「全員に同じメッセージを送っているのに、反応が薄い」。LINE公式アカウントの担当者から、よく聞く悩みです。友だちの中には、追加したばかりの人も、何度も来店している人もいます。全員に同じ案内を送れば、一部の人には「自分に関係のない通知」になってしまいます。
この記事では、配信先を分ける「セグメント配信」を、公式マニュアルで確認できた機能と数値にもとづいて整理します。公式の用語は「絞り込み配信」です。使える条件、制約、設計と運用のポイントを、中小企業の担当者向けに説明します。数値や仕様は2026年10月4日時点で公式ページを確認できた範囲です。開封率・クリック率の読み方はLINEメッセージ配信の最適化で解説しているため、ここでは配信先の設計に絞ります。
この記事の3行まとめ
① 公式の絞り込み配信の配信先は、オーディエンス・過去の配信・属性(性別・年齢・地域)の3種類。属性は推定なので、目的によってオーディエンスと使い分ける
② 一人ひとりの誕生日や悩みで配信するには、アンケートやタグで情報を集めるか、有料のCRMオプションが必要
③ 配信先の人数には下限がある。まず1つの切り口で試し、結果を見て広げる
セグメント配信とは?公式の「絞り込み配信」の仕組み
メッセージの作成画面では、配信先を「すべての友だち」にするか「絞り込み」にするかを選べます。「絞り込み」では、オーディエンス・過去の配信・属性(フィルター)を指定できます。公式マニュアルは、配信先を指定することでメッセージ効果を高められるとしていますが、効果の大きさを示す数値は示されていないため、効果は自社の配信結果で確かめてください。(出典:公式マニュアル「絞り込み配信について」)
料金プランによる機能の差もありません。公式のFAQでは、違いは無料で送れる通数と追加メッセージの可否だけとされています。絞り込み配信は無料のコミュニケーションプランでも使えます。(出典:公式「LINE公式アカウント料金プラン」)
配信先に使える3種類の条件と制約
| 条件 | 絞り込みの軸 | 主な制約(公式の記載) |
|---|---|---|
| 属性 | 性別・年齢・地域など | ターゲットリーチ数100人以上、選択後の推計対象50人以上が必要。属性情報は概ね3日前のもの |
| オーディエンス | 反応や登録経路などで作ったグループ | 1メッセージに10個まで。掛け合わせ結果が50人以上必要 |
| 過去の配信 | 過去の絞り込み配信の対象者を含める/除外する | 認証済アカウントで利用可。配信完了から2週間(336時間)で選択不可 |
(出典:公式マニュアル「絞り込み配信について」/公式マニュアル「メッセージ配信を作成する」)
属性は「LINEの利用動向から推定したみなし属性」です。公式のQ&Aには、実際の属性と異なる場合があること、毎日更新されること、そのため「対象外と思われるユーザーにも届くことがある」ことが書かれています。推定配信数も概算です。年齢制限のある商品の案内など、正確さが必要な配信には向きません。属性は文面を変える目安にとどめましょう。(出典:公式マニュアル「絞り込み配信について」)
オーディエンスの種類と使いどころ
| タイプ | 対象 | 使いどころの例 |
|---|---|---|
| メッセージクリック | 配信したURLをクリックした人 | 関心を示した人へ詳しい案内 |
| メッセージインプレッション | 配信を開封した人 | 開封した人へのフォロー |
| リッチメニュークリック/インプレッション | メニューをタップした人/表示した人 | 予約ボタンへの関心で分ける |
| 友だち追加経路 | 特定の経路で追加した人 | 店頭QR経由の人へ来店特典 |
| チャットタグ | タグを付けた人 | 相談内容別の案内 |
| 予約 | LINEで予約した人 | 来店後のお礼・再来店案内 |
| ユーザーIDアップロード | TXT/CSVのIDで作成 | 自社名簿にもとづく配信 |
| ウェブトラフィック | 計測タグ等にもとづくサイト訪問者 | 見たが予約していない人へ |
(出典:公式マニュアル「オーディエンス」)
運用上の数値も確認しておきます。多くのタイプで、配信に使うにはサイズ50以上が必要です。友だち追加経路は90日以内が選べ、メッセージクリック/インプレッションは配信から60日以内のメッセージが対象です。チャットタグとウェブトラフィック以外は作成から180日間有効で、期限切れの1か月後に自動削除されます。ターゲット推計は概ね3日前のデータなので、作成直後は人数が反映されないことがあります。(出典:公式マニュアル「オーディエンス」)
シナリオ別の設計例|目的から配信先を決める
以下は考え方の例で、効果を保証するものではありません。
| 目的 | 配信先の作り方(例) | 注意点 |
|---|---|---|
| 追加直後に関係を作る | ステップ配信で追加後に自動配信 | 公式テンプレートに3日後(紹介)・30日後(お礼のクーポン)の例がある |
| 店頭追加の人の再来店 | 経路がQRコード等のオーディエンスや、ステップ配信 | 公式テンプレートに5日後・30日後にクーポンを送る例がある |
| 開封されなかった人への再案内 | 過去の配信で、反応した人を「除外する」 | 2週間以内に行う。通数が増える |
| 地域ごとの案内 | 属性で地域を選ぶ | 推定なので、正確さが要るならアンケートで聞く |
(出典:公式マニュアル「ステップ配信」/公式マニュアル「絞り込み配信について」)
