クリニックのInstagram集患術

クリニックのInstagram集患術のアイキャッチ画像

内科、小児科、皮膚科、整形外科、美容皮膚科など、診療科を問わず、クリニックのInstagramは「初めて受診する人の不安を減らす」ために使われます。院内の雰囲気や先生の人柄、診療の流れが分かれば、受診のハードルは下がります。一方で、医療機関のInstagramは医療法の広告規制の対象になることがあり、一般の企業と同じ感覚で投稿すると規制に触れるおそれがあります。

この記事は、診療科を問わないInstagramの運用そのものに絞ります。プロフィール、投稿の型、リール・ストーリーズ・ハイライトの使い分け、体験談や患者さんの投稿の扱い、予約導線、インサイト、週次ルーティンの順に進めます。医療広告の詳細は医療広告ガイドラインとSNS、集患全体はクリニックのSNS集患完全ガイド、歯科は歯科医院のInstagram運用にあります。個別の投稿が広告規制に当たるかは、所管の保健所に確認してください。Instagramの仕様は2026年10月に公式ヘルプで確認したもので、変更されることがあります。

この記事の3行まとめ

① プロフィール・投稿・返信はどれも医療広告に当たり得る。載せる内容は、診療科名・診療日時・医師の略歴など、広告できる範囲を基本にする
② リール・ストーリーズ・ハイライトは役割を分け、固定投稿に診療案内を置く。体験談とビフォーアフターは特に慎重に
③ 迷ったら投稿前に保健所に確認する。投稿の確認手順を週次の流れに入れる

まず、どの投稿が「医療広告」になるのか

厚生労働省の医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)は、医療広告に当たる要件を3つ挙げています。患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)、医業を提供する者の氏名や名称、病院・診療所の名称が特定できること(特定性)、医業や病院・診療所に関する内容であることです。3つすべてを満たすと医療広告と判断されます。(出典:厚労省「医療広告等ガイドライン」)

事例解説書は、SNSの構成要素として、プロフィール、投稿(一定期間で限定公開されるものを含む)、返信を挙げています。ハッシュタグも医療広告に相当し、投稿と関係のないハッシュタグによる誘引は不適切とされています。個人のアカウントでも、医療機関や医師への特定性と誘引性があれば医療広告に当たり得ます。また、SNSの1つの投稿は単独で1つの広告として扱われます。(出典:厚労省「事例解説書(第6版)」)医療法は、何人も虚偽の広告をしてはならないと定めています(出典:医療法、第6条の5第1項)。

プロフィールは「広告できる範囲」で設計する

医療法は、広告できる事項を限定しています。診療科名、病院・診療所の名称・電話番号・所在地、診療日・診療時間・予約による診療の実施の有無、診療に従事する医療従事者の氏名・略歴などです(出典:医療法、第6条の5第3項)。ガイドラインでは、院内の外観や内装の写真、バリアフリー構造も広告して差し支えないとされています。(出典:厚労省「医療広告等ガイドライン」)

Instagramでは、自己紹介が150文字まで(出典:Instagramヘルプ「自己紹介」)、リンクは5つまで追加でき、誰でも見られます(出典:Instagramヘルプ「プロフィールのウェブサイト」)。プロアカウントなら「連絡先」ボタンに道順・電話・メールを登録できますが、非公開にはできません(出典:Instagramヘルプ「プロアカウント」)。例:「【内科・小児科】〇〇駅徒歩3分/診療時間はハイライト/予約は下のリンクから」。

載せる内容広告できる範囲か(ガイドライン等に基づく)注意点
診療科名政令で定める範囲のみ「総合診療科」「審美歯科」は不可
診療日・診療時間・予約の有無広告可能予約専用の電話番号は、問い合わせ先として足りない場合がある
医師・スタッフの氏名・略歴広告可能。写真と一緒でも可専門医は認定団体名を併記
院内の外観・内装広告可能医療機器は、販売名や型番は不可
治療の効果・体験談広告できない(限定解除の対象外)「必ず治る」「日本一」などは禁止

(出典:厚労省「医療広告等ガイドライン」、厚労省「医療広告ガイドラインQ&A」)診療科名や専門医の表現には細かい決まりがあるため、迷う場合は保健所に確認してください。

投稿の型:健康情報、院内、人、お知らせの4つ

診療科を問わず使いやすい型は次の4つです(運用上の例)。

  • 健康情報:季節の注意点や予防の習慣。科学的根拠が乏しいまま「命に関わるので今すぐ受診を」と促す表現は、誇大広告の例とされています(出典:厚労省「医療広告等ガイドライン」)。
  • 院内の紹介:外観、待合室、設備の様子。
  • 人の紹介:医師・スタッフの氏名、略歴、診療への考え方。
  • お知らせ:診療日・診療時間の変更、休診日。

カルーセルは最大20点まで入れられ、公開後に追加できません(出典:Instagramヘルプ「複数の写真・動画の投稿」)。1枚ごとに根拠を確認してから投稿します。

リール・ストーリーズ・ハイライト・固定投稿の使い分け

機能クリニックでの役割(例)公式の仕様
リール健康情報を短く解説する動画最大20分。3分超は新しいオーディエンスにはおすすめされない
ストーリーズ診療時間の変更、休診のお知らせハイライトに追加しない限り24時間で消える。アーカイブに保存される(設定でオフ可)
ハイライト診療時間、アクセス、初診の流れ削除しない限り、消えた後も表示される
固定投稿診療案内、予約方法トップに最大3件まで固定できる

(出典:Instagramヘルプ「リール動画を撮影する」、Instagramヘルプ「ストーリーズが表示される期間」、Instagramヘルプ「ハイライト」、Instagramヘルプ「投稿の固定」)

