コンサルタントのX活用

コンサルタントのX活用のアイキャッチ画像

コンサルタントや経営アドバイザー、ビジネスコーチは、弁護士や税理士のような資格がなくても名乗れる仕事です。そのぶん、見込み客は「この人は何ができて、どんな実績があるのか」を発信から判断します。文章で考え方を示せるXは、その判断材料を積み上げやすい場所です。

一方で、資格が不要な仕事だからこそ、実績の見せ方や、士業の領域との線引き、依頼者情報の扱いは、自分で決めなければなりません。この記事では、景品表示法と消費者庁の資料、Xの公式ヘルプ、税理士法・社会保険労務士法の原文で確認できた範囲で、コンサルタントがXを使うときの注意点を整理します。

ご注意:この記事は法令・公式資料の要点を整理したものです。個別の表示や契約の適否は、消費者庁などの所管窓口や専門家に確認してください。Xのヘルプは更新されるため、最新は公式ページで確認してください。

この記事の3行まとめ

① 実績の数字や「No.1」は、根拠を示せないと景品表示法上の問題になり得る。謝礼つきの感想は広告と分かる表示が必要
② 依頼者の情報は、契約と個人情報保護法、Xの規約の三方向から確認し、事例は一般化するか書面で許諾を得る
③ 税務相談や、報酬を得て行う労働・社会保険の手続の代行は、有資格者の業務。名称にも制限がある

コンサルタントの発信に関わるルールの全体像

根拠内容Xでの発信での意味
景品表示法第5条第1号・第2号役務の内容を実際より著しく優良、取引条件を実際より著しく有利と一般消費者に示す表示の禁止成果の数字、「限定」「無料」などの表示
同法第7条第2項効果に関する表示は、根拠資料を示せないと不当表示とみなされる成果の根拠資料を残す
ステルスマーケティング規制(令和5年10月1日〜)広告であることを隠した表示は景品表示法違反。SNS投稿も対象謝礼つきの紹介・感想には広告と分かる表示を
Xのルール偽のプロフィール、重複投稿、一斉のDM、他人の個人情報の公開などの禁止プロフィール、DM、運用代行
税理士法第52条・第53条、社労士法第26条・第27条無資格者の業務の制限と名称の使用制限助言の範囲と肩書き
個人情報保護法第27条個人データの第三者提供は、原則として本人の同意が必要依頼先の従業員の情報などの扱い

(出典:景品表示法、消費者庁「表示規制の概要」、消費者庁(ステマ規制)、The X Rules、Authenticity、税理士法、社労士法、個人情報保護法)

プロフィールと肩書きの作り方

資格がない仕事では、「誰の、どんな課題を、どう支援するか」を一文で示すことが、肩書きの代わりになります。例として、「EC事業者向けの広告運用の改善」「中小製造業の海外展開の支援」のように、対象と領域を絞って書きます。これは運用上の例で、効果を保証するものではありません。

肩書きや実績を書くときは、次の点に注意します。

  • 実際と異なる経歴を書かない:Xのルールは、人をだます目的の、誤解を招くプロフィール情報や偽の人物像(AI生成の顔写真を使う場合を含む)を禁止しています(Authenticity)
  • 士業の名称を使わない:税理士法第53条は、税理士でない者が「税理士」やこれに類似する名称を用いることを禁止し、社労士法第26条も、社労士でない者が「社労士」やこれに類似する名称を使うことを禁止しています。士業を連想させる肩書きは、所管の会に確認します(税理士法、社労士法)
  • アカウントを分ける場合の重複投稿:個人用と事業用など、目的の異なる複数のアカウントを持つことは認められていますが、同一または酷似した内容を複数のアカウントで投稿することは禁止されています(Authenticity)

実績・成果の見せ方

コンサルタントの実績表示は、景品表示法の「役務の内容」の表示にあたります。消費者庁は、不当表示の例として、実際のものよりも著しく優良であると示す表示、事実に相違して競争事業者より著しく優良であると示す表示を挙げています。(出典:消費者庁「表示規制の概要」)

表示の例注意点
「支援先の売上が○倍になりました」対象・期間・条件を明示する。消費者庁は、効果に関する表示について根拠資料の提出を求めることができ、示せない場合は不当表示とみなされる(第7条第2項)
「顧客満足度No.1」「専門家の○%が推奨」合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合は不当表示になる。消費者庁は、第三者の主観的評価を指標とする表示の中に根拠が十分でないものがあるとして、実態調査報告書を公表している
「この手法は当社だけ」事実に相違して競争事業者より著しく優良であると示す表示にあたり得る
謝礼つきの依頼者の感想広告と分かる表示がないと、ステルスマーケティングとして景品表示法違反になり得る。規制対象は広告主である事業者

(出典:消費者庁「表示規制の概要」、消費者庁(No.1表示報告書)、消費者庁(ステマ規制))

実績は、「いつ・誰に・何をして・何がどう変わったか」を根拠の資料とともに残してから投稿します。依頼者の許可を得ていない紹介は、次の章の守秘の問題になります。

守秘義務と依頼者情報の扱い

税理士や社労士の守秘義務は法律に定められていますが、コンサルタントの場合は、主に依頼者との契約(秘密保持契約など)が根拠になります(一般的な考え方)。契約の範囲を超えて話さない、が基本です。

