ライブコマースの始め方

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ライブコマースとは、ライブ配信と電子商取引(EC)を組み合わせた販売形式です。視聴者は、配信者が紹介する商品について、コメントなどでリアルタイムに質問しながら購入できます。(出典:消費者庁委員会資料「ライブコマースの動向整理」)SNSの配信機能を使えば小さく始められますが、台本や商品情報の準備、コメント対応、表示のルールを決めずに始めると、配信中に慌てることになります。

この記事では、配信機能を公式ヘルプで確認できた範囲で整理し、配信の流れ(台本・商品・コメント対応)と、景品表示法・特定商取引法などの表示の決まり、返品条件の見せ方を解説します。機能や条件は変わるため、始める前に公式ヘルプで最新の内容を確認してください。提供国や仕様が確認できなかったものは書いていません。

この記事の3行まとめ

① ライブコマースに特化した法令はないが、特定商取引法や景品表示法など関連法令を守る必要がある(2020年6月時点の消費者庁委員会資料)
② 配信機能の条件はサービスごとに違う。Instagram・TikTokの配信はフォロワー1,000人以上など、公式ヘルプで事前に確認する
③ 商品情報・台本・コメント対応の担当を決め、価格・送料・返品条件・限定数は、購入ページと配信画面で見える形にする

始める前に決めること

消費者庁の委員会資料は、ライブコマースの形態として、自社ECサイトで行う場合、ライブコマースのプラットフォーム上で行う場合、店員が配信する場合、インフルエンサーが配信する場合などを挙げています。(出典:消費者庁委員会資料「ライブコマースの動向整理」)小さく始めるなら、次を先に決めます(例)。

決めること内容(例)
配信者自社スタッフか、外部のインフルエンサーか
販売の場自社ECへ誘導するか、SNS内のショッピング機能を使うか
商品と数量価格・数量・写真と、紹介する順番
担当進行役、コメントに答える担当
購入後の対応返品・問い合わせの窓口

配信の場を選ぶ:公式ヘルプで確認できたこと

サービス確認できたこと注意
Instagramライブ配信を開始できるのは、フォロワー1,000人以上の公開アカウント。ライブ中はコメントの固定・オフ、キーワードフィルターが使え、モデレーターを1人割り当てられるライブ中の購入機能は、公式ヘルプで日本での提供を確認できなかった
TikTokLIVE配信は18歳以上で、フォロワー1,000人以上(地域によって異なる場合がある)。TikTok Shopは2025年6月30日に日本で提供開始され、ショッピングLIVE配信でタグ付けした商品をその場で購入できるShopの出店条件や手数料は公式で確認
YouTubeライブ配信には、過去90日間にライブ配信の制限を受けていないことと、チャンネルの確認が必要。モバイル配信はチャンネル登録者50人以上などが要件商品タグ付けは資格要件を満たすチャンネルの機能。対象国・要件はヘルプで確認
LINEライブ配信サービス「LINE LIVE」は2023年3月31日に終了LINE公式アカウントは告知・問い合わせに使う
Amazon Live公式ページに「Amazon.com/liveのモバイルおよびWeb体験は、インドと米国でのみ利用可能」との注記がある日本での利用は確認できなかったため扱わない

(出典:Instagramヘルプ「ライブ配信を開始する」、Instagramヘルプ「ライブのモデレーター」、TikTokサポート「LIVEとは?」、TikTok Newsroom「TikTok Shop日本提供開始」、YouTubeヘルプ「ライブ配信を始める」、YouTubeヘルプ「モバイルでライブ配信」、YouTubeヘルプ「ライブの商品タグ付け」、LINE公式ブログ「LINE LIVE終了」、Amazon Ads「Amazon Live」)YouTubeは、資格要件を満たす日本のクリエイターが、提携する店舗サイトの商品をライブ配信にタグ付けできるプログラムの提供開始を案内しています。(出典:YouTube Blog「ショッピング アフィリエイト日本導入」)LINE公式アカウントには、メッセージ配信、チャット、リッチメニューなどの機能があります。(出典:LINE公式アカウント マニュアル「機能」)使い方はInstagramライブ初心者ガイド、TikTok企業アカウントの始め方を参照してください。

配信の流れ:台本・商品・コメント対応

消費者庁の委員会資料には、事業者の取組例が載っています(インタビューによるもので、サービスにより異なる)。(出典:消費者庁委員会資料「ライブコマースの動向整理」)時間順に整理しました。

時点やること資料にある取組例
配信前商品の価格・数量・写真を事前に登録し、台本とマニュアルを作る。必ず伝える事項を決める。配信者が商品を事前に試す。ネットワークの品質を確認する進行・伝える内容・注意点をまとめたマニュアル、ライブ中に必ず伝える事項のピックアップ、事前の試用、ネットワーク品質の確認
配信中配信者以外のスタッフが質問への回答を支援し、不適切なコメントに対応するキーワードの自動検知や人手での確認、カンペで注意事項を伝達
配信後説明に不足や間違いがあれば補足・訂正するライブ内の追加説明、テロップ、商品説明ページやSNSでの補足・訂正

