SNSの画像や動画を毎回ゼロから作るのは、時間も費用もかかります。生成AIなら、文章で指示するだけで素材を作れるツールが増えました。一方で「商用で使ってよいか」「著作権は大丈夫か」「AI作成と表示すべきか」という疑問も増えています。
この記事では、2026年10月4日時点で公式ページ・規約・ヘルプの原文を確認できた範囲で、使いどころ、主なツールの料金、権利の考え方、SNSのAI表示ルールを整理します。料金や機能は変わりやすいため、最新は公式ページでご確認ください。手順は「当社が勧める一例」です。
この記事の3行まとめ
① 生成AIは「素材づくり」の道具。内容の確認と仕上げは人が行う
② 権利は「生成」と「SNSでの公開」を分けて考え、公開前に既存の著作物と似ていないか確認する
③ Meta・TikTok・YouTubeは、本物に見えるAI生成物に表示やラベルを求めている(条件は各社で異なる)
使いどころ:実物の代わりではなく、イメージを補う素材に
当社の考え方の一例として、背景、イメージカット、イラスト、バナーの案出し、数秒のイメージ映像は向いています。一方、商品・施術の実物や効果に見せる画像、実在の人物や実際の出来事に見える画像は避けましょう。消費者庁は、内容が実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示を、景品表示法の優良誤認表示として説明しています。(出典:消費者庁)AI画像が違法という意味ではありませんが、実物の品質を示す場面では誤認につながり得ます(公式の定義をもとにした一般的な解説です。個別の判断は専門家へ)。
主なツールの料金(2026年10月4日時点)
| ツール | 公式ページで確認できた内容 |
|---|---|
| Canva | 無料0円、プロ年間11,800円、ビジネス年間18,800円(いずれも1人あたり・年単位の表示)。AIは「共通利用枠」で、無料は制限付き。追加プラン「AIパス」あり |
| Adobe Firefly | 無料プラン(毎日の無料生成枠・制限あり)。Standard月1,580円(2,000クレジット)、Pro月3,180円(4,000)、Pro Plus通常月6,600円(10,000)。税込表示 |
| Adobe Express | 無料0円。プレミアム月1,180円(税込)で毎月250の生成クレジット |
(出典:Canva料金、Adobe Firefly、Adobe Express。価格はキャンペーンや地域で変わる場合があります)Fireflyでは、5秒の動画をStandardの月2,000クレジットで最大20本作れると表示されており、動画は画像より多くの枠を使います。公式FAQは、Fireflyのモデルは商用利用に適し、Adobe Stockのライセンス取得済み素材とパブリックドメイン素材で学習し、個人コンテンツは学習に使わないと説明しています。同じページにGoogle・OpenAIなどのパートナーモデルも選べるとあるため、選んだモデルの条件も確認しましょう。Metaの広告管理ツールにも、画像生成・背景生成などのAI機能がありますが、一部の業種や国では使えない場合があると記載されています。(出典:Metaヘルプ)Canvaの使い方はSNS投稿デザインの無料テンプレート集をご覧ください。OpenAI・Google・Anthropicの生成AIは、料金と機能の変化が速いため本記事では比較せず、規約の「出力の扱い」のみ後述します。
作り方の手順(当社が勧める一例)
- 用途を決める:「フィード背景」「リール冒頭3秒」など、使う場所とサイズを先に書く
- 入れない素材を決める:お客様やスタッフの顔写真、他社の画像、既存のキャラクター名・作品名
- 複数案を作って選ぶ:構図や色の違う案を比べる
- 人が仕上げる:文字・ロゴ・価格・日付は人が入れて確認。人物の手や背景の不自然さも見る
- 類似確認と記録:画像検索で既存作品に似ていないか見て、ツール・プロンプト・生成日を残す
- 表示の要否を判断して公開:実写に見える場合はSNSのルールに沿って表示
権利の考え方①:文化庁の整理
文化庁の文化審議会は令和6年3月に「AIと著作権に関する考え方について」をまとめました。現行の著作権法の解釈についての一定の考え方で、法的拘束力はなく、特定の生成AIの確定的な評価でもないとされています。(出典:文化庁(概要))SNS担当者に関わる点は次のとおりです。
- AI生成物をSNSに公開する場合は通常の著作権侵害と同じ基準で、既存の著作物との「類似性」と「依拠性」が認められれば侵害となる。生成が適法でも、公開は場面ごとに判断が必要(文化庁(概要))
- プロンプトに既存の著作物や、題号・キャラクター名を入力すると、依拠性が認められやすくなる。公開前に画像検索などで類似を確認し、プロンプト等を残すことが挙げられている(文化庁(チェックリスト))
- 人が指示を与えず「生成」ボタンを押すだけで作られたものは著作物に該当しないと考えられる。一方、創作的な具体的指示や人による加筆・修正があれば、著作物に該当し得る。試行回数や単なる選択は判断に影響しない(文化庁(概要)、文化庁(本体))
著作物にあたるかは個別に判断されます。自社ロゴなど主力のデザインをAIで作る場合は、専門家にご相談ください。
権利の考え方②:ツール規約で確認できたこと
| サービス | 規約に書かれていた内容 |
|---|---|
| Canva | 適用法で認められる範囲で出力は利用者が所有。ただしCanvaライブラリの素材を含む出力は所有ではなくライセンス。他のユーザーが似た出力を得ることがある |
| OpenAI | 適用法で認められる範囲で出力は利用者が所有。他のユーザーが同様の出力を受け取ることがある。人が作ったものではない出力を人が作ったと表示することは禁止 |
| Google(Gemini API・開発者向け) | Googleは生成コンテンツの所有権を主張しない。他のユーザーに同じ・似た内容を生成することがある |
