士業・専門家のInstagram活用

士業・専門家のInstagram活用のアイキャッチ画像

弁護士、税理士、社労士、司法書士、行政書士などの士業にとって、相談を考えている人が最初に知りたいのは、「どんな人で、どんな分野に強く、どう相談すればよいか」です。Instagramは、専門知識をかみ砕いて見せながら、人柄を伝えられる場所です。一方で、士業には各資格の法律や会則による広告・守秘のルールがあり、一般の企業と同じ感覚では運用できません。

この記事は、士業のInstagramの運用そのものに絞ります。プロフィール、投稿の型、リール・ストーリーズ・ハイライトの使い分け、ハッシュタグ、相談への導線、インサイト、公開前チェックの順に進めます。広告規制の詳しい解説は、弁護士の発信ガイドライン、税理士のSNS集客術、社労士のSNS運用にあります。ここでは要点とリンクだけを示します。Instagramの仕様は2026年10月に公式ヘルプで確認したもので、変更されることがあります。

この記事の3行まとめ

① プロフィールは「氏名・資格・得意分野・相談方法」を一目で分かる形にし、相談のリンクを上に置く
② 投稿は解説カルーセルを軸にし、事例は依頼者が特定されない形にする。ルールの根拠は資格ごとに異なるため、所属の会の規則を確認する
③ 公開前に「守秘・断定・日付・数字の根拠」を確認する習慣を、週次の流れに組み込む

プロフィールは「誰が、何を、どう相談できるか」を示す

士業のInstagramでは、事務所名だけでなく、相談する人の氏名と資格が探されることもあると考えられます(運用上の考え方)。名前欄には氏名と資格、自己紹介には対応分野と対象を入れます。自己紹介は150文字までです(出典:Instagramヘルプ「自己紹介」)。例:「【税理士】〇〇 〇〇/個人事業主・小規模法人の税務/初回相談はプロフィールのリンクから」。

リンクは5つまで追加でき、誰でも見られます(出典:Instagramヘルプ「プロフィールのウェブサイト」)。相談の申込み、事務所のサイト、解説記事、料金の考え方などを、相談に近い順に並べます。プロアカウントなら「連絡先」ボタンに電話・メールなどを登録できます。ただしプロアカウントは非公開にできません(出典:Instagramヘルプ「プロアカウント」)。

顔写真を載せるかどうかは、信頼感への効果を示す公式の根拠は確認できませんでした。載せる場合も載せない場合も、氏名・資格・所属を明記し、事実と異なる印象を与えないことが前提です。

事務所のアカウントを複数人で運用する場合は、投稿を下書きする人と、公開前に内容を確認して責任を持つ人を分けておきます(運用上の例)。補助者が書いた投稿でも、最終確認は士業本人が行い、確認の記録を残す流れにしておくと安心です。

投稿の型:解説カルーセルを軸に、人柄を少し添える

型中身の例向く形式公開前の注意
解説制度や手続きの流れ、よくある誤解カルーセル改正の有無と日付を確認
Q&Aよくある質問への答えカルーセル、リール個別の結論を断定しない
事例相談の傾向を一般化して紹介カルーセル依頼者が特定されないか確認
考え方仕事で大切にしている姿勢写真、リール実績の誇張をしない
お知らせ相談枠、セミナー、休業ストーリーズ料金は条件を明記

カルーセルは最大20点まで入れられ、公開後に追加はできません(出典:Instagramヘルプ「複数の写真・動画の投稿」)。1枚目に結論、2枚目以降に理由と手順、最後に相談先を置く構成が読みやすくなります(運用上の例)。

リール・ストーリーズ・ハイライト・固定投稿の使い分け

機能士業での役割(例)公式の仕様
リール1つの疑問に1分前後で答える動画最大20分。3分超は新しいオーディエンスにはおすすめされない
ストーリーズ相談枠の案内、セミナーの告知ハイライトに追加しない限り24時間で消える。アーカイブに保存される(設定でオフ可)
ハイライト対応分野、相談の流れ、料金の考え方、よくある質問削除しない限り、消えた後も表示される
固定投稿自己紹介と相談方法の投稿トップに最大3件まで固定できる

(出典:Instagramヘルプ「リール動画を撮影する」、Instagramヘルプ「ストーリーズが表示される期間」、Instagramヘルプ「ハイライト」、Instagramヘルプ「投稿の固定」)

ストーリーズの質問スタンプやリンクスタンプには「日本とヨーロッパ諸国ではご利用いただけない場合があります」との注記があります(出典:Instagramヘルプ「スタンプ」)。質問はフォームやDMの案内で受ける形にしておくと安定します。DMでの個別相談は受けず、受付窓口に限る運用が安全です(例)。

