていること
③ 自社に取り入れるときは、事例の数字ではなく「目的と手順」を真似る。公開が古い事例は、機能や料金が変わっている可能性がある

事例の読み方|数字を見る前に確認すること

公式の事例ページには、取材時点の数値であること、実績は取材先調べであることが注記されています(公式事例「あっぷるアイビー」(2025年4月公開))。事例の数字を読むときは、次の3点を確認してください。

  • 何を分母にした数字か:友だち全体なのか、配信1回なのか、店舗全体の予約なのか
  • いつの数字か:公開が2020〜2021年の事例は、機能や運用の前提が今と違う場合がある
  • 自社と条件が近いか:店舗数、スタッフ数、商圏、客層(たとえば25店舗で本部が一括運用する飲食チェーンと、2人で運営する美容室では前提が異なる)

料金や無料メッセージ通数も、事例の当時とは異なります。2026年10月4日時点の公式ページでは、コミュニケーションプランが月額0円・200通、ライトプランが5,000円・5,000通、スタンダードプランが15,000円・30,000通です(税別)。(出典:公式「LINE公式アカウント料金プラン」)

【飲食】あっぷるアイビー|予約とクーポンをリッチメニューに集約

長野県を中心に飲食店を展開するあっぷるアイビーは、新聞折り込みチラシに代わる販促手段として2016年にLINE公式アカウントを開設し、2022年に「LINEで予約」を導入しました。現在は25店舗のアカウントを本部で一括運用しています。KPIは友だち数とLINEで予約の利用者数です。

  • 友だち集め:店頭での声がけが中心。特にモチベーションの高い店舗では、1週間で200名以上が友だち追加
  • リッチメニュー:「クーポンリスト」を設置した後、設置前と比べてクリック率が1.3倍に。総クリック数の約8割がクーポンリスト
  • 予約:2024年12月〜2025年1月の全店舗の総予約数のうち、LINEで予約経由が約8割
  • 配信のリズム:毎週金曜9時10分に一斉配信。「あっぷるぐりむ」は5のつく日をクーポンの日にしている

同社は、2019年と比べて1店舗あたりの売り上げが130%伸びたことに、LINE公式アカウントが貢献したと述べています。ただし、これは同社の評価であり、LINEだけの効果を切り分けた数字ではありません。(出典:公式事例「あっぷるアイビー」(2025年4月公開))飲食店の予約導線の作り方は、LINE公式アカウントの友だち増やし方も参考になります。

【精肉店】長沼精肉店|地域を絞った配信でテイクアウトの枠を埋める

埼玉県加須市で1949年に創業した長沼精肉店は、2017年12月にLINE公式アカウントを開設しました。アカウント開設から約3年で、友だちは2,600人になっています。当初は来店客にショップカード(1,000円以上の購入でポイント)を案内し、店頭で会話しながら友だち追加を促していました。

  • 配信:主婦層の生活サイクルに合わせ、朝8〜9時か夜22時頃に週1回のペースで配信
  • 絞り込み:テイクアウトの案内は、仮店舗周辺に配信地域を絞って送信
  • 結果(同店の説明):100杯限定の予約枠が、早い時は配信後10分で埋まる。一度の配信で約20万円の売上になったこともある
  • チャット:「長沼精肉店に聞きたいこと」というテーマで配信し、レシピの質問が多かったメニューをECショップで商品化

同店は、LINEのプッシュ通知を、購入を後押しする「最後の一押し」と捉えています。小さな店でも、配信先を地域で絞り、予約枠の開放と合わせて送るという使い方ができることが分かります。ただし、これは2021年3月公開の事例で、取材時はコロナ禍の店舗工事中という事情もありました。(出典:公式事例「長沼精肉店」(2021年3月公開))配信先の絞り込みは、LINE公式アカウントのセグメント配信で整理しています。

【美容室】L’la citta|電話対応の負担を減らし、予約と関係づくりに使う

新潟県長岡市の美容室L’la cittaは、2013年創業で、オーナースタイリストを含む2名で運営しています。営業中の電話対応で機会損失が出ていたことから、2014年11月にLINE公式アカウントを開設しました。

  • LINE経由で予約した人には、会計時にサイコロを振ってもらい、出た目に応じてポイントが付く特典を用意
  • 2021年春にWebサイトを改修し、LINEで予約できることを分かりやすく示したところ、友だち追加数が月平均で約3倍に(同店調べ)
  • 友だちは約3,800人(2023年9月時点)
  • メッセージは月1回の決まった日付に加え、不定期のクーポンも配信。ブロック率は30%前後に抑えている
  • パーソナルカラー診断の当日に、チャットでアンケートを送り、次回予約につなげている

