オンライン講座のSNS販促

オンライン講座のSNS販促のアイキャッチ画像

動画講座、ライブ講座、コーチングプログラムなどのオンライン講座は、店舗がないぶん、SNSの投稿から申込み画面までが販売の導線そのものになります。投稿を見た人が、LINEやメールに登録し、無料のウェビナーや動画を見て、講座を購入する、という流れを作る講師や事業者が多いと考えられます(一般的な運用例)。

一方で、オンラインで講座を販売することは、特定商取引法の「通信販売」にあたり、広告や申込み画面に表示すべき事項が決まっています。月額制や自動更新の講座では、定期課金の表示にも注意が必要です。この記事では、導線の作り方に加え、通信販売の表示義務、定期課金の表示、講座の内容によって加わるルール、受講者の声と限定表示の注意を、公式資料で確認できた範囲でまとめます。LINEの運用は習い事教室のLINE公式活用、広告は低予算から始めるSNS広告完全ガイドもご覧ください。

この記事の3行まとめ

① 導線は「SNSで知る→LINE・メールに登録→ウェビナー等で理解→申込み」。段階ごとに守る表示とルールがある
② オンライン講座の販売は通信販売。広告と申込み画面に、対価・支払時期・提供時期・解約条件などを表示する。月額制は期間・自動更新・解約方法まで明示
③ 受講者の声・実績・「残席」などの表示は景品表示法の対象。根拠を残し、実際の状況に合わせる

SNSから申込みまでの導線設計

段階SNS・媒体での役割(例)この段階で意識するルール
知るInstagram・YouTube・Xで講師の専門性を示す無料コンテンツ効果・実績の表示、第三者への依頼投稿の「PR」表記
登録するLINE・メールの登録(無料教材、ウェビナー案内)個人情報の利用目的、広告メールの承諾
理解するウェビナー、無料動画で講座の中身を説明説明内容を申込み画面の表示と一致させる
申し込む申込みページ・最終確認画面通信販売の表示義務、定期課金の表示

段階の分け方と媒体の役割は運用上の例で、公式が定める型ではありません。YouTubeでは、動画に有料プロダクトプレースメント、おすすめ情報、スポンサーシップが含まれる場合、動画の詳細で「有料プロモーション」として申告する必要があります。(出典:YouTubeヘルプ(有料プロモーション))講座を第三者に紹介してもらう場合に押さえておきましょう。LINEの登録を増やす方法はLINE公式アカウントの友だち増やし方をご覧ください。

通信販売の表示義務(特定商取引法)

消費者庁のガイドによると、通信販売とは、販売業者または役務提供事業者が、郵便等(インターネットを含む)で売買契約または役務提供契約の申込みを受けて行う、商品・権利の販売や役務の提供のことです。業として営む者は、個人でも対象になります。(出典:消費者庁 特商法ガイド(通信販売))動画講座やライブ講座は「役務の提供」にあたるため、オンラインで申込みを受ける講座は通信販売の規制を受けます。

広告に表示する事項(法第11条)

広告には、販売価格(役務の対価)、代金の支払時期と方法、役務の提供時期、申込みの期間に関する定めがあるときはその内容、申込みの撤回または解除に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号などを表示する必要があります。契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨と条件も表示します。電子メールで広告するときは、事業者のメールアドレスも必要です。(出典:消費者庁 特商法ガイド(通信販売))

申込み画面の表示(法第12条の6)

インターネットで申込みを受ける場合、最終確認画面などに、役務の分量、対価、支払時期・方法、提供時期、申込期間の定め、撤回・解除に関する事項を表示するよう定められており、申込みとなることを誤認させる表示や、これらの事項について誤認させる表示は禁止されています。(出典:特定商取引法)ガイドラインには、広告で第11条の表示をしても、申込み画面での表示義務を果たしたことにはならないこと、チャットやSNSで申込みを受ける場合も含まれることが書かれています。(出典:通信販売の申込み段階における表示ガイドライン)

申込みの期間については、「今だけ」のように具体的な期間が分からない表示は、表示したことにならないとされています。一方、個数限定のような条件は「申込みの期間」にはあたらないとされています。(出典:通信販売の申込み段階における表示ガイドライン)

なお、特定商取引法の第15条の3(申込みの撤回等)は、商品または特定権利の売買契約について定めています。DVDや教材の郵送など商品の販売と、動画視聴などの役務の提供は、契約の形によって扱いが異なるため、個別の判断は消費者庁の窓口や専門家に確認してください。(出典:特定商取引法)

月額制・自動更新の講座の表示

サブスクリプション型の講座について、消費者庁のガイドラインは、次の点の表示を求めています。(出典:通信販売の申込み段階における表示ガイドライン)

  • 役務の提供期間と、期間内に利用できる回数が決まっている場合はその内容
  • 解約を申し出るまで続く無期限の契約である旨、自動更新がある旨
  • 無料または割引価格の期間のあと、自動的に有料・通常価格へ移行する場合は、その時期と金額
  • 解約の申出に期限がある場合はその期限、解約時に違約金などが生じる場合はその内容
  • 解約方法の限定(例:電話をしたうえでメッセージアプリを操作する必要がある)や受付時間帯の限定

