居酒屋のSNS集客

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居酒屋のSNS集客は、お店の「にぎやかさ」「お酒と料理のおいしさ」「気軽に使える雰囲気」を、来店前の人にどう伝えるかが勝負です。一方で、お酒を扱う業種だからこそ、20歳未満への配慮、景品表示法、ステルスマーケティング規制といったルールを守った発信が欠かせません。ルールを知らないまま投稿を増やすと、集客どころかお店の信頼を損なうおそれがあります。

この記事では、Instagram・Googleビジネスプロフィール・X・LINE公式アカウント・TikTokの役割分担から、投稿ネタ、ハッシュタグ、予約・宴会への導線、口コミとUGCの扱い、年間カレンダー例、運用体制までを整理します。法令やガイドラインは、公式ページの本文で確認できた内容だけを出典つきで紹介し、確認できなかった点は「公式で確認」と書いています。

この記事の3行まとめ

① 居酒屋のSNSは「媒体ごとの役割」を決める。探す人にはGoogle、見て知る人にはInstagramとTikTok、当日や常連にはXとLINE
② お酒を扱うため、20歳未満の飲酒を連想させない表現、景品表示法(おとり広告・優良誤認・有利誤認)、ステマ規制を投稿前に確認する
③ 予約・宴会の導線と、口コミ・UGCの扱い(Googleでは対価を渡した口コミ依頼が禁止)を決めてから、投稿を増やす

居酒屋のSNS集客|媒体ごとの役割分担

居酒屋の来店シーンは、仕事帰りの一杯、歓迎会や忘年会などの宴会、友人同士の食事、常連の利用など幅広くあります。1つの媒体にすべてを背負わせず、役割を分けると運用が楽になります。次の表は、運用でよく使われる分担の一例です。

媒体役割(例)主な投稿・設定(例)
Googleビジネスプロフィール「近くの居酒屋」を探している人に見つけてもらい、来店の最終判断を支える営業時間、メニュー、写真、口コミへの返信、予約ページへのリンク
Instagram料理と雰囲気を見てもらい、「行ってみたい」を作る看板メニュー、季節の肴、店内の雰囲気、宴会コース、ハイライトでの案内
X(旧Twitter)当日の情報を伝え、常連との接点を持つ本日のおすすめ、空席の状況、臨時休業、イベントの告知
LINE公式アカウント一度来店した人や常連に、再来店のきっかけを届けるクーポン、宴会の案内、ショップカード、予約ページへの導線
TikTokまだお店を知らない人に、動画で知ってもらう仕込み、焼き場の様子、大将の技、スタッフ紹介

すべてを同時に始める必要はありません。まずはGoogleビジネスプロフィールとInstagramの2つに絞って整え、余力が出たらLINEやXを足す順番が現実的です。飲食店全体の考え方は、飲食店SNS集客完全ガイドで解説しています。

お酒を扱う居酒屋が守るルール|法令・ガイドラインの要点

投稿を作る前に、お酒を扱うお店ならではのルールを押さえておきましょう。ここで紹介するのは公式ページで確認できた範囲の一般的な情報整理です。個別の表現が問題ないかの最終判断は、所管の窓口や専門家に確認してください。

20歳未満の飲酒防止(法律と業界の自主基準)

「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」は、二十歳未満の者は酒類を飲んではならないと定めています。さらに、業として酒類を販売または供与する営業者は、二十歳未満の者の飲用に供することを知って酒類を販売・供与してはならず、年齢の確認その他の必要な措置を講ずるものとされています。二十歳未満の者の飲用に供することを知って酒類を販売・供与した場合には、50万円以下の罰金が定められています(第3条)。(出典:e-Gov法令検索「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」)

SNSでは、新入生歓迎会や学生向けの宴会プランなど、20歳未満の人が含まれ得る投稿もあります。そうした投稿には、「20歳未満の方へのお酒の提供はできません。年齢確認をお願いすることがあります」といった一文を添えておくと、お店の姿勢が伝わります(これは運用上の例です)。