ここで注目したいのは、友だちの数よりも、「入り口を増やし、出口(ブロック)を減らす」という考え方です。なお、消費者庁は、利用者や来店者を対象に金品等を提供する場合は「取引に付随」するとみなされ、景品規制の対象になると説明しています。自社で似た特典を設ける前に、ユーザー参加型キャンペーン設計で上限などを確認してください。(出典:公式事例「L’la citta」(2021年7月公開)/消費者庁「景品規制の概要」)

【語学教室】K Village Tokyo|友だち追加を「最初のゴール」にする

全国10校舎とオンラインで韓国語レッスンを提供するK Village Tokyoは、Webサイトが月間100万PVを記録していた一方で、体験レッスンの申し込みが伸び悩んでいました。そこで、友だち追加を途中のゴール(マイクロコンバージョン)に設定し、2018年10月にLINE公式アカウントを開設しました。5名体制で運用し、友だち数をKPIにしています。

  • 友だち数は2021年6月時点で30,000人以上
  • 集め方:Webページの「友だち追加」ボタン、体験レッスン申込者や来校者への声がけ
  • 配信:韓国文化に関する情報を週1回
  • リッチメニュー:体験レッスンの申込ページへのリンクを設置し、シーズンごとに見せ方を変更

教室がない地域の人からも友だち追加があり、出店計画の判断材料にもなると同社は述べています。今後は地域別に情報を出し分ける考えです。(出典:公式事例「K Village Tokyo」(2021年6月公開))

【士業】のぞみ社会保険労務士事務所|チャットボットと広告で問い合わせの初動を整える

神奈川県横浜市ののぞみ社会保険労務士事務所は、認知度向上を目的に2019年10月にLINE公式アカウントを開設しました。電話での初動対応の負担を減らすため、事業者向けの相談項目を4カテゴリー、個人向けを18カテゴリーに整理したチャットボットを、外部のパートナーサービスで実装しています。さらに、LINE広告の友だち追加配信を2020年5〜7月に行い、2020年8月末時点で500人以上の友だちを獲得しました。

この事例は、「FAQで解決できる相談はチャットボット、直接の回答が必要なものは代表者が対応する」と役割を分けた点がポイントです。なお、2020年の事例であり、使った外部サービスや広告の条件は今と異なる可能性があります。(出典:公式事例「のぞみ社会保険労務士事務所」(2020年9月公開))

5つの事例から見える共通点と、自社への取り入れ方

次は、5つの事例を読んで、この記事の筆者が整理した共通点です(事例ページの記述に基づく、考え方の例です)。

共通点事例での現れ方自社で取り入れるなら
目的が明確チラシの代替、電話対応の削減、体験申込の増加など「何を減らし、何を増やしたいか」を1行で書く
友だち集めの導線がある店頭の声がけ、Webの追加ボタン、予約特典店頭・Web・予約のどこで追加してもらうか決める
機能を目的に合わせて使うリッチメニュー、チャット、予約、配信地域の絞り込み最初から全部ではなく、目的に直結する1〜2機能から始める
配信のリズムを決めている週1回、決まった曜日と時間週1回を目安に計画し、結果を見て調整する

よくある失敗と対処

失敗例対処
事例の数字をそのまま自社の目標にする自社の過去実績を基準に、小さな目標を置く
公開が古い事例の機能を前提にする最新の機能・料金は公式で確認する
友だちの数だけを追う予約・来店・クーポン利用など、目的に直結する数字も見る
特典の内容や表示が事実と違う割引や特典の条件を実際にそろえる(景品表示法。消費者庁「表示規制の概要」)

よくある質問(Q&A)

Q. 小さな店でも事例のような成果は出ますか?
A. 事例の成果は、各社の客層・商圏・運用体制での結果で、保証はできません。長沼精肉店やL’la cittaのように少人数で運用している事例もありますが、まずは自社の目的に合う機能を1つ試し、結果を見て広げてください。

Q. 事例を探すにはどこを見ればよいですか?
A. LINEヤフー for Businessの導入事例ページで、業種別(飲食・美容・EC・教育・その他)に掲載されています。自社に近い業種の事例を、公開時期と一緒に確認しましょう。(出典:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 導入事例」)

Q. まず何から始めればよいですか?
A. まず目的を1行で決め、アカウントの開設と初期設定を済ませます。手順はLINE公式アカウントの始め方で解説しています。そのうえで、友だち集めと配信を順に整えましょう。

まとめ

公式の導入事例5件を読むと、成果の差は機能の数よりも、目的の決め方、友だち集めの導線、配信のリズムにありました。数字は取材先の実績であり、自社で同じ結果になるとは限りません。事例は、数字ではなく「目的と手順」を取り入れるための材料として使ってください。

まずは自社に近い業種の事例を公式ページで原文まで読み、目的を1行で書くところから始めましょう。

参考情報・出典