台本は、冒頭のあいさつと本日の商品、商品ごとの実演、質問コーナー、購入方法と返品条件の再説明、終了前の再告知の順に組むと、途中から見る人にも分かりやすくなります(例)。資料には、健康食品の効果効能には個人差があると必ず伝えるなど、誇大広告を防ぐルールを設ける例もあります。コメント対応には各サービスの管理機能も使います。Instagramはモデレーターを1人割り当てられ、モデレーターはコメントの報告や特定アカウントの削除ができます。(出典:Instagramヘルプ「ライブのモデレーター」)TikTokは、クリエイターまたはモデレーターが、キーワードのブロックや視聴者のミュート・ブロックなどを行えます。(出典:TikTokサポート「LIVEのモデレーション」)告知の作り方はインスタライブ告知テンプレを参照してください。

表示のルール:景品表示法・特定商取引法・ステマ

資料は、ライブコマースに特化した法令はないが、関連する法令を守る必要があるとし、特定商取引法の広告の表示事項と誇大広告等の禁止、景品表示法の優良誤認・有利誤認などを挙げています。(出典:消費者庁委員会資料「ライブコマースの動向整理」)

特定商取引法:価格・送料・返品条件

通信販売の広告には、販売価格(送料を含む)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの撤回・解除(返品特約を含む)、事業者の氏名・住所・電話番号などの表示が必要です。返品に関する事項は省略できません。(出典:消費者庁「特商法ガイド 通信販売」)返品特約は、返品の可否・条件・送料負担を、他の事項より明瞭に示す必要があるとされ、インターネットでは広告と最終確認画面の各商品の説明箇所に、価格などと同じ大きさ、パソコンの標準設定で12ポイント以上、色文字・太文字などで示す例が挙がっています。(出典:消費者庁「返品特約の表示ガイドライン」)ライブでは口頭だけで言い切れないため、購入ページに返品条件を明記し、配信中にも画面や概要欄で見せるのが目安です(例)。返品特約を表示していない場合、商品の引渡しを受けた日から8日以内は、消費者の送料負担で返品できます。(出典:消費者庁「特商法ガイド 通信販売」)

景品表示法:価格・限定・効果の表現

ライブで言いがちなこと注意点
「今だけ半額」「特別価格」実際の販売価格が通常価格と変わらないのに安く見せる表示は、有利誤認で違反の例。二重価格も根拠のある比較価格が必要
価格のほかに送料や手数料が必要なのに触れない通常は請求されない配送料・包装料・手数料などが明瞭でない場合は、有利誤認の例
「あと3個」「限定10個」数量限定は、実際の販売数量と一致させる。限定を強調しながら、限定量を超えて取引に応じるのは違反のおそれ
効果・効能を断定する合理的な根拠が必要(不実証広告規制)。食品は健康増進法の対象にもなる

(出典:消費者庁「おとり広告の運用基準」第2・第3、不実証広告規制は消費者庁委員会資料「ライブコマースの動向整理」)

ステマ規制:インフルエンサーが配信する場合

ステマ規制の対象は広告主です。インフルエンサーに商品を提供して配信を頼む場合、やり取りの内容や取引関係によっては、配信が「事業者の表示」に当たると判断されることがあり、その場合は広告であることを明瞭にする必要があります。動画では、冒頭に「広告」と出すだけでは見逃されるおそれがあり、画面上に常に表示するなど、動画全体を通して明瞭にすることが望ましいとされています。(出典:消費者庁「ステマQ&A」のQ1・Q5・Q15)ライブ中にコメントした人へのプレゼント企画は、景品規制の確認が必要です。上限額と考え方はユーザー参加型キャンペーン設計を参照してください。

よくある失敗

失敗対策
台本がなく、話が行き当たりばったりになる時間順の台本と、必ず伝える事項のリストを作る
返品条件を口頭でしか説明しない購入ページに明記し、配信画面にも表示する
配信での説明に誤りがあっても、そのまま放置するライブ内、商品ページ、SNSで補足・訂正する

よくある質問(Q&A)

Q. ライブコマースを始めるのに、法律上の手続きは必要ですか。
A. 特化した法令はありませんが、特定商取引法の表示などを守る必要があると、消費者庁の委員会資料は整理しています。資料は2020年6月時点のものなので、最新の内容は公式で確認してください。(出典:消費者庁委員会資料「ライブコマースの動向整理」)

Q. フォロワーが少なくても配信できますか。
A. サービスで条件が違います。Instagramは1,000人以上の公開アカウント、TikTokは1,000人以上(地域により異なる場合がある)、YouTubeのモバイル配信は登録者50人以上などが公式ヘルプにあります。(出典:Instagramヘルプ「ライブ配信を開始する」、TikTokサポート「LIVEとは?」、YouTubeヘルプ「モバイルでライブ配信」)

Q. インフルエンサーに配信を頼むときの注意点は。
A. 広告であることを視聴者に明瞭にします。動画全体を通して分かるように、画面上に常に表示することが望ましいとされています。(出典:消費者庁「ステマQ&A」のQ15)

まとめ

配信機能の条件はサービスごとに違うため、公式ヘルプで確認してから選びます。配信は、商品情報の事前登録、台本、コメント対応の担当を決め、配信後の補足・訂正まで一続きで考えます。価格・送料・返品条件・限定数は購入ページと配信画面で見える形にし、広告である場合はそれを明瞭にしましょう。個別の判断は、消費者庁などの所管窓口や専門家に確認してください。

最初の一歩として、購入ページの返品条件と送料の表示を見直し、短い試験配信の台本を作ってみてください。

参考情報・出典