酒類業界には、飲酒に関する連絡協議会(酒類業中央団体連絡協議会の9団体で構成)が定める「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」があります。2026年10月時点で確認できた版は、令和8年7月1日が最終改正です。この基準では、20歳未満の飲酒防止の注意表示に使う文言の例として、「20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています」「お酒は二十歳になってから」が挙げられ、注意表示を行う媒体にインターネットも含まれています。(出典:飲酒に関する連絡協議会「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」(令和8年7月1日最終改正))

同じ基準は、広告・宣伝で行わない表現として、次のようなものを挙げています。(出典:飲酒に関する連絡協議会「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」(令和8年7月1日最終改正))

  • 20歳未満の者の飲酒を推奨、連想、誘引する表現
  • 20歳未満の者を広告のモデルに使用すること、20歳未満の者を対象としたキャンペーン
  • 過度の飲酒につながる表現、「イッキ飲み」など飲酒の無理強いにつながる表現
  • 飲酒運転につながる表現、妊娠中や授乳期の飲酒を誘発する表現

注意点として、この自主基準は「酒類の製造販売に携わる事業者」が自ら尊重する基準として書かれており、居酒屋などの飲食店が直接の対象かどうかは、文書からは読み取れません。ただ、「無理に飲ませるノリを見せない」「20歳未満の飲酒を連想させない」という考え方は、居酒屋のSNS投稿にも参考になります。

お酒のテイクアウトや通信販売を始める場合は、別の確認が必要です。国税庁の告示は、酒類小売販売場で通信販売を行うときに、酒類の広告(インターネット等を含む)へ「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」または「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨を表示するよう定めています。免許の要否や表示の扱いは、最寄りの税務署などで確認してください。(出典:国税庁「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準を定める件」)

景品表示法|優良誤認・有利誤認・おとり広告

消費者庁によると、景品表示法は、消費者に誤認される不当な表示を禁止しています。代表的なものが、品質や規格などの内容を実際より著しく優良に見せる優良誤認表示(5条1号)と、価格などの取引条件を実際より著しく有利に見せる有利誤認表示(5条2号)です。(出典:消費者庁「表示規制の概要」)

居酒屋に置き換えると、たとえば次のような点が見直しの対象になります(あくまで例です)。

  • 料理名・食材名・産地の表記が、実際に出している料理と合っているか
  • 飲み放題やコース料金について、時間・対象のドリンク・追加料金などの条件が書かれているか
  • 「通常価格」と比べて安く見せる表示が、実態に合っているか

もう1つ重要なのが、おとり広告です。消費者庁は、「おとり広告に関する表示」として、商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず購入できるかのような表示を不当表示と規定していると説明しています。具体的には、次の4つの場合が挙げられています。(出典:消費者庁「おとり広告に関する表示」)

  1. 取引の準備がなされていない商品・サービスの表示
  2. 供給量が著しく限定されているのに、その限定の内容が明りょうに書かれていない表示
  3. 供給期間、供給の相手方、または顧客一人当たりの供給量が限定されているのに、その限定の内容が明りょうに書かれていない表示
  4. 合理的理由なく取引の成立を妨げる行為がある場合など、実際には取引する意思がない表示

居酒屋のSNSで言えば、「本日限定10食」「平日17時台の入店の方のみ」「お一人様2杯まで」のように、数量・期間・対象・1人あたりの上限を投稿に明記することが基本になります(数字は例です)。売り切れたあとも「本日のおすすめ」の投稿をそのままにせず、更新するか削除する運用にしておきましょう。

ステルスマーケティング規制(2023年10月施行)

消費者庁は、令和5年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングが景品表示法違反になったと案内しています。SNS投稿やレビュー投稿も対象で、規制の対象となるのは商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。(出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)

違反が認められた場合は、措置命令(行政処分)の対象になります。居酒屋に関係しやすいケースを、消費者庁のQ&Aから整理します。(出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」)

