美容クリニック風アカウントのNG

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白衣風の衣装、「診断」「治療」という言葉、症例写真のようなビフォーアフター、「Dr.」の肩書。サロンが「信頼感のある雰囲気」を出すつもりで取り入れた表現が、法令や媒体の基準では医療と誤認されるおそれのある表現になっていることがあります。「クリニック風」のアカウントは、見た目の問題にとどまりません。

この記事では、サロンなど医療機関ではない事業者が、医療行為や医療機関のように見える投稿をしてはいけない理由を、医師法・医療法・薬機法と、厚生労働省の医療広告ガイドラインの考え方から整理します。脱毛・HIFU・アートメイクなど個別の施術の線引きはエステサロンのSNS集客で扱っています。公式の原文で確認できた範囲だけを書き、個別の判断は所管の保健所・自治体の窓口や専門家にご確認ください。

この記事の3行まとめ

① 「診断」「治療」と言うこと、医師や診療所に紛らわしい名乗り、効能の暗示は、それぞれ別の法令・基準に関わる
② 医療広告ガイドラインは医療機関の広告のルール。医療機関ではないサロンも、医療的な表現が許されるわけではない
③ 言い換えは「カウンセリング」「施術」。迷う表現は、投稿前に所管の窓口へ確認する

「クリニック風」が問題になる4つの理由

見せ方・言葉関係する法令・基準公式資料で確認できる内容
「診断」「診察」「治療方針の提案」医師法17条医師でなければ医業をしてはならない。厚生労働省の通知は、診察等で得た情報から治療方針等を主体的に判断し伝達する行為を「診断」とし、医学的判断を伴うため医行為にあたるとしている
「〜クリニック」「医院」「Dr.」医療法3条、医師法18条疾病の治療をする場所で病院・診療所でないものが、診療所・診察所・医院などの紛らわしい名称を付けることを禁じている。医師でなければ医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない
「治る」「効く」「医療機器と同等」薬機法66条・68条何人も、化粧品や医療機器などの効能・効果を、明示・暗示を問わず虚偽・誇大に広告してはならない。承認を受けていない医療機器の効能・効果等の広告も禁止
媒体の広告審査各媒体の基準LINEヤフー広告では「治療院」「クリニック」「診療」「診察」は掲載不可、「施術」「セラピー」は掲載可

上の表のうち、医師法17条の「医業」について、厚生労働省は「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと」としています。この通知は美容医療を提供する病院や診療所の無資格者を念頭に置いたものですが、医行為と診断の考え方を示す資料です。料金の説明の体裁でも、実質的に個別の状況に応じた医学的判断を伝達していれば医行為にあたるとも書かれています。(出典:厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日医政発0815第21号)、e-Gov法令検索「医師法」)

名称については、医療法3条が、疾病の治療をする場所で病院・診療所でないものに、診療所、診察所、医院その他の紛らわしい名称を付けることを禁じています。(出典:e-Gov法令検索「医療法」)サロンの屋号やアカウント名に医療機関を思わせる語を入れる場合は、保健所に確認してからにしましょう。

薬機法では、化粧品とは「人体に対する作用が緩和なもの」で、疾病の診断・治療・予防や身体の構造・機能への影響を目的とする機械器具等のうち政令で定めるものが医療機器とされています。承認を受けていない医療機器の効能・効果・性能に関する広告は、何人もしてはならないと定められています。(出典:e-Gov法令検索「薬機法」)美容機器を紹介する投稿で「治療」「機能を改善」と書くと、この点が問題になりえます。

避けたい投稿と言い換えの例

以下は運用上の例です。医療機関風に見せない言い換えを、媒体の公式例も踏まえて示します。

避けたい例理由言い換えの例
「肌診断」「診察」「診断結果」医師の診察・診断と誤認されるおそれ。LINEヤフー広告も「診療/診察」は不可としている「カウンセリング」「お肌の状態の確認」(個別の症状への医学的な判断ではなく、ご要望の確認にとどめる)
「冷え性の治療」「便秘の解消」疾病の治療や解消は医療行為にあたるとして、LINEヤフー広告では掲載不可の例「リラックスできる施術」など、症状の改善を言わない表現
「◯◯クリニック」「◯◯院」の屋号、白衣姿+聴診器風の演出医療機関と誤認させる。屋号は医療法3条にも関わる事業の実態に合った名称(サロン、スタジオなど)。服装も医療者に見えすぎない形に
「医師監修」「ドクターも推薦」医師その他の者が効能を保証したと誤解されるおそれがある記事は、薬機法66条2項で誇大にあたる監修を示す場合は、範囲と事実のみを書く。効能の根拠にはしない
症例写真風の「ビフォーアフター」効果の誤認につながる。詳細は美容業界のSNS広告運用・エステサロンのSNS集客日常の手入れ方法や、施術の流れの紹介に切り替える