ステップ配信の開始条件は「友だち追加」か「オーディエンス」、待ち時間は1〜30日、条件分岐には属性(性別・年齢・OS・エリア)とオーディエンスを使えます。送ったメッセージは課金対象の通数に数えられ、月の上限に達すると利用中のステップ配信がすべて止まります。(出典:公式マニュアル「ステップ配信」)
属性やタグを自分で集める|標準機能とCRMオプション
標準機能で分かるのはおおまかな推定属性です。誕生月や悩みの種類で配信するには、自分で情報を集めます。
- アンケート:標準の「リサーチ」機能は、公式サービスページで2026年12月2日に提供を終了すると案内されている。今後は、CRMオプションの「フォーム」(回答に応じたタグ付与・顧客情報の更新)など別の手段を検討する(LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント」/公式「CRMオプション」)
- チャットタグ:付けたタグでオーディエンスを作れる。無料範囲ではタグ5種類・1ルーム1個まで、チャットProオプション(月3,000円・税別)では300種類・30個まで(公式マニュアル「チャット」/公式「LINE公式アカウント料金プラン」)
- CRMオプション:属性やタグを一人ひとりに紐づけ、誕生日やタグ付与をきっかけに自動配信できる有料オプション。公式ページでは月額5,000円(税別。チャットProオプション込み)、認証済アカウントと認証済ビジネスマネージャーの接続が必要、友だち数10万人未満が対象(公式「CRMオプション」)
CRMオプションには業種や利用条件の定めもあります。導入は友だち数と運用の手間で判断し、最新の条件は公式で確認してください。
分析の見方と通数の考え方
絞り込み配信やステップ配信も通数に数えられます(通数は「送った回数×友だちの数」)。セグメントを増やして本数が増えれば、通数も積み上がります。(出典:公式「LINE公式アカウント料金プラン」)
分析では、セグメントを最大1件選び、開封やクリックのユーザー数をセグメント別に見られます。表示できるのは2025年3月1日以降の配信で、セグメントごとの配信数が49人以下だと配信数は表示されません。(出典:公式マニュアル「分析 – メッセージ配信」)人数の少ないセグメントでは数字が読めないことがあります。効果測定の全体像はSNS効果測定の方法も参考になります。
配信するときの法令・ルール
個人情報保護法:アンケートやタグで集めた情報が個人を識別できる場合、利用目的をできる限り特定すること(第17条)、取得したら、公表済みの場合を除き速やかに利用目的を本人に通知または公表すること(第21条)が定められています。(出典:e-Gov「個人情報保護法」)アンケートの冒頭に「回答は、あなたに合った案内の配信に使います」と書いておくのが基本です。個別の判断は専門家や所管窓口にご確認ください。
特定電子メール法:広告・宣伝のメールは、取引関係がある場合などを除き、事前に同意した相手にだけ送るオプトイン方式です。(出典:総務省「特定電子メール法」)LINEの配信が対象かは、この記事では断定しません。
景品表示法:「あなただけの特別価格」などの表現も、実際の取引条件と違えば有利誤認表示のおそれがあります。セグメントごとに文面を変えても、条件は事実にそろえてください。(出典:消費者庁「表示規制の概要」)
よくある失敗と対処
| 失敗例 | 対処 |
|---|---|
| 属性を正確な条件と思い込む | みなし属性と理解し、断定調の文面にしない |
| 条件を細かくしすぎ、50人の下限に届かない | 経路・反応の有無など大きな切り口から始める |
| オーディエンスの期限切れ(180日)や、過去の配信の期限(2週間)を忘れる | 期限を前提に作り直し、再案内は早めに設定する |
| セグメントを増やして通数が不足する | 月の通数を計算してから数を決める |
| 集めた情報の利用目的を伝えない | アンケートに利用目的を書く |
よくある質問(Q&A)
Q. 友だちが少なくても絞り込み配信はできますか?
A. 条件には下限があります。属性は100人以上、選択後の推計対象は50人以上、多くのオーディエンスはサイズ50以上が必要です。少ない間は全員配信を基本にする方法もあります。(出典:公式マニュアル「絞り込み配信について」/公式マニュアル「オーディエンス」)
Q. 最初に何から始めればよいですか?
A. 分けやすい「友だち追加経路」のオーディエンスか、ステップ配信の公式テンプレートが手軽です。そのうえで、チャットのタグなどでニーズを整理し、セグメントを増やします。1回で変える要素は1つにすると比べやすくなります。
Q. 料金はいくらかかりますか?
A. 絞り込み配信は料金プランに関係なく使え、配信した分が通数に数えられます。2026年10月4日時点の無料メッセージ通数は、コミュニケーションプラン0円・200通、ライトプラン5,000円・5,000通、スタンダードプラン15,000円・30,000通です(税別、月額固定費)。(出典:公式「LINE公式アカウント料金プラン」)
まとめ
セグメント配信は、公式では「絞り込み配信」です。配信先はオーディエンス・過去の配信・属性の3種類で、プランによる機能の差はありません。属性は推定であること、人数に下限があること、通数が増えることに注意してください。一人ひとりの情報で配信するなら、アンケートやタグ、CRMオプションで情報を集め、利用目的を伝えましょう。
まずは「友だち追加経路」や「反応した人」で1本配信し、結果を見て広げます。友だち集めはLINE公式アカウントの友だち増やし方、基本設定はLINE公式アカウントの始め方もご覧ください。