場面消費者庁のQ&Aでの考え方(要点)運用のポイント(例)
スタッフが個人アカウントで店の料理を投稿従業員が感想を投稿しただけで直ちに違反とはならない。ただし、販売促進が必要な地位・立場(役員、管理職、担当チームの一員など)の人が販売促進のために行う表示は「事業者の表示」に当たり得て、「広告」などと分かりやすく示す必要がある店長や担当者の投稿には「PR」「広告」などを入れる。個人アカウントの扱いをルール化する
インフルエンサーに無償で料理を提供し、投稿を依頼やり取りの内容、無償提供の目的、取引関係などによっては「事業者の表示」に当たり、明瞭に示さなければ告示違反になる「◯◯から提供を受けて投稿」などを必ず記載してもらう
口コミ投稿を条件に割引(内容の指示なし)投稿内容の指示がなく割引程度の対価なら、通常は「事業者の表示」に当たらない。星5を付けることなどを条件にすると「事業者の表示」に当たる内容や点数を指定しない。なお、Googleマップは別のルールで禁止している(後述)
投稿キャンペーン感想の投稿を条件にするだけなら通常は当たらないが、「毎日食べたい美味しさ!」など具体的な感想やハッシュタグまで条件にすると「事業者の表示」に当たる応募条件は店名タグなどにとどめ、感想の文言は指定しない
「お客様の声」の掲載好意的なものだけを選んで引用すると「事業者の表示」に当たる。事業者が依頼したインフルエンサーの投稿を「お客様の声」として載せるのは適当でない選び方に偏りが出ないようにし、依頼した投稿は依頼であることを明示する

「事業者の表示」であることの示し方について、消費者庁は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の用語や、「A社から商品の提供を受けて投稿している」という文章を例に挙げています。投稿の本文ではなく返信(ツリー)に書く方法は気づかれにくく、不明瞭になりやすいこと、動画では冒頭だけの表示では見逃されるおそれがあり、全体を通して分かるようにすることが望ましいことも示されています。(出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」)

食品表示・アレルギーの案内

消費者庁は、食物アレルギーの特定原材料を含む旨の表示を、「容器包装された加工食品」について義務付けていると説明しています。店内で提供する料理の情報提供の扱いは、同ページの「外食・中食」の項目で確認してください。(出典:消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」)

SNSやメニューで「アレルゲン不使用」などと断定すると、同じ厨房や同じ油を使っている場合に事実と異なってしまうおそれがあります。「アレルギーのある方は、ご予約時またはご来店時にお知らせください」といった案内にとどめるのが無難です(運用上の例です)。

投稿前チェックリスト

確認項目見るポイント関係するルール
20歳未満への配慮飲酒を連想させる表現がないか。学生向けプランに年齢確認の一文があるか法律・業界の自主基準
飲酒の無理強い一気飲みや飲み比べをあおる表現がないか業界の自主基準
価格・飲み放題時間・対象・追加料金などの条件が書かれているか景品表示法(有利誤認)
限定・特価数量・期間・対象を明記し、終了後は更新か削除をしたか景品表示法(おとり広告)
提供を受けた投稿「PR」「提供を受けて投稿」などの表示があるかステルスマーケティング規制
アレルギー「不使用」と断定していないか消費者庁の案内

Instagram|居酒屋の投稿ネタと見せ方

Instagramでは、「飲みたくなる・行きたくなる」気持ちを刺激する写真と動画が中心になります。投稿ネタは、次の6系統を回すと偏りません。

ネタ内容の例ポイント(例)
料理看板メニュー、季節の肴、お通し、〆の一品湯気や断面、焼き上がりの瞬間など「音や温度が伝わる」見せ方にする
仕込み・厨房仕込み、焼き台、大将の手元手間が伝わると、価格への納得感につながりやすい
スタッフ店長・スタッフの紹介、おすすめの一杯来店前の安心感をつくる。個人の顔が出る場合は本人の了承を得る
宴会プランコース内容、人数、時間、料金に含まれるもの1コース1枚のカルーセルにし、条件を明記する
予約・アクセス営業時間、席の種類、最寄り駅からの道順ハイライトに固定して、いつでも見られるようにする
お客様の投稿許可を得たリポスト、店名タグの投稿紹介必ず投稿者に許可を取り、紹介の旨を示す