LINEヤフー広告の「診療/診察」「冷え性の治療、便秘の解消」「施術/セラピー」の可否は、同社の公式例によります。(出典:LINEヤフー広告 広告掲載基準「美容、エステティック」)

医療機関と関わる投稿:提携クリニックの紹介など

厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、医療広告に当たる条件として、①患者の受診等を誘引する意図があること、②医業等を提供する者や病院・診療所の名称が特定できること、③医業又は病院・診療所に関する内容であること、の3つを挙げています。広告規制は、医療機関だけでなく広告代理店、アフィリエイター、患者や一般人など「何人も」対象と説明されています。患者に広告と気付かれないように行われるステルスマーケティングも、医療機関が広告料等を負担して掲載を依頼するなど、実質的に要件を満たす場合は広告として扱うのが適当と書かれています。(出典:厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正))

このため、サロンが提携クリニックを紹介する投稿や、クリニックの依頼で投稿する場合は、医療広告に当たるかどうかを、投稿前に自治体の窓口へ確認しましょう。医療に関する広告の相談は、医療機関を所管する自治体の窓口へ、と厚生労働省のページで案内されています。(出典:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」)

本物のクリニックが避けること(要点)

医療機関の側は、医療広告等ガイドラインで、広告可能事項以外の広告が原則として禁止され、比較優良広告、誇大広告、体験談、誤認させるおそれのある術前術後の写真等が禁止されています。「今なら○円でキャンペーン実施中!」など費用を強調する広告や、「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」のような内容と関係のない誘引は、品位を損ねる広告の例として挙げられています。術前術後の写真は、治療内容・費用や主なリスク・副作用などの詳細な説明を付けた場合は、禁止される写真にはあたらないとされています。(出典:厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正))

一方、広告可能事項の限定解除は、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等が対象で、バナー広告や検索連動のスポンサー表示は含まれないと書かれています。SNSの投稿・広告がどこまで当たるかは、厚生労働省の「事例解説書」と所管窓口で確認してください。詳しくは医療広告ガイドラインとSNSやクリニックのSNS集患完全ガイドをご覧ください。

投稿前チェックリスト

  1. 「診断」「診察」「治療」「治る」など医療を思わせる言葉を使っていないか
  2. 屋号・アカウント名・肩書が、医療機関や医師に紛らわしくないか
  3. 施術が医行為にあたらないか、保健所などに確認したか(例:エステサロンのSNS集客)
  4. 機器の紹介で、疾病の治療や身体の機能の変化をうたっていないか
  5. 提携先の医療機関を紹介する場合、窓口に相談したか

「クリニック風」でよくある失敗

失敗例起きること対処
雰囲気づくりで「診断」「治療」を多用医行為と誤認され、行政の指導や媒体の審査落ちにつながる「カウンセリング」「施術」に統一する
屋号に「クリニック」「医院」を入れる医療法の名称規定の問題や、利用者の誤認屋号を見直し、保健所に確認する
施術機器の「治療効果」を投稿薬機法の問題(未承認医療機器の広告など)機器の効能に触れず、施術の流れや衛生面を発信する

よくある質問(Q&A)

Q. 白衣を着て施術するのは問題ですか?
A. 今回確認した公式資料に、白衣の着用そのものを禁じる記述は見つかりませんでした。ただ、服装は名称や言葉と合わせて「医療と誤認されるか」の判断材料になりえます。心配な場合は所管の保健所へ確認してください。

Q. 「医師監修」と書いてもよいですか?
A. 事実に基づいて範囲を限定して書く必要があります。薬機法66条2項は、医師その他の者が効能・効果を保証したものと誤解されるおそれのある記事は、誇大な広告にあたると定めています。(出典:e-Gov法令検索「薬機法」)

Q. 美容クリニックの「症例写真」は広告に載せられますか?
A. 医療広告等ガイドラインは、誤認させるおそれのある術前術後の写真を禁止する一方、治療内容、費用、主なリスク・副作用などの詳細な説明を付けた場合は当たらないとしています。バナー広告などは限定解除の対象外とも書かれているため、必ず最新の資料と窓口で確認してください。(出典:厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正))

まとめ

「クリニック風」のアカウントがなぜ危ういのか。それは、医師法・医療法・薬機法・媒体の基準という、別々のルールに同時に触れうるからです。サロンは、医療ではなく「カウンセリング」と「施術」の範囲で、流れ・衛生・スタッフの専門性を発信するほうが、長く信頼を得られます。

まずは今週中に、アカウント名・プロフィール・過去の投稿を見直し、「診断」「治療」などの言葉が残っていないか確認してみてください。

参考情報・出典