パン屋・スイーツ店のSNS

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パン屋・スイーツ店は、焼き上がりの時間、数に限りのある新作、クリスマスやバレンタインなどの季節商品と、SNSで「いつ・何が・いくつあるか」を伝えたくなる場面が多い業種です。その反面、数や期間に関する表示は、実際と違えば景品表示法の「おとり広告」の問題になり得ます。

この記事では、パン屋・スイーツ店ならではの論点に絞り、新商品・数量限定の書き方、予約・取り置きの導線、季節イベントの組み立て、製造小売の食品表示、「手作り」「無添加」「日持ち」の書き方を整理します。

この記事の3行まとめ

① 数量限定は「限定」とだけ書かず、数・日・時間を書く。売り切れたら告知を更新する(おとり広告の考え方)
② 予約・取り置きは、受付の締切・受取日時・数量を決め、Google・LINE・Instagramの導線をそろえる。予約時のアレルギー確認は店内で引き継ぐ
③ 対面のばら売りと、袋に入れて売る商品では食品表示の扱いが違う。「無添加」「日持ち」も、条件とセットで書く

投稿の型|焼き上がり・新作・予約・受取・ギフト

型内容の例書いておくこと(例)
焼き上がりパンの断面、焼き色、ショーケース時刻、数のめやす
新作・季節商品今月のタルト、季節の焼き菓子販売期間、1日の数量、1人あたりの購入数
予約受付クリスマスケーキ、焼き菓子ギフト受付期間、締切日、受取日と時間、受付方法
受取・当日案内今日の取り置き状況、完売のお知らせ完売した商品は「完売」と更新する
ギフト箱、リボン、メッセージカードサイズ、価格、予約の要否(ギフト商材のSNSキャンペーンも参照)

新商品・数量限定の告知|おとり広告にならない書き方

消費者庁は、おとり広告を「実際には購入できないのに購入できるかのような表示」として告示で規定しており、次の4つの類型を示しています。(出典:消費者庁「おとり広告に関する表示」)

  • 取引を行うための準備がなされていない場合
  • 供給量が著しく限定されているのに、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合
  • 供給期間、供給の相手方、顧客1人当たりの供給量が限定されているのに、その内容が明りょうに記載されていない場合
  • 合理的な理由なく取引の成立を妨げる行為が行われる場合など

運用基準には、飲食店の告知に使える具体例が書かれています。(出典:消費者庁「「おとり広告に関する表示」等の運用基準」)

  • 販売数量を表示した場合に、その全部または一部について取引に応じられないときは、「取引を行うための準備がなされていない場合」の例に挙げられている
  • 数量が著しく限定されているときは、「限定」とだけ書くのでは足りず、実際の販売数量を明瞭に記載する必要がある。供給期間(販売日・販売時間)や1人あたりの数量も同様
  • 「著しく限定」とは、販売数量が予想購買数量の半数にも満たない場合とされている

つまり、「限定20個(お一人様2個まで)」「12月20日〜25日の販売」のように、数・日・個数を書き、完売したら「本日完売」に更新(または投稿を整理)するのが基本です(運用上の書き方の例)。同じ運用基準には、通常価格より安く見せる二重価格表示で、実際の自店の通常価格より高い価格を「通常価格」にしている場合などが問題になる例として挙がっており、「予約特典価格」を打ち出すときは、比較する通常価格が実在するかを確認します。

予約・取り置きの導線|3つの入口をそろえる

受付のルールは、「受付期間」「締切日」「受取日時」「数量の上限」「キャンセルの連絡方法」を先に決め、どの入口でも同じ文面にします(運用上の例)。

予約時のアレルギー確認にも注意が必要です。消費者庁の事業者向けパンフレットには、予約時に乳・卵・小麦を使わないパンを用意することを確認したのに、当日に従業員へ引き継がれていなかった事例や、パン屋で原材料の確認時に脱脂粉乳が乳製品であることを店員が知らなかった事例が紹介されています。(出典:消費者庁 事業者向けパンフレット「食物アレルギーのお客様との会話で困った経験ありませんか」)予約票に確認内容を書き、受け渡し担当と共有する仕組みをつくりましょう。

季節イベントの組み立て(目安)

時期(目安)準備と告知の例注意点
クリスマスホールケーキの予約受付、受取日時の案内受付締切と数量を明記。完売は更新
バレンタイン・ホワイトデーギフト箱、詰め合わせ、メッセージカードギフトの価格・内容を明記
母の日・父の日・お中元焼き菓子ギフト、配送の可否配送する場合は日持ちと保存方法を明記