宴会の需要を取り込むには、ハイライトに「宴会・コース」「メニュー」「アクセス」「予約方法」をそれぞれ分けて用意し、プロフィールから迷わずたどれるようにするのが基本です。

予約への導線として、Metaは2018年の発表で、ビジネスプロフィールに「予約」などのアクションボタンを追加できるようにしたと案内しています(レストラン予約サービスなど外部パートナーとの連携による機能)。現在どのボタンや連携先が使えるかは変更されることがあるため、お使いのアプリの画面とInstagramヘルプセンターで確認してください。(出典:Meta「Instagram、ビジネス向けにダイレクト機能を改善、ビジネスプロフィールにアクションボタンも追加」(2018年5月))

広告を使う場合の注意(Metaの広告規定)

Instagram広告など有料で配信する場合は、Metaの広告規定が適用されます。規定では、アルコールを宣伝またはこれに言及する広告は現地の法令や業界規定などに準拠し、年齢と国のターゲット条件を含める必要があるとされ、日本の年齢制限は20歳以上と記載されています。少なくとも18歳未満をターゲットにすることはできません。また、「アルコールを扱う施設への招待」や「アルコール販売の提供」なども、アルコールを宣伝する広告に含まれると説明されています。(出典:Meta 透明性センター「アルコール」(広告規定))

居酒屋のお店紹介の広告が具体的にどう扱われるかは、配信時の審査によります。お酒に触れる広告では、年齢の設定を20歳以上にしておくのが安全です(運用上の考え方です)。

ハッシュタグの付け方|地域・業態・シーンで組み立てる

居酒屋のハッシュタグは、「地域」「業態」「シーン」を組み合わせると、探している人に届きやすくなります。次は組み立て方の例です。

  • 地域+業態:「◯◯駅居酒屋」「◯◯飲み」
  • シーン:「宴会」「女子会」「個室」「ひとり飲み」
  • 料理・ジャンル:「焼き鳥」「海鮮」「日本酒」など自店の売りに合うもの
  • 店名タグ:お客様が投稿時に使えるお店オリジナルのタグ

店名タグを案内するときは、消費者庁のQ&Aの考え方に注意しましょう。投稿に使うタグを促す程度ならよいものの、具体的な感想の文言まで応募条件にすると、その投稿は「事業者の表示」に当たり得ます(前述)。タグの付け方や個数の上限、表示の仕様は変更されることがあるため、最新の内容はInstagramヘルプで確認してください。タグ設計の詳細は、ハッシュタグ戦略 完全版で解説しています。

Googleビジネスプロフィール|来店の最終判断を支える設定

「居酒屋 ◯◯駅」のように地図や検索で探す人は、Googleビジネスプロフィールを見て、営業時間・メニュー・写真・口コミを確認することが多いと考えられます(傾向であり、効果を保証するものではありません)。次の表は、Googleの公式ヘルプに書かれている内容と、居酒屋での使い方の例です。

項目公式ヘルプの記載居酒屋での使い方(例)
ビジネス名看板などで使っている実際の名称を使う。マーケティングのタグラインなど不要な情報を含めると、プロフィールが停止される場合がある店名だけにする。飲み放題や宴会の案内は、説明・メニュー・投稿に書く
営業時間レストランは、顧客が座って食事できる時間を指定する。祝祭日や特別イベントなどの特別営業時間も設定できる年末年始やお盆、貸切の日の特別営業時間を事前に設定する
メニュー飲食店は全メニューを記載できる。人気メニューだけのサンプルや抜粋は送信できない。メニューURLに第三者の注文・配達サービスへの直接リンクは使えないコースや飲み放題の条件も含めて、全体が分かるメニューにする
写真・動画写真はJPGまたはPNGで10KB〜5MB、推奨は720×720ピクセル。動画は最大30秒、75MB、720p以上料理、外観、店内、席(個室・カウンター)を定期的に追加する
投稿「最新情報」「特典」「イベント」の3種類。ボタンで予約やオンライン注文などへ誘導できる。期間を設定していない投稿は6か月でアーカイブされる宴会プランや季節メニューは最新情報、貸切イベントはイベントで投稿する
クチコミオーナー確認後に返信できる。返信は審査を経て公開される。クチコミのリクエスト用リンクやQRコードを共有できるレジ横やテーブルにQRコードを置き、できるだけ早く丁寧に返信する