ハッシュタグは「分野+地域」を5個以内で

ハッシュタグは1投稿最大5個で、6個以上だとコメントが投稿されません(出典:Instagramヘルプ「ハッシュタグの使用」)。例:「#相続」「#〇〇市税理士」のように、分野と地域を中心に、資格名のタグを1個加えます。分野名は一般的な言葉のほうが、探している人の目に触れやすいと考えられます(例)。詳しくはインサイトの読み方と改善法も参考になります。

資格ごとに違う、広告と守秘のルール(要点だけ)

広告や守秘のルールの根拠は資格ごとに異なります。確認できた範囲を整理します。

資格確認できた根拠要点
弁護士日弁連「業務広告に関する指針」(令和8年2月19日改正)、弁護士法第23条SNS等のあらゆる媒体が広く利用でき、媒体自体は一般的に禁止されない。ただし内容は規程に反してはならない。顧問先・依頼者を同意なく表示することは法令に違反する広告とされる。広告の記録は終了から3年間保存
税理士日税連会則第59条の2、税理士法第38条会員は不当勧誘・不当広告等をしてはならない。秘密を守る義務がある。所属の税理士会の規則も確認
社労士連合会会則第43条の4、社会保険労務士法第21条誇大・虚偽の事項で広告・宣伝を行わない。承諾なく電子メールで広告を送らない。守秘義務がある
司法書士・行政書士司法書士法第24条、行政書士法第12条秘密を漏らしてはならない。広告のルールは所属会の規則を確認

(出典:日本弁護士連合会「業務広告に関する指針」、弁護士法、日本税理士会連合会「会則」、税理士法、全国社会保険労務士会連合会「会則」、社会保険労務士法、司法書士法、行政書士法)。上の表は要点で、SNSのDMが「電子メール」に当たるかなどは各会に確認してください。個別の投稿の適否は、所属の会や専門家に相談してください。

相談への導線と、公開前チェックの週次ルーティン

  1. 投稿の最後に「相談はプロフィールのリンクから」と添える
  2. リンク先は、相談分野・方法・料金の考え方・所要時間が分かる1ページにする
  3. 問い合わせの受付後、面談・電話・フォームなど個別相談の場に移す
  4. 初回面談で「どこで知りましたか」を聞き、Instagram経由を記録する(例)

公開前には、「依頼者が特定されないか」「結論を断定していないか」「日付と根拠は正しいか」「数字に根拠があるか」の4点を確認します(運用上のチェックリスト例)。ストーリーズは24時間で消えますが、アーカイブ保存をオンにしておくと、後から確認できます。

曜日やること(例)見る数字
月今週のテーマを1つ決め、根拠条文や資料を確認先週のインタラクション
火カルーセルの下書きを作る—
水4点チェックと所属会の規則の確認後、公開—
金DMと問い合わせの返信を確認、インサイトを見るプロフィールのアクティビティ

無料のインサイトは公開アカウントで使え、見られる期間は過去90日以内です。「インタラクション」には、いいね、コメント、保存、シェアなどが含まれます(出典:Instagramヘルプ「インサイトについて」)。ストーリーズでは、プロフィールのアクティビティ(ウェブサイトクリックなど)が見られます(出典:Instagramヘルプ「ストーリーズのインサイト」)。日本向けのビジネスメッセージ関連の一部指標が使えない旨の注記がヘルプにあります。画面に出る指標を前提にしてください。

よくある失敗

  • 依頼者が推測できる事例を、「匿名だから」と投稿してしまう
  • 法改正の解説に日付がなく、古い情報のまま残っている
  • 「必ず」「確実に」など結果を断定する
  • 勝訴率や実績を、根拠や条件を示さずに載せる
  • DMで個別の法律相談に答えてしまう

よくある質問

Q. 広告規制の対応はどうすればよいですか?
A. 資格ごとに根拠が異なります。まず所属の会の規則と、上の表の資料を確認し、迷う投稿は公開しない判断も必要です。詳しくは弁護士の発信ガイドライン、税理士のSNS集客術、社労士のSNS運用を参照してください。

Q. 匿名にすれば相談事例を載せてもよいですか?
A. 守秘義務の対象は、業務上知り得た秘密です。日弁連の指針は、依頼者を同意なく表示することを法令に違反する広告としています。匿名でも特定され得るため、一般化するか、同意を書面などで得る運用が考えられます(出典:日本弁護士連合会「業務広告に関する指針」)。

Q. 顔出しは必要ですか?
A. 顔出しが信頼感を高めるという公式の根拠は確認できませんでした。出す・出さないのどちらでも、氏名・資格・所属を明記することが大切です。

まとめ

士業のInstagramは、プロフィールで「誰が何を相談できるか」を示し、解説カルーセルを軸に投稿し、相談のリンクへ案内する流れが基本です。守秘と広告のルールは資格ごとに異なるため、公開前チェックを週次の流れに組み込んでください。まず今週、プロフィールと固定投稿を見直しましょう。

参考情報・出典