告知を始める時期の一律の目安は、公式資料では確認できませんでした。前年の予約数の推移を見て、告知日を決めてください。

食品表示|対面のばら売りと袋入りでは扱いが違う

食品表示基準の義務表示は、「容器包装に入れられた加工食品」を販売する際(設備を設けて飲食させる場合を除く)が対象として書かれています。(出典:e-Gov法令検索「食品表示基準」)消費者庁のQ&Aは、容器包装に入れられていない加工食品を販売する場合は食品表示基準は適用されないと説明しています。また、当日の販売見込量に限り、あらかじめ包装して店頭に陳列しておく場合の包装は、表示をしなくても差し支えないとしています。ただし、要冷蔵などは販売時に正確に伝える必要があります。(出典:消費者庁「食品表示基準Q&A 第2章 加工食品」)

洋菓子店・パン店などの製造小売(同じ施設内で製造して販売する)には、特例があります。食品表示基準第5条では、「食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合」に、原材料名、内容量、事業者の氏名・住所、原料原産地名などの表示は要しないとされています。一方、この特例の表に、名称、保存の方法、消費期限・賞味期限、アレルゲンは挙がっていません。(出典:e-Gov法令検索「食品表示基準」、消費者庁「食品表示基準Q&A 第2章 加工食品」)袋に入れて売る焼き菓子などでは、これらの表示が必要になり得るため、保健所や消費者庁に確認してください。

対面販売やばら売りなど義務のない場面でも、消費者庁のQ&Aは、食物アレルギーの方への情報提供に取り組むことが望ましいとしています。(出典:消費者庁「食品表示基準Q&A 別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」)SNSでは「小麦不使用」などと断定する前に、同じ作業台やオーブンを共有していないかを確認し、対象商品を限定して書きます(運用上の例)。

「手作り」「無添加」「日持ち」の書き方

  • 手作り・自家製:「手作り」の公的な定義は、今回確認した公式資料では見つかりませんでした。消費者庁の考え方では、一般消費者が受ける印象と実際の差が問題になり、市販品を「自家製パン」と表示することは景品表示法上問題とされています。(出典:消費者庁「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」)実際の工程(成形、焼成、仕上げ)のうち、どこを店で行っているかを説明する書き方が安全です。メニュー表記全般はカフェのInstagram運用でも扱っています。
  • 無添加:食品添加物の不使用表示に関するガイドラインは、対象を明示せず単に「無添加」とだけ書くと、何を添加していないのかが不明確で、内容物を誤認させるおそれがあるとしています。このガイドラインは容器包装の表示を対象とし、不使用表示を一律に禁止するものではありません。(出典:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」)「保存料不使用」のように対象を書きます。
  • 日持ち:食品表示基準では、品質が急速に劣化しやすい食品は消費期限、それ以外は賞味期限を表示します。(出典:e-Gov法令検索「食品表示基準」)期限表示は、開封前の状態で定められた保存方法で保存した場合の期限とされ、かつて使われた「5日」で区別する考え方は消費者庁も推奨していません。(出典:消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」)SNSやギフトの案内では、「日持ち◯日」だけでなく、保存方法(常温か冷蔵か)を添えます。

よくある失敗と対処

失敗例対処
「限定20個」と告知したが、予約で埋まった後も告知を残す完売を更新または整理し、次回の販売日を案内する
「予約特典価格」と書いたが、通常価格が実在しない比較する価格が実際の通常価格か確認する

よくある質問(Q&A)

Q. 「限定10個」と書きましたが、実際は12個売りました。問題ですか?
A. 運用基準には、数量が限定されていることを強調する表示をしながら、実際には限定量を超えて取引に応じる場合は、景品表示法第5条第1号または第2号に違反するおそれがあるという注記があります。書いた数量は実際に守るのが基本です。(出典:消費者庁「「おとり広告に関する表示」等の運用基準」)

Q. 店頭でばら売りしているパンにも、アレルギー表示は必要ですか?
A. 食品表示基準は容器包装に入れられた加工食品が対象なので、容器包装に入れないばら売りには適用されません。ただし、消費者庁はアレルゲン情報を自主的に提供することが望ましいとしています。個別の判断は保健所などへ。(出典:消費者庁「食品表示基準Q&A 第2章 加工食品」、消費者庁「食品表示基準Q&A 別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」)

Q. Googleマップの予約リンクにInstagramを設定してもよいですか?
A. Googleのビジネスリンクのガイドラインでは、ソーシャルメディアのサイトはローカルビジネスリンクとして使えないとされています。連動はGoogleビジネス×SNSの連動を参照してください。(出典:Google「ビジネスリンクに関するポリシーとガイドライン」)

まとめ

パン屋・スイーツ店のSNSは、数量・期間・価格を実際のとおりに書き、予約・取り置きの導線と受付のルールをそろえ、食品表示は売り方に合わせて確認する、という順で整えると安心です。まずは直近の新作告知を開いて、「限定」とだけ書いていないか、完売後も残っていないかを点検してみてください。最新の制度は公式ページで確認してください。

参考情報・出典