(出典:ビジネス名・営業時間・メニューはGoogleビジネスプロフィール ヘルプ「Google に掲載するビジネス情報のガイドライン」、写真・動画はGoogleビジネスプロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールの写真と動画を管理する」、投稿はGoogleビジネスプロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールの投稿を作成、管理する」、クチコミはGoogleビジネスプロフィール ヘルプ「ユーザーからのクチコミを管理する」)

お酒に関して、特に注意したい記載があります。Googleのヘルプには、投稿について「規制対象の業界(アルコールなど)は投稿を使えるが、商品に関するコンテンツを含めることはできない」という趣旨の記載があります。(出典:Googleビジネスプロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールの投稿を作成、管理する」)居酒屋の投稿が具体的にどう扱われるかはヘルプだけでは判断できないため、お酒の銘柄や価格を前面に出した投稿は不承認になる可能性があると考え、料理・宴会プラン・席の紹介を中心にするのが安全です。不承認になった場合は、投稿のステータスから違反しているポリシーを確認できます。

また、ビジネスの説明欄には、特別キャンペーンや特別料金、特典を過度に強調するコンテンツ(例:「すべて50%引き」)やリンクを含めてはいけないとされています。(出典:Googleビジネスプロフィール ヘルプ「Google に掲載するビジネス情報のガイドライン」)SNSと連動させる考え方は、Googleビジネス×SNSの連動も参考にしてください。

X・LINE公式アカウント・TikTokの使い分け

X(旧Twitter)|当日の情報を伝える

Xは、「本日のおすすめ」「空席あり」「臨時休業」など、その日のうちに変わる情報を発信するのに向いています。ただし、情報が古くなりやすいのも弱点です。満席になったときや売り切れたときは、投稿を更新して取り下げましょう。実際には提供できないのに提供できるように見える表示は、おとり広告の問題になり得るためです(前述)。

LINE公式アカウント|常連への再来店のきっかけ

LINEのビジネス向け公式ページには、LINE公式アカウントの機能として、メッセージ配信、来店時に使えるクーポンの作成と配信、ポイントカードを発行・管理できるショップカード、トーク画面下部に固定表示されるリッチメニュー(予約サイトなど外部サイトへのリンクを設定できる)、基本情報を掲載できるビジネスプロフィールなどが紹介されています。(出典:LINE for Business「LINE公式アカウント」)

居酒屋では、宴会シーズン前の案内や、平日の来店につながるクーポン、リッチメニューからの予約ページへの導線に使うのが定番です。料金プランは改定されることがあるため、必ずLINE for Business「LINE公式アカウントの料金プラン」で最新の内容を確認してください。

TikTok|まだ知らない人に動画で届ける

TikTokは、仕込みや焼き場の様子、大将の技、スタッフの紹介などの動画で、お店を知らない人に認知してもらう用途に向いています。店名とエリアを動画内の文字や投稿文に入れておくと、見た人が場所を思い出しやすくなります。お酒を扱う動画では、飲酒をあおる表現を避け、各媒体の最新のルールはTikTok コミュニティガイドラインなどの公式ページで確認してください。

予約・宴会への導線のつくり方

居酒屋のSNSで成果に直結しやすいのは、見た人が迷わず予約や問い合わせまで進めるかどうかです。次の手順で、導線を整えましょう。

  1. 予約方法の優先順位を決める(予約サイト、電話、LINE、DMなど)。媒体ごとにバラバラにせず、案内を統一する
  2. Googleビジネスプロフィール、Instagramのプロフィール、LINEのリッチメニューから、同じ予約ページにたどり着けるようにする
  3. 宴会プランの投稿に、人数・時間・料金に含まれるもの・飲み放題の条件を明記する
  4. DMやLINEの返信時間を決め、プロフィールに「返信は営業時間内」などと書いておく
  5. 予約が入った人に、当日の案内やリマインドを送る