医療広告の観点では、一定期間だけ公開される投稿も広告の構成要素に含まれています(出典:厚労省「事例解説書(第6版)」)。24時間で消えても、内容の確認と記録は欠かさないようにします。事例解説書は、必要な情報を一覧性をもって示す例として、固定投稿の場所をプロフィールで示す方法を挙げています。

自由診療を扱う場合:情報は「一体的かつ一覧性」を持たせる

自由診療は原則として広告可能事項に当たりませんが、限定解除の要件を満たし、かつ禁止される広告に当たらない場合は広告できます。要件は、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等であること、問い合わせ先を明示すること、そして自由診療の内容・費用と、主なリスク・副作用の情報を提供することです。最後の2つは自由診療に限ります。(出典:医療法施行規則、第1条の9の2、厚労省「医療広告等ガイドライン」)

SNSでは、事例解説書が、治療等の内容・費用と主なリスク・副作用が、プロフィール・投稿・返信の中で一体的かつ一覧性をもって示されていなければ違反になる、と説明しています。複数のSNSに情報が分散して確認が必要な例は、不適切とされています。(出典:厚労省「事例解説書(第6版)」)

有料のInstagram広告が限定解除の要件①に当たるかは、確認した公式資料に明記が見当たりませんでした。出稿を考えるときは、保健所に確認してください。(出典:厚労省「医療広告等ガイドライン」)

体験談・ビフォーアフター・患者さんの投稿

  • 体験談は、患者等の主観・伝聞に基づく治療等の内容や効果に関するものを広告してはならないと、省令が定めています(出典:医療法施行規則、第1条の9第1号)。スタッフが書いた体験談も対象です。
  • ビフォーアフター写真は、誤認させるおそれのある治療前後の写真等が禁止されています(同条第2号)。ガイドラインは、詳細な説明を付した場合はこれに当たらないとしますが、術前のみ・術後のみの写真は広告できません(出典:厚労省「医療広告等ガイドライン」、厚労省「医療広告ガイドラインQ&A」)。
  • 患者さんの自発的な投稿は、医療機関が便宜を図って依頼するなどの誘引性がなければ広告に当たりません。肯定的な体験談の投稿を、有償・無償を問わず依頼すると、誘引性が生じ得ます(出典:厚労省「医療広告ガイドラインQ&A」)。

Instagramでは、患者さんがクリニックをタグ付けした投稿は、初期設定ではプロフィールに自動で表示されます。「タグ付けを手動で承認」にすると、承認した投稿だけが表示されます(出典:Instagramヘルプ「タグ付けの手動承認」)。患者さんの投稿を紹介・引用する運用は、広告規制に当たる可能性があるため、事前に保健所に確認してください。

予約導線と問い合わせの注意

  1. 投稿の最後に「診療時間と予約方法はプロフィールのリンクから」と書く
  2. リンク先は、診療日・診療時間、予約の方法、電話番号が分かるページにする
  3. DMは診療相談を受けず、予約や問い合わせの窓口を案内する
  4. 自由診療を紹介する投稿では、内容・費用・リスクの情報を同じ画面で示す

病歴などは要配慮個人情報で、取得にはあらかじめ本人の同意が必要です(出典:個人情報保護委員会「シンプルレッスン」)。DMで病状を聞き出す運用は避け、受診の相談は電話や予約フォームに移すのが安全です(例)。

インサイトの見方と週次ルーティン

インサイトは公開アカウントで無料で利用でき、対象期間は過去90日以内です。「閲覧数」「閲覧者」「インタラクション」を確認できます(出典:Instagramヘルプ「インサイトについて」)。ストーリーズでは、プロフィールのアクティビティ(ウェブサイトクリックなど)が見られます(出典:Instagramヘルプ「ストーリーズのインサイト」)。「どの型の投稿が保存・シェアされたか」を見て、次の投稿の参考にします。詳しくはインサイトの読み方と改善法を参照してください。

曜日やること(例)見る数字
月今週の投稿テーマを決め、根拠資料を確認先週の閲覧者
火下書きを作り、広告規制のチェックリストで確認—
水保健所への確認が必要なものを整理し、公開—
金診療時間の変更をハイライトに反映、インサイトを見るプロフィールのアクティビティ

よくある失敗

  • 「最先端」「日本一」など、広告できない表現を使う
  • ビフォーアフター写真を、説明なしで載せる
  • ハッシュタグに、投稿と関係のない話題を入れる
  • 自由診療の情報が、別のSNSやリンク先にしかない

よくある質問

Q. Instagramの投稿は、すべて医療広告になりますか?
A. 要件を満たす場合に医療広告と判断されます。院内の掲示や患者さん自身の体験談は、通常、医療広告に当たらないとされますが、SNSの個別の投稿は保健所に確認してください(出典:厚労省「医療広告等ガイドライン」)。

Q. 集患の効果はどのくらいで出ますか?
A. 確認できた公式資料には、効果や期間の目安は見当たりませんでした。型ごとの反応を見ながら続けます。

Q. 専門を示す表現は使えますか?
A. 専門医は認定団体名を併記する必要があり、単に「〇〇専門医」とするのは誇大とされます(出典:厚労省「医療広告ガイドラインQ&A」)。

まとめ

クリニックのInstagramは、広告できる範囲でプロフィールを作り、4つの型で投稿し、固定投稿とハイライトに診療案内を置くのが基本です。体験談、ビフォーアフター、自由診療の情報は、規制を確認してから運用してください。迷う投稿は、公開前に保健所へ確認しましょう。

参考情報・出典