解約方法の限定や受付時間帯の限定は、同ガイドラインでは、リンク先に委ねず、広告画面と最終確認画面で明確に表示する必要があるとされています。電話で受け付ける場合は、確実につながる番号を載せることが求められます。「無料体験からそのまま月額に移行する」講座は、申込みページに移行時期と金額を明記しましょう。

講座の内容によって加わるルール

  • 語学・パソコンの講座:特定継続的役務の「語学教室」「パソコン教室」は、期間が2か月を超え、金額が5万円を超えるものが対象で、役務がインターネット等で行われる場合も含まれます。対象になると、契約前後の書面交付や、8日以内のクーリング・オフがあります。(出典:消費者庁 特商法ガイド(特定継続的役務))
    入試や学校の補習のための通信添削も、一定の要件で「家庭教師」にあたるとされています。(出典:特商法ガイドQ&A)
  • 「仕事が得られる」とうたう講座:「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で誘引し、金銭負担を負わせる取引は、業務提供誘引販売取引として規制され、書面を受け取った日から20日以内のクーリング・オフがあります。(出典:消費者庁 特商法ガイド(業務提供誘引販売))

コーチングなど、上の類型にあてはまらない講座でも、通信販売のルールと景品表示法は適用されます。自社の講座がどれにあたるかは、窓口や専門家で確認してください。

受講者の声・実績・限定表示の注意(景品表示法)

効果や実績に関する表示は、裏付けとなる合理的な根拠を示す資料が必要で、示せない場合は不当表示とみなされる仕組みがあります。(出典:消費者庁(表示規制))消費者庁のQ&Aによると、購入者から届いた体験談は、効果のなかった人との比較ができないため、それだけでは客観的な実証とは認められません。また、「満足度No.1」などの表示にも、調査の対象や方法が適切であることなどが求められます。(出典:消費者庁 表示Q&A)

「受講者の声」を載せるとき、ステルスマーケティングに関するQ&Aでは、アンケートの回答を無作為に選んで引用する場合は「事業者の表示」にあたらず、好意的なものだけを選ぶと「事業者の表示」にあたるとされています。また、口コミ投稿を条件に割引をしても、内容の指示がなければ通常は「事業者の表示」にあたらない一方、「星5」を付けることを条件にするとあたるとされています。(出典:消費者庁(ステマQ&A))

「残り〇席」「期間限定」も、実際に合わせます。消費者庁の運用基準は、供給量の限定を強調しながら、実際には限定量を超えて取引に応じる場合は、景品表示法第5条第1号又は第2号に違反するおそれがあるとしています。(出典:消費者庁 おとり広告運用基準)「通常価格」と比べる表示は、比較する価格が最近相当期間にわたって販売されていた価格である必要があります。(出典:消費者庁 表示Q&A)

ウェビナー・メール配信と個人情報

ウェビナーの申込みでメールアドレスなどを集めるときは、利用目的を特定し、通知または公表します。(出典:個人情報保護委員会 中小企業向け資料)講座を宣伝するメールには、通信販売事業者が承諾を得ない相手に電子メール広告を送ることを原則禁止する規制(オプトイン)があります。承諾や請求を受けた記録は、最後に送信した日から3年間の保存が必要です。(出典:消費者庁 特商法ガイド(通信販売))総務省も、広告・宣伝メールは原則として特定電子メール法の規制対象としています。(出典:総務省(特定電子メール法))申込フォームには、広告メールの受け取りに同意するチェック欄を設けておくと整理しやすくなります(運用上の例)。

よくある失敗と対処

失敗例対処
申込みページに解約条件がない撤回・解除、解約期限、違約金の有無を表示
無料体験から有料への移行を小さく書く移行時期と金額を、申込み画面で明確に表示
好意的な受講者の声だけを選ぶ抽出の基準を決め、根拠を残す
「残り3席」を毎回表示する実際の残席に合わせて更新する

よくある質問(Q&A)

Q. フォロワーが少なくても講座は販売できますか?
A. フォロワー数と購入率の関係を示す公式データは確認できていません。販売自体は、通信販売のルールを満たせば可能です。少人数のLINE登録やウェビナーから、反応を見て改善する進め方が考えられます(運用上の例)。

Q. 広告はいつから使えばよいですか?
A. 公式の基準はありません。広告にも景品表示法や特定商取引法の表示ルールが適用されるため、先に表示内容を整えてから始めます。(出典:消費者庁 特商法ガイド(通信販売))予算の考え方は低予算から始めるSNS広告完全ガイドをご覧ください。

Q. 返金保証を付けるときの注意は?
A. 申込みの撤回または解除に関する事項は、広告と申込み画面で表示が必要です。返金の条件、期限、方法を具体的に書きましょう。(出典:通信販売の申込み段階における表示ガイドライン)

まとめ

オンライン講座の販売は、SNSで知ってもらい、LINEやメールで関係を深め、ウェビナーで理解してもらう導線で設計できます。同時に、通信販売の表示義務、月額制の表示、講座の種類によるルール、受講者の声や限定表示の根拠を、申込み画面まで一貫して整えることが大切です。

参考情報・出典