宴会は、お店によっては売上の大きな柱になります。歓迎会・送別会・忘年会などのプランは、需要が高まる時期の前から定期的に発信し、問い合わせ先を明確にしておきましょう。

口コミ・UGCの扱い方

お客様の口コミや投稿(UGC)は、お店の信頼を高める材料になりますが、集め方にはルールがあります。

Googleマップの口コミで禁止されていること

Googleのヘルプによると、Googleマップに投稿するコンテンツは、お店での実体験に基づいている必要があります。次のような行為が禁止されています。(出典:Googleビジネスプロフィール ヘルプ「禁止または制限されているコンテンツ」)

  • クチコミの投稿や、否定的なクチコミの修正・削除と引き換えに、金銭的報酬、割引、無料の商品やサービスなどのインセンティブを提供すること
  • 顧客からの否定的なクチコミの投稿を妨げたり、肯定的なクチコミだけを選んで募ったりすること
  • クチコミの依頼時に、その場で評価やクチコミを書くよう要求・強要したり、特定のコンテンツを含めるよう依頼したりすること
  • 一定数のクチコミを集めるようスタッフに要求すること、スタッフを特定する内容のクチコミを集めるよう要求すること

一方で、インセンティブを提供したり内容に影響を与えようとしたりせずに、実体験に基づく投稿を募ったり促したりすることは許可されています。つまり、「ドリンク1杯サービスの代わりに口コミをお願いします」といった依頼はGoogleマップでは避け、QRコードを置いて自然に書いてもらう形が基本です。

景品表示法とGoogleのルールは別物

消費者庁のQ&Aでは、予約サイトの口コミ投稿を条件にサービスを割引価格で提供する場合でも、投稿内容の指示がなければ通常は「事業者の表示」に当たらないとされています。(出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」)しかし、これは景品表示法の話です。媒体ごとの利用ルール(Googleマップでは割引などの対価を伴う口コミ依頼が禁止)には別に従う必要があります。法律上問題がなくても、媒体のルール違反になる場合があることに注意してください。

お客様の投稿を使うとき

  • リポストや店内掲示は、投稿者に許可を取ってから行う
  • 好意的なものだけを抜き出して「お客様の声」にする場合は、偏った選び方になっていないかを確認する(前述のQ&Aの考え方)
  • 否定的な口コミには、事実と対応を落ち着いて簡潔に返信する

UGCの集め方は、飲食店の口コミ・UGC施策で詳しく解説しています。

宴会・イベントの年間カレンダー例

居酒屋は、季節ごとの需要の波に合わせて投稿を組むと、予約が入りやすくなります。次の表は一般的な目安であり、実際の時期は立地や客層で変わります。自店の予約実績をもとに調整してください。

時期(目安)需要の例投稿・設定の例
1〜2月新年会、寒い時期の鍋や熱燗新年会コース、鍋メニューの紹介。新年会の予約状況の案内
3〜4月歓迎会・送別会、お花見宴会プランの案内。新入生・新社会人向けは20歳未満への配慮の一文を添える
5月大型連休連休中の営業日・営業時間を、Googleの特別営業時間とSNSの両方で告知
6〜8月暑気払い、夏の宴会夏のメニュー、冷たいドリンクの案内。飲みすぎを促さない表現にする
9〜10月秋の味覚、忘年会の予約受付忘年会プランの先行案内。繁忙期の1〜2か月前から発信を始めるのが目安
11〜12月忘年会、クリスマス満席日の更新、年末年始の営業時間の告知
年末年始帰省客の利用、休業日営業日と営業時間を、Google・X・LINEで統一して案内

カレンダーは、表計算ソフトなどの無料のテンプレートを使うと続けやすくなります。固定の曜日(例:月曜は料理、水曜は仕込み、金曜は当日のおすすめ)を決めておくと、ネタ切れを防げます。