| Anthropic(個人向け) | 出力に関するAnthropicの権利があれば利用者に譲渡。出力は不正確な場合があり、確認なしに依拠しないよう記載 |
(出典:CanvaのAI規約、OpenAI、Google、Anthropic)これらは規約上の権利の扱いで、第三者の著作権を侵害しない保証ではありません。Canvaの規約には、出力の使用で生じる事象にCanvaは責任を負わない旨の免責もあります。Canvaは日本語ページがAI翻訳で、英語版が優先とされています。
SNSごとのAI表示ルール
| SNS | 公式で確認できた内容 |
|---|---|
| Meta | 業界標準のAI指標の検出や、利用者の自己申告で「AI情報」ラベルを付ける方針(2024年の発表)。AIで編集しただけと検出した場合はラベルを投稿メニュー内に移す。広告では、Metaの生成AI機能で作成・大幅編集した画像に[AI情報]が出ることがある |
| TikTok | 本物に見えるシーンや人物がAI生成・大幅編集の場合はラベル付けが必要。ラベルなしは削除・制限、またはTikTok側でラベル付けされることがある。色修正やトリミングなど小さな編集、アニメ調などは不要 |
| YouTube | 実在人物が言動していないのにしたように見せる、実際の場所や出来事の映像を改変する、現実にないシーンをリアルに生成する、動画の中心となる音楽を作る場合は開示が必要。非現実的な内容や美顔フィルタなど軽微な編集は不要 |
(出典:Meta発表、Metaヘルプ、TikTok、YouTube)共通する基準は「本物と誤解されるおそれ」です。当社の一例として、「実写に見えるAI画像・動画は、迷ったら表示する」と運用ルールに書くと判断がぶれません(SNS運用ガイドライン作成テンプレ)。また、CanvaはAI生成物のC2PAなどのメタデータを削除・改変することを規約で禁止し、YouTubeはC2PAメタデータを含む動画にAIラベルを自動で付けることがあり、AdobeはFireflyの生成物にContent Credentialsが含まれると説明しています。(出典:CanvaのAI規約、YouTube、Adobe Firefly)メタデータを意図的に消す書き出しは避けましょう。
お客様の写真・個人情報を入力するとき
個人情報保護委員会は、生成AIに個人情報を含むプロンプトを入力する場合、利用目的の達成に必要な範囲か十分に確認することや、本人の同意なく個人データを入力して応答の出力以外の目的で扱われる場合は法に違反する可能性があるため、提供事業者が機械学習に利用しないことを確認することを示しています。(出典:個人情報保護委員会)TikTokのガイドラインでも、同意のない私人の肖像の使用は許容されないとされています。(出典:TikTok)社内ルールはAI時代のSNSコンテンツ戦略で解説します。
よくある失敗
| 失敗例 | 対処 |
|---|---|
| 既存のキャラクター名・作品名をプロンプトに入れる | 入れない。完成後も画像検索で類似を確認する |
| 商品や施術の実物の代わりにAI画像を使う | 実物の写真を使う。イメージ画像は誤認されない見せ方にする |
| 実写に見えるAI画像を表示なしで投稿する | SNSの表示ルールを確認し、迷ったら開示する |
| 料金表だけ見て、規約の「出力の扱い」を見ない | 価格と、規約・ライセンスの両方を確認する |
よくある質問(Q&A)
Q. AIで作った画像は著作権で守られますか?
A. 一律には言えません。文化庁の資料では、人が指示を与えず「生成」ボタンを押すだけのものは著作物に該当しないと考えられ、創作的寄与が認められれば該当し得るとされています。個別の判断は専門家へ。(出典:文化庁(概要))
Q. AI生成の表示は必須ですか?
A. SNSごとに異なります。上の表のとおり、TikTokとYouTubeは本物に見えるAI生成・改変の開示を求め、Metaは検出や自己申告で「AI情報」ラベルを付ける方針です。最新の公式ルールをご確認ください。
Q. どのツールを選べばよいですか?
A. 特定のツールは推奨しません。選ぶ軸の例は、①使い慣れたデザインツールと連携できるか、②利用枠と料金、③規約の出力の扱いと学習利用の条件です。比較軸はSNS運用のAI自動化ツール比較で整理しています。
まとめ
生成AIは素材づくりを短縮できますが、権利・表示・個人情報のルールを守る必要があります。用途を決め、入れない素材を決め、公開前に類似確認と表示の要否を判断する流れを習慣にしましょう。最初の一歩として、運用ルールに「入力しない素材」と「表示が必要な場合」を追記してください。
参考情報・出典
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方について【概要】」
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」
- 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」
- 消費者庁「表示規制の概要」
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」
- Canva「料金プラン」
- Canva「AIサービスに関する利用規約」
- Adobe Firefly
- Adobe Express「価格」
- Metaビジネスヘルプ「Advantage+ クリエイティブについて」
- Meta Newsroom「Our Approach to Labeling AI-Generated Content…」
- TikTok「コミュニティガイドライン」
- YouTubeヘルプ「生成AIコンテンツの使用に関する開示」
- OpenAI「利用規約」
- Google「Gemini API Additional Terms」
- Anthropic「Consumer Terms」