  • 個人情報:個人情報保護法第27条は、一定の例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを第三者に提供してはならないと定めています(個人情報保護法)。支援先の従業員の名前や数字を、特定できる形で載せるのは避けます
  • Xのルール:他人の私的な情報を、本人の許可なく投稿することは禁止されています(The X Rules)。また、Xの自動化ルールの文書(主に開発者向け)は、DMで受け取った情報を、本人の明確な同意なく公開しないよう求めています(Automation rules)
  • 事例の書き方:実在の支援先ではなく、「よくある相談」を一般化して書く。実際の事例を出すときは、掲載してよい範囲と期間を、書面で確認する

問い合わせ導線と無料相談の置き方

Xでは、プロフィールに相談窓口(フォーム)を置き、DMは補助的な受け皿にすると運用しやすくなります。Xのルールに沿った作り方を整理します。

  • 一斉の営業DM・返信はしない:Xは、大量・過度・一方的な返信、メンション、DMを禁止しています(Authenticity)
  • 自動DMはオプトインが前提:自動のDMは、相手が事前にDMでの連絡を求めている場合などに限られます。フォローしただけでは、DMを受け取る意思表示にはなりません(Automation rules)
  • 公開のポストで個人情報を求めない:個人的な情報が必要なときは、DMなどの非公開の方法に誘導します。クレジットカード情報のような機微な情報は、自社のウェブサイトなどに誘導するよう勧められています(Automation rules)
  • 無料相談の条件を書く:「無料」と書くなら、時間、回数、対象、無料の範囲、その後の費用を示す。取引条件を実際より著しく有利と見せる表示は、景品表示法第5条第2号の問題になり得ます(消費者庁「表示規制の概要」)

士業の領域に踏み込まない

経営の相談を受けていると、税金や労務の質問が出ます。ここには線引きがあります。

  • 税務:税務相談は税理士の業務で(税理士法第2条)、税理士でない者は行えません(第52条)。国税庁のQ&Aによれば、「相談に応ずる」とは、租税の課税標準等の計算に関する具体的な質問に答弁し、指示し、意見を表明することで、反復継続して行えば有償でなくても「業とする」にあたります。国税庁は、SNSの普及で、無資格者による脱税相談のリスクが高まっているとして、令和5年の法改正で、そうした税務相談の停止などを命じる制度(第54条の2)が設けられたと説明しています(国税庁「税理士法違反行為」Q&A)
  • 労務・社会保険:社労士法第27条は、社労士でない者が、報酬を得て、申請書等の作成や提出の代行、帳簿書類の作成などを業として行うことを禁止しています(社労士法)

Xでは、個別の税額の計算や手続の代行を求められたら、一般論にとどめ、有資格者を紹介する、という対応が安全です。個別の判断は所管の窓口や専門家に確認してください。士業側の発信ルールは税理士のSNS集客術と社労士のSNS運用で扱っています。

運用体制の作り方

  • 運用代行にはパスワードを渡さない:Xのルールは、他人のアカウントの認証情報を使うことを禁止しており、Teams認証やOAuth認証などの仕組みで承認された場合を例外としています。ソーシャルメディアの運用担当者が第三者のために複数のアカウントを管理すること自体は認められています(The X Rules、Authenticity)
  • 指標を買わない:フォロワーやエンゲージメントの売買、大量のフォロー・フォロー解除などは禁止されています(Authenticity)
  • 投稿後に別の内容へ書き換えない:反応の多い投稿を、実質的に別の内容へ編集して広げる行為も禁止されています(同上)

投稿前のチェックは、次の順に行うと確実です。

  1. 実績の数字に、対象・期間・根拠資料があるか
  2. 依頼者・従業員が特定できる情報がないか
  3. 謝礼や提供を受けた紹介に、広告の表示があるか
  4. 士業の名称や、士業の業務にあたる助言が含まれていないか
  5. Xのルール(重複、一斉DM、虚偽のプロフィール)に触れないか

運用の基本はX(旧Twitter)企業アカウントの始め方、フォロワーの増やし方はXフォロワーの増やし方も参考にしてください。

よくある失敗

  • 根拠資料のない「売上○倍」「満足度No.1」を、プロフィールや固定の投稿に載せる
  • 支援先の了承を取らずに、成果の数字や名前を出す
  • 謝礼を渡した人に感想を投稿してもらい、広告の表示を付けない
  • DMで受けた税金の質問に、具体的な金額を答えてしまう

よくある質問(Q&A)

Q. 支援先の成果を数字で紹介してもよいですか?
A. 支援先の許可を得て、対象・期間・条件を示し、根拠の資料を残せるなら紹介できます。景品表示法は、実際より著しく優良と示す表示を禁止しており、効果に関する表示は根拠資料の提出を求められることがあります。許可のない紹介は、契約上の守秘の問題にもなります。

Q. 経営者向けの仕事でも、景品表示法を気にする必要がありますか?
A. 景品表示法は一般消費者の利益の保護を目的とします(第1条)。経営者向けだけの取引にどこまで及ぶかは個別の判断になるため、消費者庁に確認してください。個人向けのセミナーなども扱う場合は、表示規制を意識して運用するのが安全です。

Q. DMで受けた相談の内容を、匿名で投稿してもよいですか?
A. Xの自動化ルールの文書は、DMで受け取った情報を本人の明確な同意なく公開しないよう求めています。匿名でも本人が分かる内容は避け、一般化して書くか、同意を得てから載せてください。

まとめ

コンサルタントのXは、専門分野を絞り、実績と考え方を根拠とともに発信することで信頼が積み上がります。資格が不要だからこそ、景品表示法に沿った実績表示、守秘と個人情報の扱い、士業の領域との線引き、Xのルールの遵守を、運用の前提にしてください。投稿前のチェックの順を決め、根拠の資料を残してから、継続して発信しましょう。

参考情報・出典