運用体制|小さな店でも続けられる仕組み

  • 担当者と代理を決める:店長やスタッフのうちSNSに慣れた人を担当にし、休みの日に備えて代理も決める
  • 投稿前のチェック表を共有する:20歳未満への配慮、価格や条件の明記、限定表示の期限、「PR」表示の要否を、前述のチェックリストで確認する
  • ネタ集めを業務に組み込む:新メニューの仕込み時や開店前に写真・動画を撮る時間を決める
  • 更新はスマホ1台で完結させる:撮影から投稿までを短時間で終えられる流れにする
  • スタッフの個人アカウントのルールをつくる:店の料理を投稿するときの表示方法を決める(ステマ規制の観点)

効果の見方は、「Googleビジネスプロフィールの電話・ルート検索」「Instagramのプロフィールへのアクセス」「予約件数」の変化です。予約時に「どこでお店を知りましたか」と聞く習慣をつけると、どの媒体が効いているかが分かりやすくなります。

よくある失敗と対処

失敗例起きること対処
お酒の写真ばかりで、料理や雰囲気が伝わらない初めての人に、どんな店か分からない料理・席・スタッフの投稿をバランスよく混ぜる
終わったコースや古い営業時間を放置来店したのに案内と違うというトラブルになる月に一度、情報を見直す日を決める
売り切れた限定メニューを告知したまま実際には提供できない表示になり、おとり広告のおそれ数量・期間を明記し、終了後は更新か削除をする
口コミのお礼にサービスをつけて依頼Googleマップのポリシー違反になり、口コミが削除される可能性インセンティブなしでQRコードなどで依頼する
スタッフや知人の投稿に提供の表示がないステルスマーケティングと見られるおそれ「PR」などの表示ルールを決めて共有する
全媒体を一度に始めて続かない更新が止まり、情報が古くなるGoogleと1つのSNSから始め、慣れてから追加する

よくある質問(Q&A)

Q. 居酒屋のSNSは誰が担当するのが現実的ですか?
A. 店長・スタッフのうち、最もSNSに慣れた人が担当するのが現実的です。担当者が休んでも更新が止まらないよう代理を決め、投稿前のチェック表を共有しておくと安心です。無理のない頻度で、長く続けられる体制を優先してください。

Q. 食べログ・ぐるなびなどの予約サイトとSNSは、どう使い分けますか?
A. 一般に、予約サイトは「比較して予約する」場面、SNSは「知ってもらう・ファンになってもらう」場面で使われる傾向があります。どちらか一方ではなく、予約サイトの掲載情報とSNSやGoogleビジネスプロフィールの情報(営業時間・メニュー・料金)を揃えておくことが大切です。

Q. 口コミを書いてくれたお客様に、ドリンクをサービスしてもよいですか?
A. Googleマップでは、割引や無料の商品・サービスなどのインセンティブと引き換えにクチコミを求めることが禁止されています。景品表示法上は問題になりにくい場合があっても、媒体のルール違反になり得ます。QRコードを置いて、お礼は口頭で伝える程度にとどめるのが無難です。(出典:Googleビジネスプロフィール ヘルプ「禁止または制限されているコンテンツ」、消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」)

Q. お酒の写真を投稿するとき、20歳未満向けの注意書きは必須ですか?
A. 「必須かどうか」は、媒体や広告か通常投稿かで異なり、この記事の出典だけでは一律に断定できません。業界の自主基準はインターネットも注意表示の対象媒体としていますが、飲食店が直接の対象かは明記されていません。実務では、プロフィールや宴会プランの投稿に「お酒は二十歳になってから」などの一文を入れておくと安心です。(出典:飲酒に関する連絡協議会「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」(令和8年7月1日最終改正))

まとめ

居酒屋のSNS集客は、Googleビジネスプロフィール、Instagram、X、LINE公式アカウント、TikTokを、それぞれの役割で使い分けることが基本です。そのうえで、20歳未満への配慮、景品表示法(優良誤認・有利誤認・おとり広告)、ステルスマーケティング規制、Googleマップの口コミのルールを守ることが、長くお店のファンを増やす近道になります。まずは、Googleビジネスプロフィールの営業時間とメニューを最新にし、宴会プランの投稿に条件を明記するところから始めてください。

参考情報・出典